サウンドプロデューサーのcorin.がチェック!

ユニバーサル・オーディオ Apolloシリーズの革新的テクノロジー「Unison」の実力を探る

ユニバーサル・オーディオ Apolloシリーズの革新的テクノロジー「Unison」の実力を探る

2016/11/05


ユニバーサル・オーディオのオーディオインターフェイス「Apollo」シリーズに装備されている「Unison」(ユニゾン)テクノロジーは、内蔵のDSPプラグイン「UAD-2」をかけ録りする際に、実機のサウンドの特性をよりリアルに再現してくれる機能です。このUnisonを普段から使用しているというサウンドプロデューサーのcorin.さんに、宅録での活用法を聞きました。

取材・文 : 目黒真二
写真:小貝和夫


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corin.(コリン)

V6やFTISLANDなどの作品のプロデュースを手掛けている他、浜崎あゆみ、AKB48、板野友美、中川翔子、山下智久などジャンルを問わず国内外のアーティストへ楽曲を提供しているクリエイター/サウンドプロデューサー。

詳細はオフィシャルサイトにて。

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普段からcorin.氏が音楽制作で使用しているオーディオインターフェイス「ApolloTwin」(Mac専用)。
Thunderbolt接続により、高速で幅広い周波数帯域の伝送ができ、低レイテンシーを実現した2イン/6アウト(8デジタルインも装備)のモデルだ。無償のUADプラグインが多数付属しているのもうれしいポイント。価格はオープンプライスで、市場予想価格は¥75,000(SOLO)/¥96,000(DUO)。Windows専用(USB3.0接続)の「ApolloTwinUSB(」オープンプライス/市場予想価格:¥96,000)もラインナップしている

  • Unison テクノロジーについて

Unisonテクノロジーとは、プリアンプやストンプボックスなどにおいて重要な、インピーダンスやゲイン、アナログ回路のふるまいなどを忠実にエミュレートし、Apollo Twin本体のマイク/Hi-Zインプット回路を制御する同社の最新技術のこと。Apollo Twinの入力部には、この「Unisonテクノロジー」が採用されている。

ボーカルやギターはUnisonの「1073」と「610-B」をかけ録りする

僕は普段、主に歌を録る時に、Apolloの入力部でUADプラグインの「Neve1073」(以下、1073)と「610-B」の2つをUnisonでかけています。1073と610-Bはどちらもプリアンプの名器を再現したもので、通すだけでプロっぽい質感が得られます。EQも搭載されていますが、そこは極力イジらずに、ゲインだけを操作していますね。

特によく使うのは1073の方で、インプット(ゲイン)をフルにすると、独特の気持ちいい歪み感が加わって音がしっかりと決まります。バラードなどでサウンドにクリーンな伸びが欲しい時はインプットをやや下げますが、アウトプットフェーダーで最終的な出力を調整できるので、音作りはしやすいですね。以前のバージョンではこのフェーダーが付いていなかったので、インプットを上げ過ぎるとレベルオーバーになることがあったのですが、このフェーダーが付いてからはそういったこともなくて助かっています。

以前に一度、Unisonでかけ録りをするのと後がけをするのとで、どれくらい音が違うのかを試してみたことがあるんですが、やはりUnisonを使った方が、圧倒的にアナログ特有の暖かみが出ました。後がけだと少しハイファイなサウンドになるので、アナログ感の再現力はUnisonの方に軍配が挙がると思います。

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Neve1073

ハードウェアでは現在入手困難なニーヴのビンテージマイクプリ&EQ「1073」をシミュレートしたUnison対応のUADプラグイン(有償)。これに通すだけでサウンドにガッツ感が出てくる

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610-B

ユニバーサル・オーディオが開発したプリアンプ&EQ「610」をシミュレートしたプラグイン(ApolloTwinに付属)。奥行きのあるサウンドや、チューブの暖かさと存在感をUnisonテクノロジーで再現している

僕の好みは1073の音ですが、バラードなどでは610-Bをチョイスすることもあります。610-Bは1073に比べると少し落ち着いた音質でオールマイティに使えるので、ボーカルの個性や曲調に合わせてどちらかを選択しています。

ギターやベースを録る時は、コンパクトエフェクターを通したうえで1073をUnisonでかけています。そうした方が、そのまま取り込むよりも音にガッツが出て、サウンドの芯も太くなります。ギターを録る時は、クリーンとクランチの中間くらいの歪みを1073のインプットノブとフェーダーで微調整して作りながら録音するということもありますね。

Unisonに対応したギター&ベースアンプ・シミュレーターにも注目

Fender '55 Tweed Deluxe

1955年製のツイードアンプをシミュレートしたUADプラグイン(有償)。個性の違う3つのスピーカーが選択でき、さらにビンテージから最新までの4つのマイクの中から2つを選択して、マイキングで音作りができる

ギターを録る時は、今までは手持ちのコンパクトエフェクターで音を作り込んだり、iPadのアンプソフトを使っていたので、UADのアンプシミュレーターはそれほど使っていなかったのですが、最近出た「Fender ’55 Tweed Deluxe」は非常にいい感じで、特に少し歪ませてアルペジオを弾くのにバッチリとハマりますね。画面上のマイキングを変えることで微妙に音質が変化するので、あれこれイジって音を作れますし、このプラグインもUnison対応なので、音がリアルで芯も太く、真空管特有の暖かみと歪みが自然に付いてくる印象です。

ベースの音作りも、今まではハードのアンペグのシミュレーターを使っていましたが、UADのアンペグのシミュレーター「Ampeg B-15N」を使ってみたら、すごくサウンドがリアルで驚きました。それに、ハードだとパラメーターを一瞬で前の状態に戻すことができないので、お気に入りのセッティングを気軽に変えることができないんですが、プラグインなら設定を保存しておけるので、安心して別の音作りにチャレンジできます。最近は、もっぱらAmpeg B-15Nばかり使うようになりましたね。

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Ampeg B-15N

出力30W、1×15のスピーカー、オールチューブという仕様のベースアンプを再現したUADプラグイン(有償)。例えば、伝説のモータウンサウンドのような、アグレッシブかつ暖かみのあるベースサウンドを演出できる

録音後の音作りにはUnison以外のUADプラグインをフル活用

録った後の音作りでも、主にUADプラグインのEQとコンプを使っています。EQのお気に入りは「SSL 4000E」シリーズのチャンネルストリップです。録りの段階でUnisonの1073をかけると、音の個性はある程度出るので、イコライジングは軽く補正程度に行ないます。その際、「音が抜けているか」とか「他のトラックと干渉していないか」という観点でチェックして調整します。このプラグインも完成度が高くて、誰が使ってもプロっぽい音になるのでオススメです。

コンプでよく使うUADプラグインは、定番の「1176LN」ですね。ボーカルはもちろん、ギターやドラムにも音を締めるイメージで使っています。同じコンプでも、ベースにはUADの「Teletronix LA-2A」をよく使います。これは音がすごく太くなって存在感が出ますね。

ちなみに、アレンジやデモ制作の時には、あえてCPU消費の少ないレガシータイプを使っています。レガシーの方が動作が軽くて、あれこれと迷わずに最速でイメージの音を作れますからね。

SSL E Channel Strip

有名かつユニークなサウンドを持つチャンネルストリップ「SSLEシリーズ」を再現したUADプラグイン(有償)。大ヒット曲はどれもこの伝説のコンソール「SSLE」シリーズを使って制作されていると言っても過言ではない

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1176LN Legacy

ダイナミックかつファットなコンプレッションが特徴の「1176」は、ボーカルはもちろん、アコギやスネアを中心に、ジャンルを問わず多くのパートで使われている (ApolloTwinに付属)

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Teletronix LA-2A Legacy

真空管とオプティカルコンプ回路による、ドライブ感の強いサウンドが特徴のLA-2A。歌はもちろん、低域パートのキックやベースなどにも使われる(ApolloTwinに付属)


問:(株)フックアップ
TEL:03-6240-1213

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