──そして、同じくLiNさんによる「くじらのゆめ」ですが、読み方が “ゲーム” と読むそうですね。

LiN：この曲はゲームや絵本のような世界の話なんです。歌詞やタイトルを考えている時、まず “ゲーム” を英語にするのは良くあるやつだと思って。漢字にして平仮名にしました。「くじらのゆめ」は何となく可愛いかなと。

──どのように作られたのですか？

LiN：「俺が作らなそうな曲を作ってみたい」と思ってイントロとサビから作ったかな。その時に考えていたサビが「瞼に残光、」と似ているところがあって。そこを変えたらシングルに入れられるかも、という話になって。それで「じゃあ変えます！」と。

──すぐに変えられたのですか？

LiN：少しだけ時間が空きましたが、割と苦労せずに出来て。さっきも言った通り、ユナイトLiNの感じはまったくなくて。「本当に自分で曲作ったのかな」と思うくらいです。

──なるほど。

LiN：ファンにタイトルと歌詞を伏せて曲オケだけを聴かせて「誰の曲でしょう」って言ったら俺って答える人いなそう。

──そうかもしれないですね。続いて歌詞についてもお聞きしますが、すべて平仮名ですね。

LiN：平仮名にすればどんな内容でも絵本みたいになると思って平仮名にしました。ただ実際、子供が読むような内容ではないんですけど。

──サイレンが鳴り響いていたりと怖い印象です。

LiN：これをお母さんが読み聞かせれば絵本になります。

莎奈：最後 “しゅじんこう に えらばれる だろう” で終わってますけど、怖くて寝れないですよ（笑）。

──レコーディングで印象的だったことは？

莎奈：デモと今の状態ではサビのリズムが違くて。しかも、それがレコーディング前日までどっちになるか決まっていなかったんです。結局、当日は両パターン共録って。固まっていないままのレコーディングだったので「どうなるんだろう？」と。

未緒：間奏部分に俺の手グセではまったく弾けないフレーズがあったんです。聴いている分には想像できるフレーズだったんですが、実際にやってみたら全然指が動かなくて。結果、俺が今まで使っていなかった動きだと気付いて、「これは試練なんだ」と言い聞かせて頑張りました。実は未だに練習をしていたりします。

LiN：この間ユナスタで合わせたんですけど、逆に俺が弾けなくなってしまって。

莎奈：その日は高校生のコピーバンドの練習みたいでした。

LiN：レコーディングではちゃんと弾けたんですけど、やっぱり立って弾くと難しい。

──それでは、改めて今作の聴きどころについて教えて下さい。

莎奈：個人的な話をすると、よりドラマー目線なドラムになっていると思います。説明するのが難しいですが、１年前と比べても、今の方がドラムが好きになっていて。よりドラムに対する情熱が上がっているので、その辺りを感じてもらえたらなと思います。

LiN：ユナイトの基本となる部分は変わっていないのですが、音源を出すたびにアダルトになったと感じています。今回も「くじらのゆめ」を除いて、基本的なサウンドもそうで、ギターで挙げるとメインの音がクランチになりつつあるというか。なので、今作でユナイトを知った人は過去の作品を遡ってもらうとさらに楽しめると思います。

未緒：毎回言っていることですが、ユナイトは贔屓目なしに曲の幅が広いと思っています。それが人によっては印象が散漫になるという意見にもなるんですが、僕らは大前提が自分のために音楽をやっているので、自分のやりたい音楽をやるのが一番という信念に基づいて活動をしています。なので自信を持って色々な曲をやっています。「ユナイトって面白い音楽をやっているな」と純粋に楽しんでもらえたらなと思います。

──最後に、現在開催中の主催ツアー、そして3/29の6周年ワンマンに向けて意気込みをお願いします。

LiN：主催ツアーの発起人は俺なんですけど、とにかく対バンする人達にお祝いしてもらおうと。ツアー中に誕生日のメンバーもいますし。今までの周年では、ワンマン公演の近い日程にライヴを入れなかったり、地方でのワンマン公演をやったり決まりではないんですけど、良くも悪くもルーティーンっぽくなっていたんです。今回はそういう部分を崩してみたいという意味で主催ライヴにしようと。そこでワンマンでは得られない何か新しい発見があると思います。あと、ワンマン前に「もっとライヴを見ておけば良かった」と後悔したりすることがあったので、直前にカッコイイお友達バンドのライヴを見て刺激をもらいつつ、ファイナルのワンマンではいつもと違った気持ちで臨めるんじゃないかと楽しみにしています。

莎奈：去年はワンマンが多い年であまり対バンライヴがなかったんです。なので他のバンドのライヴを見る機会が少なくて。今回出ていただくのはユナイトと何かしら関係があるバンドさん達なので、彼らのライヴを見れるのは楽しみです。あと、5周年ワンマンにも出てもらったダンスグループSLHはもちろん知っているんですけど、どんなライヴをするか全然知らなくて。誰も全貌を知らないんです。そこが個人的には楽しみです。そして「2017年はイベントにいっぱい出るぞ」という雰囲気なので、それを経た上で新たな何かを掴めたらなと思っています。

未緒：人によってどう思うかわからないですけど、昨今のお客さんはバンド同士が仲が良ければ良いほどイベントが盛り上がる気がするんです。でも、俺個人としてはイベントライヴと言ったら、バチバチで戦うという認識で。でも今の時代はそれを求めていないから、戦うというよりは一緒に楽しい何かを作り上げる方が建設的だと結論が出て。それでユナイトが主催をやるんだったら、メンバーの誰かしらが友達だったり明確な関係性がある人達を集めようということで今回のツアーになったんです。お客さんが自分の目当てのバンドを見終わったら帰っちゃうよりは、目当てじゃないバンドも楽しんでもらえたらなと。全バンド楽しんでもらえるかは、結局のところは僕らには分からないけど、その一日が楽しいと思ってもらえるようなイベントに出来たら良いなと思います。