SONARユーザーのためのDAW乗り換えガイド

【主要DAWソフトレビュー】プリソーナスStudio One 3

【主要DAWソフトレビュー】プリソーナスStudio One 3

2018/02/14


TASCAM Professional Softwareブランドとしてリリースされていた「SONAR」の発売が、昨年をもって終了しました。多くのSONARユーザーの中には、引き続き使っていくという人もいるかもしれませんが、パソコンやOSのバージョンアップのことを考えて、他ソフトへの乗り換えを考えている人も多いはずです。この特集では、次に手に入れるべきDAWソフトを選ぶうえでの足掛かりになる情報をご案内しましょう。
 

軽快で合理的な操作性と圧倒的な高音質が魅力

プリソーナス
Studio One 3

Professional日本語版(ダウンロード版:¥42,800、USB版:¥45,800) Professional日本語版+Notionバンドル(ダウンロード版:¥46,800) Artist日本語版(DL版:¥12,800、USB版:¥15,800) Artist日本語版+Notionバンドル(DL版:¥19,800)
問:㈱エムアイセブンジャパン
https://www.mi7.co.jp
 


「Studio One」は、ドイツのDAWプログラミングの巨匠、ヴォルフガング・クンドゥルス氏が中心になって開発された高音質が持ち味のDAWソフトです。1つの画面で作業ができるシングルウィンドウをいち早く取り入れ、音楽制作とマスタリングを同時に行なうことができるなど、革新的な機能を多数備えています。
 

発売されて約8年と、数あるDAWソフトの中でも新興の部類に入るのが、Studio Oneシリーズです。最新の技術に基づいて設計されている分だけ動作が軽く、今時の音楽制作に求められる機能と使い方にフォーカスした、合理的な操作性を備えているのが特徴です。

例えば、Studio Oneの特徴のひとつでもある、ウィンドウを重ねずに1つの画面の中に全情報を表示して、ドラッグ&ドロップでセットアップを進めていくユーザーインターフェイスは、X1以降のSONARに慣れているユーザーならば、すぐに馴染めるでしょう。

そして、Studio Oneの最大のポイントと言えるのが、何と言っても音の良さです。64ビットエンジンなどの数値的なスペック以上に、そのサウンドは目の前から薄膜を1枚剥いだような解像度の高さを持っており、多くのパートを鳴らした場合でも飽和せずに、余裕で再生することができます。

特にDAWソフトを、演奏や歌をレコーディングするツールとして考えている人や、ソフト音源を多用する人には、同ソフトのオーディオ性能の高さは、かなり魅力的だと思います。実際、プロエンジニアの中にも、優れた音質面を考慮してStudio Oneに乗り換えている人が数多くいます。ちなみに、ピアノロール画面の使い勝手も良く、編集機能も十分に備わっているので、打ち込みもスムーズに行なうことができます。

その他、新機能の追加とバグ修正のアップデートがマメに行なわれる点や、ソフトのアクティベーション管理が容易な点なども、本ソフトを主力ツールとして末永く使っていくうえで安心できます。

Studio Oneは、とにかくストレスなく直感的に音楽制作が行なえるように考えられていて、実際に使ってみてこそソフトとしてのポテンシャルの高さがわかるDAWソフトだと思います。ちなみに、無料版の「Prime」もあるので、ぜひ一度試してみてください(文:平沢栄司)。

【動作環境】
・Mac=Mac OS X 10.8.5以降。Intel Core 2 Duoプロセッサー(Intel Core i3以上推奨)
・Windows=7 x64/x86 SP1+platformアップデート、8.1 x64/x86、10。Intel Core 2 DuoまたはAMD Athlon×2プロセッサー(Intel Core i3またはAMD Athlon X4以上推奨)
・Mac/Windows共通= 4GB RAM(8GB以上推奨)。30GBハードディスク。1366±768解像度以上のディスプレイ。タッチ操作にはマルチタッチに対応したディスプレイが必要
 

 

売りの機能①=アイディアのテストに便利な「スクラッチパッド」

Studio Oneには、独立した作業エリアとして「スクラッチパッド」が用意されています。トラックのデータに手を加えることなく、スクラッチパッドに複製したデータのみ編集が行なえ、納得が行く結果が得られたらソングに書き戻すことができます。スクラッチパッドは1つのソングの中に複数持つことができるため、異なるアイディアを比較検討するツールとしても使えるなど、とても重宝します。
 

売りの機能②=セクション単位の編集ができる「アレンジトラック」

Studio Oneには、後から楽曲の構成を入れ替えるような編集を、より簡単に行なえる「アレンジトラック」が用意されています。AメロやBメロ、サビなどの区間に名前を付けて管理し、そのセクションに含まれる全イベントに対して、一括で移動やコピーなどの編集が行なえます。この機能はスクラッチパッドと相性が良く、例えば曲の一部をスクラッチパッドに送りたい時は、その区間をセクションとして設定することで、ドラッグ一発で全トラックの該当区間をスクラッチパッドに送れます。
 

売りの機能③=曲作りに必要なものが一覧できる「ブラウザ機能」

 

画面右側には、楽曲作りに必要なものを一覧できるブラウザがあります。Studio Oneでは、ここからソフト音源やエフェクト、フレーズ素材などをメイン画面上へとドラッグ&ドロップすることで、ソフト音源のトラックを作成したり、エフェクトをインサートしたり、トラックにフレーズを貼ったりといったことが直感的に行なえます。また、素材を管理する機能も優秀で、条件付けによる並び替えや検索機能を持っているので、手持ちの素材が膨大になってきても、必要とするものに素早くアクセスすることが可能です。
 

売りの機能④=「Melodyne」を機能の一部として呼び出せる

Studio Oneでは、SONARユーザーにもお馴染みのピッチ補正機能「Melodyne」が利用できます。起動方法もSONARと一緒で、あたかもStudio Oneの機能の一部のように扱えます(この機能は、セレモニー社とプリソーナス社により共同開発されたものです)。オーディオトラック上で右クリックをしてMelodyneを呼び出すと波形が読み込まれ、自動的にピッチなどを解析した状態で、下部のエリアにエディタ画面が開きます。あとは、マウスで音程などの修正を行なえばOKです。
 

売りの機能⑤=専用ソフトに匹敵する高度なマスタリング機能

Studio One Professionalには、マスタリングモードが用意されています。注目すべきなのは、他のDAWソフトのように、たんにマスタリング向きのエフェクトが用意されているだけでなく、専用ソフトと同等の機能が内蔵されている点です。しかも、通常の楽曲制作を行なう「ソングモード」とリンクしており、2ミックスのファイルを用意しなくても、いつでもプロジェクトにソングを追加しながらマスタリングを進めることができます。
なお、CDマスタリングの標準形式であるDDPファイルの読み書きにも対応しています。
 

売りの機能⑥=エフェクトなどの魅力的なプラグインが付属

充実した付属のプラグインエフェクトも魅力です。EQやダイナミクス系、歪み系やアンプシミュレーター、揺らし系や空間系などの主要なエフェクトが網羅されており、それらのデザインや操作性に統一感があるので、非常に扱いやすいのが特徴です。ソフト音源に関しては、汎用性の高い音色を網羅しているサンプラーや個性的なシンセなどが入っており、Studio Oneだけでもバックトラック制作を行なうことができます。
 

SONAR特有の機能と共通の機能も搭載!

SONARの「AudioSnap」のように、オーディオイベントのトランジェントを検出し、それを基準にクオンタイズやストレッチを行なえるので、オーディオのタイミング補正も容易です。その他、トラックやイベントのバウンス、オーディオ素材のテンポ同期(グルーブクリップ化)のような処理も、手順こそ異なるものの同様の結果が得られます。

編集操作については、SONARの「スマートツール」的な多機能ツールがあり、その他の機能についてもトラックフォルダやトラックの表示/非表示の切り替え、ショートカットキーのユーザー定義といった使い勝手の部分から、アルペジエーターなどの機能面も含めて、多くの部分でSONARのノウハウが応用できます。
 

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