Unisonテクノロジーによりプロ級の音作りができるDSP内蔵モデル

ユニバーサルオーディオ「Apollo 8p」をエンジニアの篠崎恭一がレビュー!

ユニバーサルオーディオ「Apollo 8p」をエンジニアの篠崎恭一がレビュー!

2017/05/26



ユニバーサル・オーディオ

Apollo 8p

¥340,000

●問:㈱フックアップ
●TEL:03-6240-1213
http://www.hookup.co.jp

 
【製品概要】
 「Apollo 8p」は、高品質なオーディオインターフェイスとして確固たる地位を築いている同社の「Apolloシリーズ」の中でも、最も広いダイナミックレンジと低ノイズを実現した1Uラックサイズのモデルだ。8基のマイクプリを搭載しており、往年の名機と呼ばれるマイクプリのサウンドを、回路レベルで忠実に再現することができる。なお、Thunderbolt接続により、本機を最大4台までカスケード接続することも可能だ。マイクプリを4基搭載したApollo 8も発売されている。

◉Unisonテクノロジーによりプロ級の音作りができるDSP内蔵モデル

本機は周りのミュージシャンやエンジニアの間でも話題になっていて、私も非常に気になっていました。まずブラックパネルが高級感に溢れていますね。ツマミの感じも操作がしやすいですし、LEDの視認性がいいので安心して使えます。コントロールソフトの「console 2」もアナログコンソールみたいなデザインなので、すぐに使い方を理解できました。エフェクトのアサインも簡単です。

ファンタム電源やパッド、ローカットのオン/オフが、コントロールソフトだけでなく、フロントパネルに付いているスイッチで行なえるので素早く操作ができる


肝心なマイクプリの音質ですが、ハイが伸びていて、サスティンの切れ際がよく見えますね。音ヌケもいいですし、音自体に元気があります。特に優秀なのがApolloシリーズ独自の「Unison」という機能で、これを使うとUAD-2のマイクプリとかのサウンドが、限りなく実機に近い質感になります。

本機は高品位なマイクプリを8基搭載していますので、例えばドラムのマルチレコーディングや、バンドの一発録音でもUnisonを使えば、プロがビンテージ機器を何台も使って録っている音質を本機1台で得られます。

AD/DAコンバーターもすごく秀逸で、リバーブやディレイの質感がわかりやすいのでミックスがやりやすかったですし、ヘッドホンアウトの音質も分離が良くて、パンの細かい設定とかもスムーズに決まりました。

それと、本機にはDSPが内蔵されているので動作も非常に軽くて、今回はスペックがそんなに高くないパソコンを使ったんですけど、UAD-2プラグインを大量に挿してもサクサク動いてくれました。オーディオインターフェイス自体の音質はモダンな傾向なのですが、UAD-2プラグインでビンテージの質感を加えられますし、ロックやポップスなどあらゆる音楽のレコーディングやミックスで使えると思います。

アナログミキサー感覚で操作ができ、ゲイン調整やプラグインエフェクトのアサインも簡単な専用コントロールソフト「console 2」が付属している

 

今回、チェックをしてみて篠崎氏が特に気に入ったというUADプラグイン。写真左:UAD Lexicon 224(リバーブ)、写真右上:UAD Fairchild 660(コンプ)、写真右下:UAD Friedman BE100(ギターアンプ)


SPEC
●サウンドクオリティ:最高24ビット/192kHz ●入出力端子:マイクイン(XLR)×8、Hi-Zイン(標準フォーン)×2、マイクイン/ラインイン(コンボ)×8、ラインアウト(標準フォーン)×6、モニターアウト×2、ヘッドホン×2、デジタルインアウト(S/P DIF、S/MUX、ADAT)、Thunderbolt×2、パワーイン(XLR、電源供給) ●外形寸法:482.6(W)×44.4(H)×307.9(D)mm ●重量:4.1kg
 


【今回の試奏環境】

まず、各モデルのマイクプリの音質を確かめるために、AKG C3000BとロードM5という2本のコンデンサーマイクを用意して、ボーカルをC3000Bで、アコギのサウンドをM5で収音しました。それと、エレキギターをHi-Z入力に直接入力して演奏もしています。

接続したソースをダイレクトモニタリングにして演奏した状態と、Pro Toolsに録音して再生した音を、ヤマハのMSP7 Studio(スピーカー)、オンキョーIE 02(イヤホン)、ソニーMDR-CD900ST(ヘッドホン)で聴きました。

基本的には素の状態で試聴しましたが、内蔵DSPなどでエフェクトをかけられるモデルではエフェクトの質と、録音済みのソースにリバーブなどの空間系エフェクトをかけてエフェクトのかかり具合も確かめています。さらに、ドナルド・フェイゲンの『ナイト・フライ』、そしてビョークの『メダラ』を再生しての確認も行ないました。


◉チェッカー:篠崎恭一(シノザキ キョウイチ)
サウンドクリエイターやトラックメイカー、レコーディングエンジニア、PAエンジニアとして幅広く活動する傍ら、DAWの豊富な知識を活かし、GRANRODEO、IDOL M@STER、長渕 剛などのマニピュレーターとしても活躍。また、専門学校で後進の指導にも力を入れている。
 

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