──その次の楽曲「わたしたち」にも自分らしく生きていこうという「幸せって。」と共通するメッセージが込められていますよね。

Crystal Kay：そうなんです。この楽曲も自分に自信を持って欲しいというのがテーマにあって、生き方は人それぞれというのを表現しています。

──この楽曲は、ご自身が作曲にたずさわった作品。どうやって作曲していったんですか？

Crystal Kay：確かトラックからだったと思うんですけど、Carlos.KとKanataさんとスタジオで話しながら作っていきました。制作を始めた当初から、どこかキラキラしていてさわやかな曲がいいんじゃないかなとは思っていたんです。それに女性に向けた楽曲なので、以前リリースした「何度でも」のようなヴァイブスも入れたいなと思っていました。

──そして、その後の4曲は、先ほども言っていたようにすべてご自身が作詞作曲に携わった楽曲です。「I Just Wanna Fly」は、とても独特な楽曲。導入部は、ちょっとミステリアスですよね。

Crystal Kay：そうですね。ちょっとフューチャーベース的な。これも昨年から作っていた楽曲で、最初からサビでバーンと飛んでいくっていうイメージの曲にしたかったんです。だから、デモの段階からサビでは、もう〈I Just Wanna Fly〉と歌っていました。この最終のアレンジになる前は、実はもうちょっと優しい感じだったんです。でも、もうちょっと強くしたいって私がお願いして、今の形になったんです。そのかいもあって、とても好きな楽曲に仕上がりましたね。ライヴでも、楽しく聴けるはず。お客さんも、ストレスが発散できると思います。

──歌詞にも〈今を脱して自分だけの空へ飛び出して行こう〉という、とても強い意志を感じました。これは、そうするべきだとリスナーに投げかけているということですか？

Crystal Kay：そうです。一歩を踏み出すのって、怖いじゃないですか。でも、その一歩を踏み出さないとわからないことが多いし、何も見えないし、成長もしない。もしかしたら失敗するかもしれないですけど、それもやってみなくちゃわからないですよね。しかも、人生には、そういうステップが何度もある。だったら飛び出してみるべきだって思ったんです。

──そういうメッセージもいろいろなことを経験してきたからこそ言えることですよね。

Crystal Kay：そうだと思います。それを曲作りに活かせるのが、年齢を重ねてきた中での喜び。10代の私に同じことを言われても、聴いている人に「何言ってるの？」と思われるだけだと思いますけど（笑）、今だったら少しは説得力を持てるのかなと思います。

──ウソがない言葉ですしね。そうやって自分の心から出る言葉を表現するのって、とても大切なことですよね。

Crystal Kay：大切だと思います。聴いている人にもウソなのか、そうじゃないのかが感じ取れると思いますから。しかも、それを歌でも表現したかったので、「何テイク録ったんだろう？」とわからなくなるくらい何度も歌いました。自分でも納得する歌にしたかったんです。

──ここまでは人生の歌でしたけど、「Talk To Me」はラヴソングですね。

Crystal Kay：この楽曲はベースを私とSICK INDIVIDUALSで作って、日本語の歌詞はほぼCeyrenさんが書いてくれた感じです。イメージとしては、ちょっと倦怠期のカップルなのかな？（笑）　だから、最初の頃に戻りたいなって女性は思っている。でも、そんな状況でも相手を〈優しく包んであげたい〉と思っているという女性っぽいところもあってそこが私は好きです。

──男性を守っているような主人公の母性を感じました。だから、歌詞には包容力があるんですけど、トラックは結構強めなので、そのバランスが面白かったです。

Crystal Kay：歌詞は、わりと日本の女性っぽい感じです。でも、トラックを作っているSICKは海外の2人組なので、不思議な世界観のサウンドになっている。これも彼らが来日している時、「一緒にやろうよ」と言われてスタジオに入ってゼロから作ったんです。その作業もとても楽しかったです。

──そして、次が先ほども言っていた夏の楽曲「Summer Fever」。

Crystal Kay：夏限定の恋ですね（笑）。6月リリースということで、「やっと夏の曲が歌える！」と思いました。だったら、リスナーの人にも聴きやすい楽曲にしたかったんです。だから、ダンスっぽいテイストではあるんですけど、メロディも歌詞もわかりやすいものにしたいと思いながら作りました。AメロとかBメロは彼と2人でいる時の世界なんですけど、サビは女性の心の叫びがバーッと出ている感じになっています。

──サビは、とても情熱的。歌いっぷりも含め、想いが一気に溢れる感じですよね。

Crystal Kay：はい。「夏が終わっちゃう前に！」というような気持ちを歌でも表したかったんです。「今しかない！」という感じ。私自身は意外とシャイなので、こんなに思い切ったことは言えないんですよ（笑）。だから、せめて歌詞では大胆になろうと思ったんです。

──次の「Can’t Stop Me」は、まさにアゲアゲのダンス・チューン。

Crystal Kay：これはパフォーマンスを考えながら作っていった感じです。とにかくパンチがある楽曲が欲しかったんです。だから、いろいろなビートを聴きながら探っていったんですけど、思い切ってブレイクビーツでもいいかなと思ったんです。でも、楽曲のテーマを決めるまでに結構時間がかかったので、その間ずっとブレイクビーツをループしてました（笑）。

── 一見パーティ・チューンかと思いきや、歌詞には音楽に対する想いが描かれていますよね。最初は理屈じゃない感じの楽曲なのかなと思っていたんですけど、しっかり聴いていくと、主張があったので意表を突かれました。

Crystal Kay：そうなんです。ただのパーティ・チューンというよりは、やっぱりメッセージ性が欲しかった。それでどういうテーマにしようかなと考えた時、「ビートとトラックと自分のキャリアをうまくミックスしたらどうだろう？」と思いついたんです。だから、遊び心の中にも自分らしくやるんだっていう気持ちを込めてみました。20周年に向かっているタイミングだったので、自分の音楽に対する想いを再確認したところもありました。

──この楽曲のボーカルは、とてもアグレッシヴですね。

Crystal Kay：ライヴでやったら死んじゃうかもしれないです（笑）。それくらいエネルギーが必要な曲なんです。しかも、踊ることにもなると思うので大変ですけどがんばります（笑）。