──7曲目の「Honey Bee」は、個人的に “the telephonesの石毛さん” を感じられる曲だと感じました。

石毛：この曲は、アメリカのインディーモノのシンプルな曲を作りたくて、それこそ参考にしたのはBest CoastやWavvesなど、あの辺りのローファイな質感の楽曲です。なおかつ3コードで誰でも弾けるようにしたかったんです。

──歌詞もシンプルですよね。

石毛：歌詞については何も考えないで書きました（笑）。5分ぐらいで完成して、読み直すこともなく。そういう感じも面白いかなと。ちなみに「Hours」は何時間も掛けました。歌詞の内容を考える曲と考えない曲があって良いなと。

──デタラメな記号で書かれた歌詞のところは？

石毛：そこはノブが叫ぶところなんですが、このメチャクチャな表記はthe telephones時代から同じです。歌詞がないので、毎回フリースタイルでやる感じです。

──同じ言葉を繰り返すフレーズが多いですね。

石毛：やはり僕が洋楽育ちだからだと思います。それが割と普通だったので。僕の中でのサビってそうなんですよ。曲の印象付けだと思っているので。

──では、他に今回のレコーディングやプリプロで印象に残ったことは？

石毛：ドラムテックをMO'SOME TONEBENDERの藤田勇さんにやってもらったんですけど、勇さんが最高の仕事をして下さったんですよ。昌志が経験が浅いということもあって、メンタル面などを含め色々と補ってもらいました。感謝しています。

──それは石毛さんが藤田さんにお願いされたのですか？

石毛：最初は誰にしようとは決まっていませんでしたが、どちらにせよドラムテックは入れようと思っていました。でもまぁ昌志が知っていてやりやすい人で、なおかつ良い人という条件に当てはまったのが勇さんだったんです。まぁ初日は遅刻してきましたけど（笑）。

──ところで、インタビューの冒頭にも話にあった「sise（シセ）」というアパレルブランドとコラボしていますよね。

石毛：僕とノブがデザイナーの松井征心と6〜7年の付き合いでして、ファッションショーのランウェイで流す音楽を何度か作ったことがあって。その時、服と音楽がコラボレーションするという光景になぜか涙が出たんです。それで音楽の新たな可能性というのを感じて、今度は逆にバンドがブランドの服を着るという化学反応を見てみたかったんです。

──なるほど。

石毛：ヒップホップをやる人の服装ってわかりやすいじゃないですか。あとロックも革ジャンというイメージがあったり、音楽と服って密接な関係にあると思うんです。かといって、僕らと「sise」でどういった音楽が結びつくかはまだわかりませんが、きっとsiseの服でlovefilmというバンドがイメージできるんじゃないかと。

──「sise」というブランドは “少年性” をテーマにしたブランドだそうですが、lovefilmとの共通点は？

石毛：僕とデザイナーの考えが似ていて、共鳴している部分はあると思います。二人で飲んでいる時も良くそういった会話を交わしますし。周りに良い人間がたくさんいて助けられていることを実感します。

──今夏は様々なフェスへの参加が決定していますが、どういったライブにしたいですか？

石毛：今年の夏フェスは新人ステージが多いんですが、その中で一番のライブがやれるようにしたいです。ただ、どのフェスもそれが初ライブになるので、初ライブっぽい伝説が残せたら良いかなと。特別なことはしないんですけど、“バンドマジック” が起きることを期待しています。

──それでは最後にファンの方へメッセージをお願いします。

石毛：まずは音源を聴いていただいて、良い意味で「俺も（私も）こういうバンドをやってみたい」と思ってもらえたら良いなと。シンプルな曲を作っているのでコピーして欲しいし。それで「バンドって良いな」って思ってくれたら、さらにうれしいです。まぁ歌詞と一緒なんですけど、聴く人に委ねたいというか。聴かないでどうこう言われるのは嫌いなので、ちゃんと聴いてから色々と感じて欲しいなと思います。