──それでは10曲目「One Step As You Are」はどなたが？

sebastian：これは僕が作詞作曲を担当しています。作り方として、僕が重点を置いているのがサビなんです。サビのメロがひらめくか閃かないかで変わってくるので。断片的ですけど自分で歌った「ラララ」を携帯のボイスメモに入れてて。例えば風呂入ってる時に「このメロ良いな」って思ったら、上がってすぐ入れたり。後で聴き返して自分の中でOKだと思ったら作ろうみたいな。たまに「なんだこれ？」って思ったりもします。

IKUO：それ分かる！ それで一晩寝かすとちょうど良い。

sebastian：でしょ？ それで自分の中でサビが上手くハマったんで、そこから仕上げました。

──パートはやはりギターを先に作るのですか？

sebastian：それよりも前に僕はドラムのビートだけを先に作りたいんです。イメージとしては明るい西海岸パンクスで、ドラムのビートを200でやろうと思って、曲頭から徐々に作り上げました。ギターをハメて、コードを確認して、ベース入れて、最後に歌入れるって手順ですね。特殊なことはせずルート弾きだし、歌も「ラララ」のままなんですけど。どうしても外せない！ってところだけ、ちゃんとした言葉で歌ったり。基本的に自分で作った曲に対しては歌詞も自分で書きます。

──歌詞については？

sebastian：内容的には甘酸っぱいことを言っているんですけど、「One Step As You Are」と言う言葉は “等身大の自分” ということを言ってるんですけど、「One More Step」つまり “一段階上に行こうぜ” とはひと言も言ってないんです。 “お前らしくて良いじゃん” ってことを伝えたかったんです。

──栄二郎さんは実際に歌ってみていかがでしたか？

栄二郎：デモを聴いた段階で「スゲーシンプルだな」って思ったんですけど、とにかく「この曲をブル流にするにはどうしたら良いんだろう？」と。「IKUOフィルター通ったらそれらしくなるかな」ってのもあるんですけど、とにかく時間がなかったので（笑）。結果的には色々な要素が入ってきて、セバスがOKだと思う曲に仕上がったので、いつも通り要望に応える形で歌えました。

──どのようにアレンジをされたのでしょうか？

淳士：僕も初めて聴いた時に「シンプル極まりないな」と感じて。でも、セバスの作る曲って良い意味ですごくシンプルだからこそ、どうとでもなるんです。今までだったらIKUOくんフィルターを通すこともありましたけど、今回はセバスが「シーケンスもいらない」みたいなことを言っていて。

sebastian：僕らの曲の中でも一番音数が少ないんです。色々なものを詰め込まず、4人でしかできないような感じにしたくて。

淳士：ちなみにセバスは現場来ないので、どういう思惑なのか分からなかったりもしたり...レコーディングでプリプロやってる感じです。ドラマーとしては一番やり易いんですけど。

sebastian：うん、そうだね（笑）。まぁ、デモがそのまま採用されるとは思っていないので。

淳士：それから「シンセいらないって言ってもね（笑）。ちょっと考えようよ」と言う話になり。それでIKUOくんが頭のリフを変えたり。他にもアップテンポになるセクションのビートを整理したりだとか。あとは僕がだしたアイディアはエンディングのメロが良いじゃないですか。聴く側としてはきっと感動的、壮大的に終わるんだろうと予想するわけです。でも、逆に今までやったことないアレンジで、バックの音が一切なくなって、アカペラとクラップでメロディを追っかけてって、また復活すると見せかけてフェードアウトするのはどう？って提案したんです。そしたら「面白いね」って採用することになって。とは言え、あまりにも唐突過ぎるのでIKUO君がストリングスを加えました。

IKUO：あとBメロはDJにスクラッチをやってもらったよね。もともとはスクエアだったのを、そこだけ跳ねさせて世界観を変えたんです。

──みなさんでコーラスされてますよね？

淳士：あ、2番のAメロですね。

IKUO：そうだ！ みんなで一人ずつ歌ってるんです。

栄二郎：聴いてたら立ち位置と同じように、色々なところから聴こえてくるんですよ。聴きどころの一つですね。

──では、今回のアルバムレコーディングの使用機材について教えていただけますか。

sebastian：基本はGibsonレスポールのGold Top ClassicとCustom Shop製の58’ヒストリック、それとフェルナンデス製の僕のシグネイチャーモデルを使いました。ちなみに、使い分けとしてはソロやカッティングの時はレスポールを弾いています。

──エフェクターは何を使われましたか？

sebastian：今回はエフェクターは使っていないです。ミックスの時にディレイをかけてもらったぐらいで、特殊な音色は一切使っていないです。ただ、今までシングルで弾いていたんですけど、今回はソロでダブリングをやってみようと。ダブルで弾いてハモってみたり、ズラしてみたりしてみました。

──アンプに関しては？

sebastian：デモ作りの段階ではヒュース＆ケトナーのアンプで、レコーディングは全部フラクタルのパッチを使いました。ケーブルは普段からEx-Proさんにお世話になってて、FLというモデルを使っています。ノイズが乗らず色付けされないので重宝しています。