オリジナルでは通算19枚目となるアルバムをリリース!
人間椅子『怪談 そして死とエロス』インタビュー
人間椅子『怪談 そして死とエロス』インタビュー
2016/02/05
「泥の雨」はアルバムのスタートと言える曲ですね by和嶋
和嶋慎治(Vo,Gt)
──まず、本作のコンセプトについて教えて下さい。
和嶋:人間椅子は25年以上活動を続けてきましたが、ここ5、6年でライブを見に来てくれる人が増えてきたんです。そういうこともあり、他にもいるであろう“名前は知っているけど、あまり曲を聴いたことがない”という人にも間口を広げて、キャッチーな切り口でアルバムを作りたいと思いました。前作は『無頼豊饒』(ぶらいほうじょう)というアルバムだったのですが、タイトルが少しわかりづらかったかもしれないなと。今回は、人間椅子のおどろおどろしいハードロックを基本にしながらも、ただ気持ち悪いのではなく怖さとポップさを重視しました。結局、歌の中で言いたいことは“生きることは素晴らしい”とか“一生懸命やることはすごく良い”といったことで。「怪談」という言葉にすると、キャッチーでもあり伝えたいことが言えるかな、と思いまして。それでこのタイトルにしてみました。
──お二人は和嶋さんから本作のタイトルやコンセプトを聞いた時、どのように感じられましたか?
鈴木:“このタイトルだと曲が作りやすいな”と思いましたね。まぁいつも通りに作っても『怪談』に当てはまるんだけど、より一層わかりやすい。『無頼豊饒』とか言われても曲を作るのに…(笑)
和嶋:そう! “多分作りづらいな”と思った(笑)
鈴木:今回はいつもの人間椅子よりもハードに行けば良いとすぐにイメージできました。ちなみに、いくつか曲を作っていたんですけど、合わないなと思って外した曲もありましたし。良い感じにダークかつハードなアルバムになったと思います。
ナカジマ:僕もまず一番最初に感じたのは親しみやすいということ。和嶋君らしいな、と思って。
──その“和嶋さんらしい”というのは?
ナカジマ:西洋ではなく昔から語り継がれている日本のものに着眼したことや、怖さの中に優しさや温かさのようなものを見出したところですね。
和嶋:最初にコンセプトを決めるとアルバム制作がやりやすいんです。これは大事で、毎回アルバムを作るごとにコンセプトは決めるようにはしています。それと『怪談』というタイトルだと、なんかちょっと売れそうですからね!(笑)やはり、キャッチーさは大事なんだと完成したものを聴いて改めて感じました。曲全体がタイトルに沿って、どこかしらにポップさを持ってるんですよ、どんなハードな曲でも。あぁこのタイトルにして良かったなと。
──では、収録曲はすべてアルバムのために書き下ろしたものなのでしょうか?
和嶋:「泥の雨」は一番最初に作ったのですが、この曲はアニメ『ニンジャスレイヤー』のエンディングテーマ用に書いた曲なんです。この曲を作った時に次のアルバムに入れたいと思いましたし、この曲を作ることによってテーマが決まっていきました。アルバムのスタートと言える曲ですね。他の曲は、もちろん本作のために作った曲で、既存の曲は無いですね。やはりアルバムを作ると、それまでに溜めていたり思っていたことをすべて吐き出す感じで制作するので。基本的に不採用の楽曲は次の作品では使わないです。まれにそうじゃない曲もありますけど。
──アニメのタイアップ曲とアルバムの楽曲を作るのとではアプローチも異なったのでしょうか?
和嶋:そうですね、1曲だけでバンドを表現しないといけなかったので。『ニンジャスレイヤー』は毎回違うアーティストさんがテーマを担当するという企画だったんです。ということは色々なアーティストさんの曲と聴き比べられるわけなんです。なので、人間椅子らしくヘヴィなサウンドと文学的な歌詞を強調したいと思って作ったので、アルバムの曲を作るのとではやや意味合いが違いましたね。
──ところでアルバムの曲順はどのようにして決められたのでしょうか?
和嶋:全体の流れですね。そこは毎回大事にしています。今は配信で1曲を楽しむ時代ですけど、僕らの世代は“1枚通してどれだけ飽きずに最後まで聴けるか”というところが醍醐味だと思っているんです。だから、その上で同じ曲調のものが続かないようにしました。全体としてドラマになっているように聴いてもらえればと。
──その中で「ここの曲順は悩んだ」というところはありましたか?
和嶋:大体、曲順を決めるのはレコーディングの終盤に焦りながら考えているんです。曲名を紙に書いて並べ替えたりしながら(笑)。でも、自然にこの曲順になりましたね。その上で少しだけ悩んだのが、最後の曲ですね。これまで、アルバムの最後はヘヴィロックで終わっていたんです。全体の流れを見たらいつもとは曲調が違うけど、「マダム・エドワルダ」で終わるのが良い流れだというところに行き着きました。
鈴木:最初と最後が決まればポンポン決まりますね。その中で、曲のボーカルが“和嶋、和嶋、和嶋、鈴木”にならないよう“和嶋、鈴木、和嶋、鈴木”といった並びになるよう工夫はしました。そうすれば飽きずにアルバムを聴いてもらえるかなと。
和嶋:実は最初、感覚だけで順番を決めたんです。そうしたら、同じようなサビの曲が続いているということがありまして(笑)。なので曲を頭の中で1回リピートさせながらやり直しましたね。うっかり決めるとそうなるんです。
──ナカジマさんがボーカルを担当されている「超能力があったなら」の曲順はすぐに決まったのですか?
和嶋:この曲はテイストが違うので、最初は前半の終わりぐらいにしようとしたんです。ただ、ライブのように終盤に一旦空気を変えて最後に行くというような流れの方がしっくりきたので10曲目にしました。
──作曲者がボーカルを担当するというのは最初から決められていたことなのでしょうか?
和嶋:やっぱり、基本的には作った人が歌うというのが一番良いと思うんですよ。
ナカジマ:これは今回のアルバムに限ってではなく、人間椅子の楽曲というのは毎回作曲者がボーカルを務めているんです。
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