ハシシとnicecreamによる新世代ヒップホップクルー

電波少女『パラノイア』インタビュー

電波少女『パラノイア』インタビュー

2016/05/09

「オーバードーズ」のサビは、5、6個作った中から一番最初に作ったサビに落ち着きました。


──曲作りに関しては、どういった流れだったのですか?

ハシシ:最初、メルハウスにラップだけを渡してインストを作ってもらったんですね。でも、出来上がったトラックがちょっとイメージと違ったので歌詞を書き直して。で、その書き直した歌詞で作ったトラックをウサギくんに渡して、間を埋めて行った感じです。

──ハシシさんの歌うラップは、歌謡曲のようにメロディアスな部分もあったりしますよね。具体的に頭の中には歌詞とメロディーがどのように浮かぶのですか?

ハシシ:最初にデタラメな英語で、メロディーを録音するんですよ。「レレレ〜ダァ、ダァ〜」みたいに。そして、それを聴きながら歌詞をパズルみたいにはめて行くんです。

──歌詞のパズルをはめる際に、英語と日本語のどちらにするか、自分の中の方程式のようなものはあるのですか?

ハシシ:自分の頭の中で鳴っているカッコいいイメージって、やっぱり英語なんですよ。あと母音(ぼいん)を韻で合わせることは自然にやってますね。

──具体的に言うと?

ハシシ:例えば、1曲目「拝啓」の歌詞の1行目と2行目の「gonna do(ごなどぅ〜)」と「障る(さわるぅ〜)」とか。でも、歌詞が伝わらないと意味がないので、歌詞を優先して響きを殺すこともあります。

──nicecreamさんはハシシさんの作る歌詞やメロディーについてどう思いますか?

nicecream:歌詞に関しては「みんなが思っている、でも、言わない」みたいなことが共感できると思うんです。そして、メロディーに関しては、いい意味で日本人っぽくないというか。歌詞が部分的にトゲトゲしいところもあるんですけど、メロディーと合うとなじみますし。いい意味で変な感じがするというか。そんな印象を持ってます。

──なるほど。では、続いてNIHA-Cさんをフィーチャーした4曲目の「オーバードーズ」についてお聞きします。この曲は4つ打ちですし、わりとEDM的な要素もある曲ですよね。

ハシシ:そうですね。でも、バッキバキのEDMではなくて、ちょっとハウス的というか。若干のミディアム感のあるものが欲しくて。それをメルハウスにオーダーして。実はアルバムの中では最初に、この曲のインストが出来上がっていたんです。でも、自分がこの曲に合わせるサビがずっと作れずにいて。たぶん、サビだけでも5、6個は作ってますね。メロディーだけで言ったらもっと作っているんですけど。テーマは「オーバードーズ」って決まってたんですけどね。

──「オーバードーズ」ってどういう意味なんですか?

ハシシ:過剰摂取です。一般的には薬とかの過剰摂取を言うんですけど、この曲に関してはストレスとかを比喩していて。で、一人だとちょっとつらいなと思ってニハシくんにもお願いしたんです。そして、結局は5、6個作ったサビの中で、一番最初に作ったサビに落ち着きました。

──一周してもとに戻った感じですね。

ハシシ:そんな感じです。この曲は最初は一人で作っていて、その時はサビがちょっと物足りないかなと思っていたんです。でも、声が2つ以上になって、こういうシンプルなサビの方が逆に映えるかなと思い直して。だから、ニハシくんのおかげで出来た部分もあります。いや、ニハシくんのおかげです(笑)。

──NIHA-Cさんとは仲が良いんですね。

ハシシ:知り合って3〜4年ぐらいだと思いますが、ライブに呼んだり、一緒のイベントに出ることもあります。家も近いのでよく遊んでます。

──では、次に6曲目の「笑えるように」について教えてください。こちらの曲は今回のEPのリード曲ですよね。

ハシシ:実は、この曲は「EPが2〜3ヶ月後に発売されます!」って告知が出てから作りました。

──相当、ギリギリですね。

ハシシ:はい(笑)。

──リード曲にすることは最初から決まっていたのですか?

ハシシ:そうではないんですが、なんか今までと毛並みの違う曲でちゃんと引っ掛かるものを作りたいと思っていて。でも、締め切りまで後1ヶ月くらいになってしまって。で、そんな時に昔録ったデータをあさっていたら、サビのメロディーだけ考えてた曲が出てきて。それがこの曲の元なんですよ。ガッツリバンドの曲にしようと思って。そこからの作業は早かったと思います。

──この曲はアコギから始まりますよね。そのイメージは最初からあったのですか?

ハシシ:そうですね。

──nicecreamさんは、この曲の第一印象はいかがでしたか?

nicecream:最初タイトルが「笑えるように」だったし、歳を重ねるうちにポジティブな曲を作るようになったのかなと思ったんですね。でも、ちゃんと歌詞を見てみると“壁を乗り越えて笑えるように”ってよりも、“諦めて笑う”って感じだったので。相変わらずだなって(笑)。
 

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パラノイア

■初回限定盤(CD+DVD)
RCSP-0069、70
¥2,300(本体)+税
■通常盤(CDのみ)
RCSP-0071
¥1,800(本体)+税
発売元:redrec / sputniklab inc.


01. 拝啓
02. COMPLEX
03. RY feat. Jinmenusagi
04. オーバードーズ feat. NIHA-C
05. Mis(ter)understand
06. 笑えるように
07. 追伸


 

電波少女(でんぱがーる)

2009年、インターネット動画投稿サイトに突如姿を現した数名の個性派MC・TMで電波少女結成。
幾度のメンバー加入、脱退を経て、現在はMC担当ハシシ(写真右)とDJ&パフォーマンス担当nicecream(写真左)の1MC1DJとして活動している。
ハシシの等身大でリアルなリリックと、キャッチーなメロディーは一度聞いたら耳から離れない中毒性を持ち、ライブにおけるnicecreamのダンスパフォーマンスは、他では味わえない華やかさがありライブならではの一体感を生み出している。
2010年に公開されたFreeDLの音源集「廃盤」は2000DL以上を記録。各動画サイトにアップロードされた音源は累計で50万再生を突破。
2013年7月に発売された1stAlbum「BIOS」は予約開始初日で1000枚完売し、現在までに2500枚を超えるセールスを記録している。
2015年7月8日に、2nd Album「WHO」の発売も発表され、その中からiTunes Storeにて限定先行リリースされた楽曲、“INVADER feat. RAq”は、iTunes Storeヒップホップ/ラップチャート第5位に。“MO feat. NIHA-C”は第2位を獲得している。
その他、2nd Album「WHO」は、タワーレコードオンライン予約チャート第2位を記録、USENインディーズチャートの上位にも電波少女の名前が登場し、オリコンチャート19位にもランクインをする。
今、最も注目と期待を集めているHIPHOPCREWである。

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