オーディオライター岩井 喬がお届けする連載コラム

岩井 喬 “今、注目のオーディオアイテム” オーディオテクニカ「ATH-M50x」

岩井 喬 “今、注目のオーディオアイテム” オーディオテクニカ「ATH-M50x」

2016/03/29


ギターやピアノの弾き語り、レコーディングなど、様々な用途や目的に応じてチョイスしたいオーディオ製品。このコーナーでは、今知っておきたい注目のアイテムを、各種オーディオ製品の監修やレビュー を行なう岩井 喬(イワイタカシ)さんに聞いてみた。ヘッドホンやイヤホン選びで失敗したくない人は、ぜひともチェックしてほしい!
 

「岩井先生。DTMとスマホでのリスニング、どちらでも使えるヘッドホンを探しているのですが、いいモデルを紹介してもらえますか? あと、 外でも使うのでケーブルは長過ぎないものがいいです。」

岩井:DTMでのモニター用途だけでなく、普段のリスニング用途にも使いたい、そんな欲張りなあなたに「ケーブル着脱仕様」のヘッドホン オーディオテクニカ「ATH-M50x」をご紹介しましょう。

■「ATH-M50x」

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価格:オープンプライス
市場予想価格:税込¥19,000前後

 

ケーブル着脱機構を搭載。用途に合わせて好きなケーブルタイプを選べる

岩井:こちらは同社のロングセラーモデル「ATH-M50」をブラッシュアップした製品で、ハウジングのデザインや全体的なフォルムは「ATH-M50」の流れをそのまま踏襲していますが、見た目にも大きく変わったのはケーブル着脱仕様になったことです。しかもストレートタイプとカールタイプに加え、スマホなどのポータブル環境と親和性の高い1.2mショートサイズの3本のケーブルを同梱。ケーブル着脱モデルとしても3本のパターンが付いてくるのは珍しく、現代の音楽シーンを良く捉えたモデルといえますね。

イヤーカップは遮音性やフィット性の高い楕円形状。片耳モニタリングがしやすい90度反転機構も取り入れています。側圧はモニター機らしくやや強い印象ですが、その分外部の遮音効果も高く、より音楽に集中できるでしょう。サウンドとしてはATH-M50の低域方向の解像度を向上させるとともに、空間性の表現力を高めた傾向で、一般的なモニター機が持つ硬さのないバランス重視のものとなります。中低域の厚みが増してリッチな雰囲気もアップしており、音像の分離も高く、落ち着きも感じられます。

弦楽器やピアノのタッチは艶良くヌケ鮮やか。高密度なヴォーカルは肉付き良く爽やかで、スムーズな質感として描写。センターへすっきりと定位します。全体的に透明感が高く、S/Nに優れたサウンドといえるでしょう。余韻のグラデーションも細やかで、アンビエント成分も素直に描いてくれるので、クラシックや空間の響きを生かした音源の再現度も良好です。モニターだけでなく、リスニング用途にも最適な聴きやすいバランスを持つ、現代ならではの高解像度モデルといえます。
 

■オーディオテクニカ「ATH-M50x」のサウンド傾向

 

【SPEC】
・型式:密閉ダイナミック型
・ドライバー:45mmφ、CCAWボイスコイル
・再生周波数帯域:15~28,000Hz
・インピーダンス:38Ω
・出力音圧レベル:99dB/mW
・最大入力:1,600mW
・質量:285g(コード除く)
・プラグ:6.3mmφ 標準/φ3.5mmミニ 金メッキ
▼コード
OFCリッツ線1.2mカールコード(伸長時約3m)
OFCリッツ線3mストレートコード
OFCリッツ線1.2mストレートコード


岩井 喬(イワイタカシ)=プロフィール

1977年長野県生まれ。小学生の頃、電子工作の面白さに気づき、中学生からは自作の延長線であったオーディオにはまる。工業高校~音響系専門学校を経て、都内レコーディングスタジオへ就職。オーディオ専門誌への執筆を開始。コンシューマー系オーディオ誌の他、プロオーディオの取材執筆もこなす。またアニメ誌編集・執筆に携わっていたこともあり、いち早くオーディオ分野と“萌え”の融合にも取り組む。80年代ロックが好物。


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