白い大地グリーンランドの人気ロックバンドが来日!

ナヌーク『氷美〜ナヌーク音綺譚』インタビュー

ナヌーク『氷美〜ナヌーク音綺譚』インタビュー

2016/12/22


 

──続いて、どのように曲作りを行なっているか教えてください。

クリスチャン:その時々によります。二人一緒だったり、それぞれ一人で作ることもあります。

フレデリック:曲を思いつくことがあったら、クリスチャンに会ってギターを弾きながらアイディアを固めたりもします。

──曲を作る際は歌詞とメロディではどちらが先に思いつくのですか?

クリスチャン:何曲か歌詞が先にできることもありますが、主にメロディが先ですね。

──それはフレデリックさんも?

フレデリック:えぇ、やはりメロディです。まずピアノを弾いて、思いついたものをギターに置き換えてみたり。

──今作にはボーナストラックとして未発表曲「何故に」が収録されていますが、ベストアルバムに未発表曲を収録した理由というのは?

クリスチャン:確かにベスト盤ですが、やっぱり “新しい僕ら” というのも伝えたかったんです。それによって「このアルバムがさらにスペシャルな作品になるんじゃないか」という気持ちもあったし。何よりも、キングレコードさんをはじめ、日本の方々にとてもお世話になってので、これくらいのことをするのは当たり前かなと(笑)。

──未発表ということは、収録曲の中でも一番最近作られた曲ということですか?

クリスチャン&フレデリック:もちろん!

──このアルバムのために作られた曲なのですか?

フレデリック:そうです。この曲はクリスチャンが作りました。

クリスチャン:漠然としたアイディアはあったんですが、リリースする機会がないままの状態で。今回、日本でリリースすることが決まって完成形に仕上げました。

──歌詞はどういった内容を歌われているのですか?

クリスチャン:色々な捉え方があって良いとは思うんだけれども、説明するのが難しいな。二人の人間がいて、昔は存在していた絆が今は消えてしまった。それに気付かないで来ていたんだけど、ある瞬間「あ、昔ともう違ってしまったんだ」と気付いてしまうという。物理的にはそばにいるんだけれども、昔のようにお互いの気持ちが近くにはないというか。そういった内容です。

──ということはラブソングですか?

クリスチャン:二人の人間の中に存在する愛情を描いたラブソングなんだと思います。この曲では、歌詞の中に “星” を比喩表現として用いていて。 “星” って今見えている光は、実はもうそこにはないかもしれない。もしかしたら、太古の光かもしれないわけですよね。その星が破裂しても、その光はまだ届いていないかもしれないし。そうやって、先ほど言った二人の気持ちを表現しました。

──とても神秘的というか美しいですね。フレデリックさんはこの曲の歌詞を初めて読んだ時の印象はいかがでしたか?

フレデリック:彼の書く歌詞はとても深みがあって、直球で来るところがあったりするんだけど、この曲もそれに該当していて。“メランコリック” という言葉は少し違うかもしれないけれども、“悲しい” という感情を一番感じました。でも実は読んだ後、少し理解できなくて「どういう意味なの?」ってクリスチャンに聞き直しました。

──日本人である我々が今作を聴いてみて、フォークロックのサウンドにアジア的な発音に近い歌詞の響きが非常に新鮮に感じました。グリーンランドの音楽シーンでは、ナヌークのようなフォークロックが主流なのですか?

フレデリック:あまりメインではないかな。どちらかというとインディーロックというか。現在、僕らの国ではソフトなメロディに「I love you」や「I miss you」といった歌詞を乗せたPOPソングが流行しています。

──グリーンランドでは「ドラムダンス」というジャンルが有名だそうですね。

クリスチャン:「ドラムダンス」は古い伝統音楽で、今は観光客の人向けの音楽です。お祝いごと、つまり儀式やセレモニーで楽しむ音楽なので、CDで売れるようなものではないかな。

フレデリック:フェスなどでは「ドラムダンス」のバンドを呼んで、オープニングで盛大に演奏してもらうことが多いです。

クリスチャン:今作の5曲目「寂寥たる日々」イントロ部分でも「ドラムダンス」を聴くことができます。

──ところで、二人が影響を受けた音楽というのは?

クリスチャン:たくさん聴いてきましたが、ロックやヒップホップを一番多く聴いてきました。ロックの中でも70年代が特に好きです。でも、最近はエレクトロニック系だったり、聴いていたら眠ってしまうドリーミーな音楽も聴くかな。

──どのようなバンドがお好きですか?

フレデリック:若い頃はlimpbizkitやKoЯn、Rage Against the Machineを良く聴いていました。当時はハードロックを好んで聴いていたので。

クリスチャン:他にもMetallicaだったりRadioheadなども。最近ではSigur Rosも好きです。

──それでは最後に、来年2月の公演に向けて日本のファンへメッセージをお願いします。

フレデリック:とても楽しみです。大勢の皆さんが来てくれるとうれしいです!

クリスチャン:とにかく楽しみにしています。今回の来日(11月)は僕とフレデリックだけでしたが、次回はメンバー全員でのステージになるので、今からワクワクしています。また、ベストアルバムの中から楽曲を選んでセットリストを組むつもりなので、ぜひ作品も聴いてもらえるとうれしいです!

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ベストアルバム
『氷美~ナヌーク音綺譚~』

¥2,300(+税)
日本盤/キングレコード
日本語解説:山崎隆一
KICP-1806

01.人智を超えて
Pissaaneqaqisut
02.情熱の狩人
Pileritooq
03.輝ける陽光
Seqinitta Qinngorpatit
04.伝説の渡鴉
Timmissat Taartut
05.寂寥たる日々
Kisimiinneq
06.相愛
Ai Ai
07.存在意義
Inuinnaagavit
08.美しき大地
Nunarput Kusanaq
09.普遍の真理
Qummut Isigaara

10.幸唄
Qiimassutissarput Aajuna
11.道標
Qimavissanerparput?
12.古の記憶
Piiginnakkit
13.変動危機
Kuserpalaaq
14.先住民の叡智
Pissusitoqaraat
15.明日への道
Ingerlaliinnaleqaagut
16.ナヌーク序章
Nanook Intro
17.ナヌークの神秘
Nanook
18.何故に
Sooruna?*日本盤ボーナス・トラック(未発表曲)

来日情報
with カート・ブロック、ピーター・バック、スコット・マッコイ、マイク・ミルズ、リンダ・ピットモン、スティーブ・ウィン

・2017年2月7日(火)
京都・磔磔
18:00開場 19:00開演
前売チケット:¥8,500(ドリンク別)
チケット取扱:
THE MUSIC PLANTホームページ
チケットぴあ
e+会場

お問い合わせ:磔磔(たくたく)075-351-1321

・2017年2月9日(木)&10日(金)
東京 Shibuya WWW
18:30開場 19:00開演
前売チケット:¥8,500(ドリンク別)
チケット取扱:
THE MUSIC PLANTホームページ
チケットぴあe+ローソンチケット
お問い合わせ:Shibuya WWW 03-5458-7685

■公演情報の詳細は
こちら

Nanook(ナヌーク)

グリーンランドの南Nanortalikでバンドのフロントマン、クリスチヤンは犬のナヌークと出会う。
まるで北極熊のような白い犬のナヌークは、その後、彼の弟フレデリックと組んだバンドの名前となった。
ナヌークとはイヌイットの神話に登場する不思議な熊の王様のことである。
当時のグリーンランドはティーンエイジャーの自殺率が非常に高く、友達二人を自殺で失ったクリスチャンはグリーンランド語で歌を作りはじめる。
2005年クリスチャンは短編映画「Inuup Tarraa(男の影)」を自主制作。
そこに音楽を付ける必要があったため、ナヌークの母体とも言えるバンドを結成した。
2008年始めてヌークで行われたアトランティック音楽フェスティバルで初めてナヌークとして公演を行うと、バンドは2009年のデビューアルバム「Seqinitta Qinngorpaatit(僕らの太陽は君を照らす)」を発表。
あっという間に地元でもっとも人気のあるバンドとなりCDはゴールド・ステイタスを獲得した。
2011年グリーンランドのホラー映画「Quqqat Alanngui」(山の影に)に楽曲を提供し、これがグリーンランドで大変なヒットとなる。
また続いて発表されたセカンドアルバム「Ai Ai(幸せの音)」は、人口5万人ほどの小さな国においては驚異的な1万枚の売り上げを記録する。
2013年6月にファーストアルバムとセカンドアルバムからのセレクションに新曲を加えた編集アルバムを、デンマーク本国にて発表。同年12月にLIVEのDVD/ブルーレイ/CDをリリース。
またアメリカのケネディセンターにて行われた北欧音楽のシリーズコンサートにグリーンランド代表として参加し、その音楽がディスカバリーチャンネルの「Flying Alaska」に使われるなど国際的な認知度を高めるようになった。
2014年秋、新作「Pissaaneqaaisut」をデンマークのソニーのレーベルMermaid Recordsからリリース。
現在彼らはグリーンランド、そして国際的なフェスティバルにも参加し精力的に活躍しているが、現在でもその歌詞はすべてグリーンランド語であり、彼らは祖国とそこに住む友人たちの為に歌い続ける。
2015年3月「Music from Greenland」のショウケースを行なうために初来日。

Nanook are
Christian Elsner クリスチャン・エルスナー - Vocal, Guitar
Frederik Elsner フレデリック・エルスナー - Vocal, Guitar
Mads Røn マス・ロン - Keyboards
Andreas Otte アンドレアス・オテ - Bass
Martin Zinck マーティン・ジンク - Drums

 

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