高柳明音(SKE48)とのデュエット曲も収録!
野口五郎『The birth GORO anniversary』
インタビュー
野口五郎『The birth GORO anniversary』インタビュー
2016/02/24
野口五郎がデビュー45年と60歳の還暦を記念したアニバーサリーアルバム、『The birth GORO anniversary』を2月23日にリリースした。アルバムには、大ヒット曲「私鉄沿線」や「甘い生活」の新録バージョンに加え、自身初の試みとなる高柳明音(SKE48)とのデュエット曲も収録。インタビューでは“今日はマニアックな話をしてください”という我々の申し出の通り、自身のレコーディング遍歴などをじっくりと語って頂いた。野口さんのプロミュージシャンとしてのこだわりや実力が垣間見られる貴重なインタビューだ!
取材:斎藤一幸/東 徹夜
僕がデビューした時は、途中から録り直すって制度はなかった。
──まず始めに、今回のアニバーサリーアルバムをリリースすることになった経緯から教えてください。
野口:エイベックスさんにお世話になって、ちょうど今5年くらいですかね。シングルなども出させて頂いた中で、何か次への通過点としてまとめたものを出しておきたいなと思ったんです。でも、単なるベストアルバムではなくて、僕ならではのことをしたいなというのもありまして。それで、今から40年前の曲を改めてレコーディングしてみたり、TD(トラックダウン)してみたり。ただ、それを僕はあまり宣伝文句にはしてないんですね。だって、僕がTDしていることって、わからない人には“何それ”ってことになっちゃうと思うし。今まで、そういったことをあえて語ることはなかったですけど、僕も本来はマニアックな話が大好きですし。まぁ、集大成のアニバーサリーアルバムで、こういった話が必要かと言えば、必要ないとは思いますけど。今日はコアな話ってことなので話します。でも、他では言いません(笑)
──「私鉄沿線」や「甘い生活」は、今回のために再度レコーディングされているんですよね?
野口:曲は5年前にエイベックスさんのスタジオで録ったものなんですけど、歌は完全に録り直して。ミックスも僕がちょっとイジり直しています。
──歌はいつ頃録ったのですか?
野口:正月にずっと家で歌ってました。家にProToolsがあるので。
──噂によると、録った歌の編集はしない主義とか。
野口:僕がデビューした時は、途中から録り直すって制度はなかったわけです。なので、今も僕は歌のトラックは1トラックしか作りません。とりあえずやっておこうという感覚がないというか、嫌なんですね。アナログ気質なのかどうかはわかりませんが、1つのトラックをちゃんと作っていきたいんですよ。
──ちょっとだけ気に入らない部分があった場合、頭から録り直すわけですね?
野口:そうです。時間が流れているから、部分的に録り直すと言っても空気感、声帯の状態も違うし。だから、ずっと続けて歌わないと何か違うはずなんですよ。それを後からAだけ差し替えるとか、自分ではやりたくない。もちろん、誰か人のを頼まれたときはやることもありますけどね。Melodyneもかけるし、Auto-Tuneもかけますしね(笑)。
──ちなみに、「私鉄沿線」は何テイクくらい録られたんですか?
野口:1日中歌ってましたからね。でも、人間って雑念の塊だから“改札口で〜”って歌い始めても、あっ腹減ったなとか思うわけですよ。で、食べたら声帯のバランスが変わってしまうので、当然やり直しですよ。デジタルの世界では、食べた後に2コーラス目を歌うことだってよくあるとは思うんですけど、アナログからやってるこだわりって、そういうところに出ちゃうんですよ。過去のギターアルバムを出したときも同じで、1トラックしか作りません。ドラムだってそう。だから、何度も“アッ”というのがありますよ。で、もう1回録ろうって。最初からやり直しです。
──「私鉄沿線」を歌い直してみて、当時とは歌詞に対する思いも変わりましたか?
野口:もちろんです。自分の中での成長なのか、変化なのか、進化なのか、衰えなのか(笑)。
──具体的に言うとどの歌詞の部分で、そのように感じますか?
野口:正直言って全部ですね。これを歌って発売したのが19歳になる少し前だったんですよ。ほとんど隔離されたような生活を送っていて。社会のこともわからなかったし、同棲という言葉も知らずに。“改札口で男が待ってるなんて、ありえないでしょ”って当時は思ってました。でも、今は待ちたいじゃないですか。“待つ”っていいなって。“悲しみに心をとざして待ってたら、花屋の花も変わった”って、お前どれだけ待ってるんだよって(笑)。
──たしかに時代もずいぶんと変わりましたよね?
野口:そうですね。今は改札も自動になったし、メッセージもLineで送れますしね。でも、面白いなと思うのは、こんなアナログだった曲をデジタルを駆使してレコーディングし直すってことですよね。こんな楽しいことはありません。
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