制作の大部分を千歳船橋の「eve studio」で行なったという5枚目のニューアルバム
cinema staff『eve』インタビュー
cinema staff『eve』インタビュー
2016/05/20
「希望の残骸」はユーラシア大陸を横断しているイメージで歌詞を書きました。
三島:後付けな部分もあるんですけど、『eve』というタイトルは何かが変わる前の高揚感、お祭りや文化祭といったイベントの前日に感じるような特別な心情を意味しています。また、それに「クリスマスイブ」の「イブ」という言葉にも結びつけていて。
──なるほど。1曲目の「eve」はインスト曲ですよね?
三島:この曲は、アルバム全体を通してカッコいい雰囲気にするために、今作のプロローグとして位置付けたんです。 “最初ではなく途中にインストがあっても良いかな?” ってプランもあったんですけど、やはり最初にした方がすんなり落ち着きました。この曲には雑踏の音が入っているんですけど、僕らがレコーディングした最寄駅の千歳船橋駅から歩いて向かっている89秒を録音したものなんです。スタジオに到着して扉を閉めた瞬間に2曲目「希望の残骸」が始まるようになっています。都会の喧騒の音を使って、東京のここで作ったんだということを表現したかったんです。
──では、2曲目のリード曲「希望の残骸」についてお聞きします。この曲はどのように作られたのですか?
三島:この曲はメロディから作りました。僕はもともとメロディから曲作りを進めるんですが、サビの頭部分の歌詞はメロディと一緒に生まれることが多いんです。そうやって出来たパターンはバンドの名曲になることが多くて(笑)。
──パートはどの部分から?
三島:サビ、そしてイントロのアルペジオです。今回はサビから作り始めましたが、曲によってまちまちです。他のフレーズだったり、メンバーみんなでスタジオに入っている時に思いついたりすることもありますね。
──歌詞はどのようなことをイメージして書いたのですか?
三島:旅でユーラシア大陸を横断しているイメージがメインで、それに自分の人生を重ね合わせた内容になっています。もともと旅に関するフレーズが2〜3つ思い浮かんだ時に、スケールの大きい内容にしたかったんです。なおかつ、人それぞれの琴線に触れることができるような歌詞を書きました。ただ、結構言葉を詰め込んだので、語感には注意しましたね。
──この楽曲をレコーディングする際は、飯田さんにはどのような注文をされたのですか?
三島:僕がプリプロダクションをやったんですけど、その時点で僕自身が歌った仮歌が入っていたんです。それを渡したんですが、その時点で大体のニュアンスが伝わるようにしています。よっぽど “ここは絶対にこうやって歌って欲しい” ということがない限り特には言わないです。
──では、各パートでどのようなことを心掛けましたか?
飯田:今の話の続きにもなるのですが、自分の中で歌詞の内容を解釈して歌いました。昔は歌詞をちゃんと理解した上で歌った方が良いと思っていて、三島に色々と意味を細かく聞いたりして。今は解釈の隙間があることによって、良い意味で聴く側の人達を勘違いさせるというのがスゴくポイントだと思っています。歌い方に関してはアルバム全体を明るく仕上げたいといったイメージがあったので、今までの曲の中で一番抜けるような感じで歌いました。ただ、一度録り終わった後、どうしても自分の中で納得できなくて。すべて歌い直しをしたんです。でも、その結果、cinema staffの楽曲の中で一番納得した曲に仕上がりましたね、垢抜けたというか。
──マイクは何を使われたのですか?
飯田:ノイマンの「U-67」です。これまでのレコーディングでも愛用していたモデルで、他にも「U-47」を起用することが多かったです。
──ギターは?
辻:この曲では、ギターをベースやドラムが終わった後に録ったんです。おおまかなイメージは考えていたんですけど、楽しくやるというのを第一に弾きました。その上でプロデューサーと “そこは違うからこういう風に変えてみよう” など相談しながらレコーディングしました。ギターはBlast Cultという海外ブランドのモデルと普段からライブでも登場するFender Custom Shopのテレキャスターです。Blast CultはピックアップがTBジョーンズで、ハムとシングルの間の音が欲しくて約1年前に購入しました。
三島:中抜けするというかミッドが良く出るんです。音にコシがあってブルースやロカビリーなどにも合うと思います。
──三島さんが購入を勧められたのですか?
三島:いえ、違います。辻はアンプなども好きなものを勝手に買ってくるんです。なので、せっかくバンドのサウンドを整えても最初からやり直すということもあったりしますし(笑)。
──なるほど。音作りはどのように行なったのでしょか?
辻:アンプはプロデューサーに借りたMarshallの「MAJOR」で、歪みはほぼこれで作りました。僕がもともと好きなモデルで、スゴくパワーがあります。キャビネットはORANGEの2発ですね。
──ベースは?
三島:Fenderのジャズベースです。これはプロデューサーから借りたので型番などはわからないですけど。この曲は上ものが多くなっているので、結果的にマイルドなサウンドが出るジャズベースを選びました。普段はプレシジョンベースを弾いているのですが、これはいかに自分になじむかで決めています。アンプに関しては、自前のAmpegの「SVT-VR」で、レコーディングでは基本はアンプ直ですね。
──ドラムは何を使われたのですか?
久野:今回のレコーディングでは、「la la larks」というバンドのターキーさんにドラムテックとして入ってもらったので、機材は結構借りたりすることが多かったです。なので、その場で色々なものをとっかえひっかえしていて、何を使ったかあまり覚えていないんです。確かこの曲ではdwのドラムセットを使ったかな。セッティングは普段のライブと同様シンプルにワンタム/ワンフロアタム、それにチャイナシンバルを加えました。
三島:今回のプロデューサーである江口 亮さんは、機材をたくさん持っている方で色々と借りることができました。本当に選び放題で楽しかったです。僕は機材が大好きなので宝の山のようでした。
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