──今作も初回限定盤AとBで収録内容が異なりますよね。それぞれの楽曲についても教えてください。

さユり：まず限定盤Aの「プルースト-弾き語りver.-」は、一番最近出来た曲でスゴい自分の中で気に入っているというのがあって。秋〜冬の匂いを閉じ込めています。「プルースト効果」ってご存知ですか？

──どのような現象なのでしょうか？

さユり：「匂いなどから過去の記憶が想起される」という心理現象で、それをそのまま歌にしたいと思って作った楽曲で、今の時期に合うと思って収録しました。

──弾き語りver.にした理由というのは？

さユり：もともと、私はアコギ一本でやってきて、そのサウンドも聴いてもらいたいと思っているのでカップリングには弾き語りを入れるようにしているんです。

──なるほど。次に「ルラ」は？

さユり：n-buna（ナブナ）さんというボカロPの方の曲をカバーしました。スゴいドンピシャで共感できる歌詞なんです。

──続いて、限定盤Bに収録されている「ニーチェと君-弾き語りver.-」は？

さユり：この曲は自分なりのラブソングです。「フラレガイガール」のようにまっすぐに愛しい気持ちを歌う曲というのは今までなくて。なのでとても新鮮な気持ちだったんですけど、その中で自分の作ったラブソングというのは、歪んでいる曲で（笑）。「あんなに好きだったのに、いつの間にか私の方から嫌いになっちゃった。愛ってなんだろう」みたいな曲が多いんです。「ニーチェと君」は、そういった意味を持ち合わせた楽曲の一つなんです。

──また、限定盤Aには渋谷WWWでのライブ映像も収録されていますね。この公演を選んだ理由というのは？

さユり：これまで東京、大阪、そして地元・福岡でライブを行なってきたのですが、やはり他に行けていないところがたくさんあるんです。なので、まだ私のライブに来れていないファンの人達に向けて、「こういうライブをしているよ」というのを見てもらいたくて。これを見ていつかライブに来てもらいたいです。

──限定盤BのDVDには「アノニマス」のミュージックビデオが収録されていますが、どういったコンセプトになっているのでしょうか？

さユり：デビューからMVでは2.5次元の世界で３人の私（さユり、さゆり、サユリ）を軸に作ってるんですが、今回は「当事者になりたい。息苦しいけど伝えたい。誰かと繋がっていたい。言いたいことを言いたい」という思いを表現しました。

──なるほど。

さユり：ちなみに、限定盤Bのジャケットの左側にもいるキャラクターは今回新たに登場した「サゆり」です。これは今までいたキャラクターの中で一番アグレッシブで、そういった存在が現れて今後どのような展開をしていくのかも楽しんでもらえたらなと。

──それでは最後に、改めて今作の聴きどころについて教えてください。

さユり：「フラレガイガール」と「アノニマス」は曲調がまったく違いますが、どちらも “前を向く” というベクトルは一緒になっています。「フラレガイガール」は、歌うことを純粋に突き詰められた曲だなと。一方の「アノニマス」は自分の中で思い描いたことが詰められた曲なので、自分の核となるものが出た作品だなと思っています。なので、ぜひそういったあたりを聴いていただけたらうれしいです。