驚異的テクニックと類稀なる音楽的感性を兼ね備えた “真のギター狂”

金 庸太(キム・ヨンテ)『ギタロマニーの凱旋』インタビュー

金 庸太(キム・ヨンテ)『ギタロマニーの凱旋』インタビュー

金 庸太(キム・ヨンテ)『ギタロマニーの凱旋』インタビュー

2017/06/13

 

──続いて、速弾きのオンパレード「蜂」三部作ですが、もともとは別の曲ですよね。

これらの曲は最初にプロデューサーからリクエストがありまして。で、僕自身もコンサートで「蜂雀」をよく取り上げていて、「熊蜂」とセットで弾いていたんです。というのも皆さん「蜂雀」はアマチュアの方でもなかなか弾けないんですけど「熊蜂」は意外と弾いているんですよ。ただ、あのスピードではなかなか弾けないと思います(笑)。それで良くセットで弾いていましたので、今回のレコーディングで「じゃあ、まだ “蜂” が付いている曲が1曲あったな」ということで、「この三部作でどうでしょう」と。

──あの3曲は圧巻ですね。では次に21曲目の「最後のトレモロ」についてもお聞きします。最初に聴いた時にトレモロでメロディを弾かれていて、コードバッキングもベースも流れていたんですけど、これは重ね録りですか?

いえ、一発録りです。

──どうやって録られたんですか?

通常のトレモロはマンドリンとかだと、ピックで往復をしてずっとメロディが続いている状態なんですけど、クラシック・ギターの場合は親指で1回ベースを弾いて、その後に薬指、中指、人差し指の順番で同じ弦を連打します。これを速く繰り返すことによって、メロディが続いていくんです。ベースが入る時に1回切れているはずなんですけど、良い感じで繋がって聞こえます。

──小指は使われないんですね。

そうなんです。ちなみに、実は「グラン・ホタ」の最後の変奏も同じ奏法で弾いています。

──10曲目では誰もが知る名曲「愛の讃歌」を弾かれていますが、選曲理由は?

この曲は何年も前から自分のレパートリーとして弾いていて、演奏会でも取り上げているんです。なので、「やっぱり、この曲が入ったCDが欲しい」と言ってくださるお客さんが結構多くいらして。だからこそ僕としても「絶対に入れたいな」と考えていました。あとは、個人的にも聴きやすい曲という思いがあったので提案したんです。結果的に割と尖った曲の中に上手くハマったというか、ワンクッション置くことができました。

──メロディラインを際立たせるアレンジのシャンソン曲で、金さんの主旋律がとても美しいですね。

はい、素晴らしいアレンジなんです。去年の10月に編曲を手がけたローラン・ディアンスは亡くなってしまったんですけど。

──そのアレンジのまま弾かれているんですか?

えぇ、ローラン・ディアンスのアレンジそのままです。

──せっかくギターお持ちいただいているので、普段の練習方法なども見せていただけますか?

普段の練習はもちろん基礎的な音階練習とかそういうものを中心にやっています。まぁギターでよく言われているのがスラー、スケール、アルペジオの3つの基礎練習があるんですけど、そういったことを含んだ練習曲をやることが多いです。今作にも収録されているH.ヴィラ・ロボスの3曲なんかもよく弾いています。割と総合的にそういうものが出てくるので、たくさん練習をして指慣らしなんかにも使うので、それがプロデューサーの目に止まったキッカケにもなったわけです。

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『ギタロマニーの凱旋』(Return to Guitaromanie)

2017年6月7日発売
CD:KICC-1368
¥2.500(+税)
KING RECORDS

収録曲

01.カプリース第5番~「24のカプリース 作品1」より [N.パガニーニ/E.フィスク編]
24 Caprices,Op.1 No.5 in A Minor (Agitato) [Nicolo Paganini / arr.Eliot Fisk]

02.ワルツ第4番 [A.バリオス] Vals Op.8 No.4 [Agustin Barrios Mangore]

03.ワルツ第3番 [A.バリオス] Vals Op.8 No.3 [Agustin Barrios Mangore]

04.熊蜂 .プジョール] El Abejorro milio Pujol]

05.蜂雀 [J.サグレラス] El Colibri [Julio Salvador Sagreras]

06.蜜蜂 [A.バリオス] Las Abejas [Agustin Barrios Mangore]

07.グラン・ホタ [F.タレガ]Gran Jota [Francisco Tarrega]

08.カプリース第17番~「24のカプリース 作品1」より [N.パガニーニ/E.フィスク編]
24 Caprices,Op.1 No.17 in E-flat Major (Sostenuto -Andante)
[Nicolo Paganini / arr.Eliot Fisk]
4つのフレンチ・シャンソン [R.ディアンス編]
Four French Chansons [arr.Roland Dyens]

09.パリとゲッティンゲン [バルバラ] Gottingen [Barbara]

10.愛の讃歌 [M.モノー] L'Hymne A L'amour [Marguerite Monnot]

11.僕の部屋に雨が降る [C.トレネ] Il Pleut Dans Ma Chambre [Charles Trenet]

12.群衆 [A.カブラル] La Foule [Angel Cabral]

13.ブルースと7つの変奏 [D.ボグダノヴィッチ]
Blues and Seven Variations [Dusan Bogdanovic]

14.天使の死 [A.ピアソラ/L.ブローウェル編]
La Muerte del Angel [Astor Piazzolla / arr.Leo Brouwer]

15.エチュード第7番~「12のエチュード」より [H.ヴィラ=ロボス]
Etude No.7 in E Major~Douze Etudes [Heitor Villa Lobos]

16.エチュード第1番~「12のエチュード」より [H.ヴィラ=ロボス]
Etude No.1 in E Minor~Douze Etudes [Heitor Villa Lobos]

17.エチュード第2番~「12のエチュード」より [H.ヴィラ=ロボス]
Etude No.2 in A Major~Douze Etudes [Heitor Villa Lobos]
サンディの肖像 .アサド] Sandy's Portrait ergio Assad]

18.Ⅰ.プレルディオ Preludio

19.Ⅱ.パッサカリア Passacaglia

20.Ⅲ.トッカータ Toccata

21.最後のトレモロ [A.バリオス] El Ultimo Tremolo [Agustin Barrios Mangore]

All Tracks Performed by Yong-Tae Kim

Guitars:Daisuke Kuriyama Torres model 2015 *M1~4,6~12,15~19
Masaji Nobe Stauffer model 2001 *M5
Masaki Sakurai Maestro R.F model 2006 *M13,14

Recorded on 15~17 February,2017 at KING SEKIGUCHIDAI STUDIO

金 庸太(キム・ヨンテ)

1967年東京生まれ。

13歳よりギターを始め、大谷環、尾尻雅弘、福田進一に師事。1993年名古屋ギターコンクール、1994年スペインギターコンクールにおいて第1位受賞。1994年及び1998年東京国際ギターコンクール第2位受賞。

1995年に渡仏、パリ・エコールノルマル音楽院にてアルベルト・ポンセに師事。1997年、同音楽院ギター科を審査員全員一致の第1位で修了。翌1998年、同音楽院の演奏家ディプロマを審査員全員一致の首席で取得。同年、ベルギーに移り、王立アントワープ音楽院スペシャライズコースに在籍、ローランド・ブロックスの下で研鑽を積む。その間、ギターをアルバロ・ピエッリ、ジェラール・ヴェルバに、アナリーゼをナルシス・ボネに師事、ヨーロッパ各地で演奏活動を行なう。

2000年に帰国後は、ソロ、室内楽、オーケストラとの共演など幅広く活動中。2006年5月、アルポリール・ギタートリオのメンバーとしてアルバム『アルポリズム』を発表。同年10月に発表したソロ・アルバム『ヴァリエ2 内なる想い』は『レコード芸術』誌にて特選盤に選ばれる。2007年にマンドリン奏者・桝川千明とのデュオ・アルバム『Vivo!』、2015年にはビエント・デル・スールのメンバーとして『南の風』を発表。

また、教育活動にも熱心に取り組み、聖徳大学、洗足学園音楽大学、現代ギター社GG学院、村治昇ギター早期才能教育教室などで講師を務める。

 

ライブ情報

6月10日 (土)
時の記念日コンサート〜南からの風〜ビエント・デル・スール
時間 開場18:00 開演18:30
会場 日髙本店プロショップ2階 サロン

外山友紀子(フルート)
啼鵬(バンドネオン)
キム・ヨンテ(ギター)

6月24日(土) 
第3回 Il Mandolino Giapponese
もう一つのイタリア文化
(*青山忠マンドリンアンサンブルのメンバーとして出演)
会場:イタリア文化会館アニェッリホール
開場:14時00分 開演:14時30分
《チケット》
前売り 4,000円 
当日 4,500円
学生  3,000円 
当日 3,500円
《お問合せ》
株式会社 イケガク 
Tel.03-5952-1391
有限会社 絃楽器のイグチ
Tel.03-3378-5357

6月30日
「ギタロマニーの凱旋」CD発売記念インストアライブ
日時:2017年6月30日(金)
開場18:30 開演:19:00

場所:現代ギター社 GGサロン

料金:無料 ※先着80名様限定(事前予約制)

メール(
shop@gendaiguitar.com
または電話(03-3530-5342 12:00~19:00・火・水定休)にて事前予約を受け付けます。

7月18日~23日
韓国ヤンピョン国際ギターフェスティバル
詳細未定

7月30日(日)
青山忠マンドリンアンサンブル 灼熱浪漫 
会場:近江楽堂 (東京オペラシティ3F)
開場:13時40分 開演:14時00分
《チケット》
当日 4,000円 
前売り 3,500円
学生割引 前売りのみ 2,000円
(数に限りあり。ご入場の際に学生証を提示願います)
《チケット取り扱い》
株式会社イケガク
03-5952-1391
E-mail:info@ikegaku.co.jp

8月4日(金)
青山忠マンドリンアンサンブル コンサート
かぼちゃとやぎ(埼玉県上里)

8月5日(土)
青山忠マンドリンアンサンブル 前橋公演
前橋文学館ホール

8月6日(日)
青山忠マンドリンアンサンブル 流星浪漫 vol.6
会場:熊谷文化創造館 さくらめいと 月のホール
開場:13時30分 開演:14時00分
《チケット》
当日 3,500円
前売り 3,000円
学生割引 2,000円 (ご入場の際に学生証を提示願います)
《チケット取り扱い》
株式会社イケガク
03-5952-1391
E-mail:info@ikegaku.co.jp
後援:さくらんぼマンドリンアンサンブ

8月12日(土)
第2回 アポヤン道ギターフェスティバル
会場:蕨市文化ホールくるる
出演(予定):大坪純平、EXTRAÑO GUITAR FANCTION 、新野英之&峰島佑輔 、Led groooover(旧 IGOSSO)、菅沼“Masa”聖隆、セニョール吉住、エチュード戦士ペロワちゃんZ  スペシャルゲスト:“Ukulele DA1” 渡辺海智(ワタナベダイチ)

8月18日(金)~20日(日)
第1回 じじいサマースクール
会場:鹿教湯温泉 鹿乃屋旅館
講師
マルコ・メローニ
樋浦靖晃
金庸太 

8月26日(土)
青山忠マンドリンアンサンブル 北海道公演
札幌 ザ・ルーテルホール

8月27日(日) 青山忠マンドリンアンサンブル 北海道公演
奈井江 文化ホール「コンチェルトホール」

9月17日(日)
CD「ギタロマニーの凱旋」発売記念コンサート
会場:ティアラ江東 小ホール
開場 18:30 開演 19:00
チケット
前売り2500円
当日3000円  
(学生 各1000円割り引き)

主催 日本アポヤンド研究開発機構 
後援 KING RECORDS (株)現代ギター社   
問い合わせ
オフィス・ウマジン 
Tel&Fax 0484326852
Eメール guitarkimz@gmail.com    
公式ウェブサイト
「ギタロマニーの黄昏」
https://guitarkim.jimdo.com/
当日、CD「ギタロマニーの凱旋」をご購入、またはご持参いただいた皆様には終演後のサイン会にて特製オリジナルクリアファイルをプレゼント!

12月16日(土)
Trianglo コンサート

那須野が原ハーモニーホール 
開演19:00

詳細は未定

12月23日(土・祝)
青山忠マンドリンアンサンブル 白色浪漫
東京オペラシティ内 近江楽堂

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