白い大地グリーンランドの人気ロックバンドが来日!

ナヌーク『氷美〜ナヌーク音綺譚』インタビュー

ナヌーク『氷美〜ナヌーク音綺譚』インタビュー

2016/12/22


グリーンランドの人気ロックバンドNanook(ナヌーク)。人口が約50,000人強の国で、なんと1万枚以上のCDセールスを記録した彼らが、キングレコードよりベストアルバム『氷美〜ナヌーク音綺譚〜』を10月5日にリリースした。今回、TuneGateでは、バンドの中心人物であるエルスナー兄弟(クリスチャン・エルスナーとフレデリック・エルスナー)を迎えて、アルバムの聴きどころをはじめ、自身が影響を受けた音楽や来年2月にR.E.M.のピーター・バックやマイク・ミルズ、ドリーム・シンジケートのスティーブ・ウインなどと共に行なう来日公演への意気込みについて聞いてみた。また、インタビューページの冒頭では、アルバム収録曲「相愛(Ai Ai)」の弾き語り動画も公開。こちらも必見だ。
取材:斎藤一幸、橋本周大(編集部)

 

──まず、本作『氷美〜ナヌーク音綺譚〜』はベストアルバムということですが、収録曲はどのように決められたのでしょうか?

クリスチャン:正直、結構苦労しました。できるだけ幅広く自分達の音楽を紹介したい思いもありましたが、バラバラになってしまってはいけないので、アルバムとしての一貫性も重要視しました。もちろんバンド側からも選曲をしましたが、日本のプロモーターの方にも提案をしてもらった上で今回の18曲になりました。

──バンド側も選曲されたということですが、まずはお二人でお話をされたのですか?

クリスチャン:そうですね。僕ら兄弟二人は職場が一緒なので、話が早いんです。他のメンバーとはFacebookのメッセンジャーを使ってやりとりをしました。質問を投げかけてみんなが返す、といった風に。

──他のメンバーは自宅が遠いのですか?

クリスチャン:キーボードのマス・ロンだけがデンマークのコペンハーゲンに住んでいるんです。

──本国と離れているとなかなか頻繁には会えないですね。それでは、曲順はどのように決められたのでしょうか?

クリスチャン:僕は結構曲順を決めるのが得意なんです(笑)。なので僕が決めさせてもらいました。やはりアルバム全体のムードというのを伝える上では、曲順というのはスゴく大事で。特にリスナーにとっては、曲順によって印象が随分変わってしまうと思います。アルバムによっては曲がバラバラっと入っていることで「一枚のアルバムなのに何バンドも参加しているんじゃないか?」と思われてしまうし。だからその辺りを意識しながらも、“全体としての一貫性” というのを念頭に置いて順番を決めていきました。

──なるほど。

クリスチャン:例えるならば、本を読んでいる感覚かな。いきなり第三章とか四章から入っちゃうと話が通じなくなってしまうでしょ? だから系統立てた組み合わせをしました。

──フレデリックさんは曲順を決める上で自分の意見は伝えたのですか?

フレデリック:えぇ、多少は。でも基本的には兄を信頼しています。僕らの曲を一番理解しているのは兄なので。それに、大体僕ら兄弟の意見は一致するんです。

──素晴らしいコンビネーションですね。では、二人それぞれが一番気に入っている収録曲は?

フレデリック:うーん、難しいなぁ。全部大好きな曲達だから。

──ベストアルバムですからね。

フレデリック:15曲目の「明日への道」は、グリーンランドでライブをする時に披露すると、一番盛り上がる曲なんです。だけど、自分が好きなのは5曲目「寂寥たる日々」か6曲目「相愛」かな。

──その2曲を選ばれた理由は?

フレデリック:僕は一時期デンマークに住んでいて、一番大きな楽器屋で働いていたんです。その時にホームシックになってしまって、そんな時に書いた曲が「寂寥たる日々」なんです。自分にとっては初期の頃に書いた曲で、この曲を作って歌ったことで自分の歌声に自信が持てたんです。あと、クリスチャンが僕の歌声を気に入ってくれた曲でもあります。

──もう一方の「相愛」は?

フレデリック:この曲はバンドにとって、とても重要な曲で。テンポ、コード、歌い方などナヌークの音楽性が詰まっているので大好きです。

──では、クリスチャンさんは?

クリスチャン:僕は8曲目「美しき大地」と11曲目「道標」だね。この2曲に関しては、良い世界観を描けた楽曲だと自負しています。「美しき大地」はオーロラや精霊といったことを歌っているんだけど、聴いていて良いムードになるというか、スゴく落ち着く曲なんです。「道標」は、電子楽器が入っていたりとナヌークとしては異色の曲なんですけど、いざ聴き込んで見ると「あぁナヌークの曲だな」と感じられる作品で。この曲を聴けば、僕らがいかに新しいことを恐れずチャレンジしているのか、という部分がわかると思います。
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ベストアルバム
『氷美~ナヌーク音綺譚~』

¥2,300(+税)
日本盤/キングレコード
日本語解説:山崎隆一
KICP-1806

01.人智を超えて
Pissaaneqaqisut
02.情熱の狩人
Pileritooq
03.輝ける陽光
Seqinitta Qinngorpatit
04.伝説の渡鴉
Timmissat Taartut
05.寂寥たる日々
Kisimiinneq
06.相愛
Ai Ai
07.存在意義
Inuinnaagavit
08.美しき大地
Nunarput Kusanaq
09.普遍の真理
Qummut Isigaara

10.幸唄
Qiimassutissarput Aajuna
11.道標
Qimavissanerparput?
12.古の記憶
Piiginnakkit
13.変動危機
Kuserpalaaq
14.先住民の叡智
Pissusitoqaraat
15.明日への道
Ingerlaliinnaleqaagut
16.ナヌーク序章
Nanook Intro
17.ナヌークの神秘
Nanook
18.何故に
Sooruna?*日本盤ボーナス・トラック(未発表曲)

来日情報
with カート・ブロック、ピーター・バック、スコット・マッコイ、マイク・ミルズ、リンダ・ピットモン、スティーブ・ウィン

・2017年2月7日(火)
京都・磔磔
18:00開場 19:00開演
前売チケット:¥8,500(ドリンク別)
チケット取扱:
THE MUSIC PLANTホームページ
チケットぴあ
e+会場

お問い合わせ:磔磔(たくたく)075-351-1321

・2017年2月9日(木)&10日(金)
東京 Shibuya WWW
18:30開場 19:00開演
前売チケット:¥8,500(ドリンク別)
チケット取扱:
THE MUSIC PLANTホームページ
チケットぴあe+ローソンチケット
お問い合わせ:Shibuya WWW 03-5458-7685

■公演情報の詳細は
こちら

Nanook(ナヌーク)

グリーンランドの南Nanortalikでバンドのフロントマン、クリスチヤンは犬のナヌークと出会う。
まるで北極熊のような白い犬のナヌークは、その後、彼の弟フレデリックと組んだバンドの名前となった。
ナヌークとはイヌイットの神話に登場する不思議な熊の王様のことである。
当時のグリーンランドはティーンエイジャーの自殺率が非常に高く、友達二人を自殺で失ったクリスチャンはグリーンランド語で歌を作りはじめる。
2005年クリスチャンは短編映画「Inuup Tarraa(男の影)」を自主制作。
そこに音楽を付ける必要があったため、ナヌークの母体とも言えるバンドを結成した。
2008年始めてヌークで行われたアトランティック音楽フェスティバルで初めてナヌークとして公演を行うと、バンドは2009年のデビューアルバム「Seqinitta Qinngorpaatit(僕らの太陽は君を照らす)」を発表。
あっという間に地元でもっとも人気のあるバンドとなりCDはゴールド・ステイタスを獲得した。
2011年グリーンランドのホラー映画「Quqqat Alanngui」(山の影に)に楽曲を提供し、これがグリーンランドで大変なヒットとなる。
また続いて発表されたセカンドアルバム「Ai Ai(幸せの音)」は、人口5万人ほどの小さな国においては驚異的な1万枚の売り上げを記録する。
2013年6月にファーストアルバムとセカンドアルバムからのセレクションに新曲を加えた編集アルバムを、デンマーク本国にて発表。同年12月にLIVEのDVD/ブルーレイ/CDをリリース。
またアメリカのケネディセンターにて行われた北欧音楽のシリーズコンサートにグリーンランド代表として参加し、その音楽がディスカバリーチャンネルの「Flying Alaska」に使われるなど国際的な認知度を高めるようになった。
2014年秋、新作「Pissaaneqaaisut」をデンマークのソニーのレーベルMermaid Recordsからリリース。
現在彼らはグリーンランド、そして国際的なフェスティバルにも参加し精力的に活躍しているが、現在でもその歌詞はすべてグリーンランド語であり、彼らは祖国とそこに住む友人たちの為に歌い続ける。
2015年3月「Music from Greenland」のショウケースを行なうために初来日。

Nanook are
Christian Elsner クリスチャン・エルスナー - Vocal, Guitar
Frederik Elsner フレデリック・エルスナー - Vocal, Guitar
Mads Røn マス・ロン - Keyboards
Andreas Otte アンドレアス・オテ - Bass
Martin Zinck マーティン・ジンク - Drums

 

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