ギタリストの青木征洋氏がチェック!

泣く子も黙るメタル系ギターアンプENGL Savage 120がUAD-2に登場

泣く子も黙るメタル系ギターアンプENGL Savage 120がUAD-2に登場

2017/10/31


ハードウェアのDSPを使って、パソコンのCPUに負荷をかけることなく高品質なプラグインが多数使える人気のプラグインシステム、ユニバーサル・オーディオUAD-2。最新のVer.9.3では、待望のメタル系ギターアンプ・プラグイン「ENGL Savage 120 Guitar Amplifier」が追加されました。その性能をギタリストの青木征洋氏にチェックしてもらいました。

取材:本多理人(サウンドデザイナー編集部)
写真:小貝和夫

ENGL Savage 120 Guitar Amplifier $149.00

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メタル系ギタリストに大人気のギターアンプ、エングルSavage 120をUAD-2用のプラグインとしてソフトウェア化した製品。リッチな倍音を含んだ豪快なトーンが魅力で、カリッとしたクリーンや、芯のあるクランチ、ズ太いリードまで、多彩なトーンを作り出せる。プラグイン化にあたっては、ノイズゲートやトーンが調整され、キャビネット/マイク/プリアンプを選択できる「レコーディングチェイン」やディレイなど、レコーディングに使うことを前提とした機能も備わっている。なお、最新のUADソフトウェアVer9.3で、すべてのENGLギターアンプがApolloのUnisonテクノロジーに対応した

完成度の高いハイゲイン系アンプがUAD-2に登場するのを待っていた

──青木さんは、UAD-2のエングルのアンプを使ったことはありましたか?

青木:以前、ブレインワークスが開発したE646とE765を触ったことはあって、その2つは「エングルって確かにこれくらい引っ込んだ音だよな」っていうネガティブな部分まで再現されていたので、それ以上は手を出していませんでした。

──では、今回の「ENGL Savage 120」(以下ES120)の印象はいかがですか?

青木:すごい好感触で、「らしくないくらい音が前に出てくるな」と。前出の2モデルに比べてサウンドの重心を下の方に置きやすいというか、ピッキングのキンキンする感じを抑えながら、ローミッドにブ厚さのある、押し出す感じが作れるので、これはいいなと。ヘヴィな音楽にギターのローって意外といらないんですけど、このアンプは必要十分なローが出せるので扱いやすい音だと思いました。

──完成度がかなり高いのですね。

青木:最近のUAD-2のギターアンプの完成度に揃えてきていると思いました。UAD-2のアンプで最初に「なんじゃこりゃ!?」と思うくらいハイクオリティだったのが、ソフチューブが作ったマーシャルの1959だったんです。「これはマーシャルそのものじゃないか!」と。そこからソフチューブがマーシャルのプラグインをいくつか出して、どれもマーシャルそのものの音だったんですけど、オールドマーシャルが中心で、最近のものでもJCM800までなんですよ。個人的にはJCM2000やJVMとか、「もうちょっとハイゲイン系がこないかな」と思っていたらユニバーサル・オーディオがフェンダーのアンプを出してきて。それがとんでもなくハイクオリティだったので、「この感じでハイゲインアンプも出してほしい!」って待っていたら、このES120がリリースされたんです。これで、ひと通りのジャンルをカバーできるところまでUAD-2のラインナップは揃いましたね。

──ES120のセッティングのポイントはどのあたりにあるのでしょうか?

青木:デフォルトではデプスとかいろんなスイッチがオンになっていますが、僕は基本的に信号の流れに横やりを入れるような機能は減らしたいので、コンツァーとかフィルター系のスイッチをオフにしてみたら、いい感じの音になりました。

──使い込んでみて気づいたことは?

青木:メタルのリフの音作りって、アンプに入れる前にアイバニーズTS-9系のペダル(以下TS)を通すのが前提だったりするじゃないですか。だけど、このES120はTSを使わなくても、「リードブースト」っていうスイッチを入れると、キュッとレンジが狭まる感じがあって適度にまとまるんです。ゲインを下げながらリードブーストを入れることで、リフの壁感を出しながら、歪み過ぎない音が作れるのが便利だなと思います。

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今回試奏したUAD-2プラグインは、青木氏が所有しているユニバーサル・オーディオApollo 8(中段の黒い製品)の内蔵DSPで起動した。フロントのHi-Z端子に、ギターを直接つなげてサウンドチェックを行なったという

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青木氏は同社の旧製品であるApollo TwinをApollo 8に接続してチャンネル数を拡張している

ES120はザクザクくる感じとミッドを押し出す感じが両方出せる

──キャビネットも色々選べますよね。

青木:デフォルトのキャビが「American412」になっていたので、「あ、エングルのキャビじゃないんだ」って思いました。聴いた感じだと、メサ・ブギーのOversize 412のVintage 30じゃないかなと。あれは僕の中でメタルキャビの名作で、下までバシッと出るし上もくっきりはっきり出るし、音圧がすごいあるので実物が欲しいくらいだったんです。

──キャビによってサウンドの印象がかなり変わるんですね。

青木:スピーカーを変えるだけで、ピッキングのアタックの感じが引っ込んだり出てきたりしますからね。ES120は1個のキャビに対して20個もマイキングとかのバリエーションがあるし、キャビをバイパスすることもできますから、自分が持っているIR(※)と組み合わせることも可能です。前のエングルのプラグインと比べると、使いやすさの面でもクオリティの面でもかなり上を行っています。

──機能的に便利なところは?

青木:メタルをやるうえでは、フィルターが便利だなと思いました。メタルでTSを使うことが多い理由に、ローが抑えられて音をタイトにできるっていうのがあるんですけど、それと同じことがこのフィルターでできます。音を聴きながらちょうどいいところまで周波数を上げていくと、ローエンドがキュッとしまるんです。アンプの前にフィルターを入れれば、ブリッジミュートで"ズン"と弾いた時にもローが広がらずに、いい具合にまとまってくれます。

──ES120はかなり色々なセッティングができるようになっているんですね。

青木:パワーアンプの特性もオフにできますから、オフの状態で出力して、ハードウェアの真空管パワーアンプで増幅してキャビから鳴らせば、ES120をプリアンプとして使うなんてこともできます。

──デプスのスイッチはどんな時に使ったらいいでしょうか?

青木:あまりローが出ないギターとかは、デプスをオンにするとローが出るようになるかもしれません。あとはシングルコイルで音がキンキンになり過ぎないようにしたい時に、これを入れるのもありかな。グシャグシャに歪んだスラッシュメタルとかをやるなら、コンツァーをオンにしてミッドをカットして、ゲインを上げれば対応できると思います。5150の音が出したいけど、いいプラグインがないと思っている人にもES120はオススメですね。ザクザクくる感じと、ミッドを押し出す感じが両方出せますから。

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メタル系のリフ用のセッティング例を作ってもらった。ローを引き締め、ミッドを押し出しながらハイもある、壁になるサウンドだ。ゲインは上げ気味、ミドルは下げ気味にし、レコーディングチェインはダイナミックマイク系の「011」を選択。フィルターを入れてローエンドを削り、ゴリゴリに歪んだキックやベースと合わせると、バンド全体で壁のようなサウンドが作れるだろう

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メタル系のリードギター用のセッティング例。レコーディングチェインはマイクがSM 57の「020」を選び、アンプ側で少しプレゼンス(ハイバランス)を上げる。さらに、ゲインを下げつつマスターを上げて、軽くサチュレーションさせているのもポイントだ。なお、ディレイも使用している


問:(株)フックアップ
TEL:03- 6240-1213
http://www.hookup.co.jp

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プロフィール

青木征洋(アオキ マサヒロ)

東京大学工学部卒。ViViX代表。

5歳からクラシックピアノを学び、14歳からギターに転向。19 歳の頃に自身のレーベル「ViViX」を立ち上げ、以来インターネット界からギターシーンを開拓し続ける。2005年にギターインストの流布を目的としたプロジェクト「G5Project」を開始し、7枚のアルバムをリリースした。2008年株式会社カプコンに入社後は戦国BASARAシリーズの音楽制作に携わり、同社を退社後もStreet Fighter Vの作曲を担当するなど、ゲーム音楽の世界でも活躍している。

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