演奏が上達する近道はハイレゾ録音にあり!
注目のハンディレコーダー ソニー「ICD-SX2000」
演奏が上達する近道はハイレゾ録音にあり!注目のハンディレコーダー ソニー「ICD-SX2000」
2016/03/31
楽器を演奏する人だったら誰もが抱える悩み「演奏の表現力や歌唱力を今よりレベルアップしたい!」この悩みを解決する方法としてぜひおススメしたいのが、普段の練習を高音質なハイレゾ音源で残すという方法。今回は、Dragon Ashや鬼束ちひろのサウンドエンジニアとしておなじみ飛澤正人さん協力のもと、ハイレゾ未体験のプレイヤーに実際の演奏をハイレゾで録音し、その解像度の差を体感していただきました。ハイレゾ録音を行なうことで、どんなメリットが生まれるのか。ソニーの最新ハイレゾレコーダー「ICD-SX2000」の特徴とともにじっくりと紹介していきましょう。
取材・文:平沢栄司/写真:小貝和夫
いつもの練習に「ハイレゾ」録音を導入しよう!
「ICD-SX2000」は、ICレコーダーとしての基本性能の充実ぶりはもちろん、音楽を録るためのツールとしても大変優れた資質を持った本格派です。音の入り口となる内蔵マイクは定位感に優れた「可動式マイク」を採用し、高価なPCMレコーダーに匹敵する24bit/96kHzの録音が行なえます(再生は24bit/192kHzまで対応)。
普段、自分の演奏をチェックするために、スマートフォンやハイレゾ非対応のICレコーダーを使っている人も多いと思いますが、ハイレゾフォーマットの録音だと日頃気付かないような細かな部分までチェックできるため問題点が見つけやすく、 同時に練習の成果や表現の工夫も確認しやすく、結果的に演奏や歌唱の上達につながるわけです。
ハイレゾ録音で演奏が上達する3つの理由
その1:プレイの内容が鮮明に
ハイレゾ録音では、ピッキングの強弱やつまびくポジションによる質感の変化、フレットや弦にタッチしたときのノイズなど、演奏しているときは気付きにくい微妙なニュアンスや小さな音も鮮明に収録されます。自分の演奏を細かくチェックすることで、普段は何となく演奏していたところも注意深く弾くようになり、演奏能力の向上へとつながります。
その2:空気感や余韻まで聴こえる
ボーカルの息づかいやシンバルの残響音、ピアノの響きなど、表情の変化を余すところなくチェックできるのもハイレゾ録音ならでは。特にボーカリストの場合は、歌った後の残響を含む休符の空気感など、歌っているときは判りにくい空間の広がりも含めた微小な音量変化にも気を配ることで、歌の表現力向上につながるはずです。
その3:音の定位感がより明確に
単にステレオというだけでなく、“X-Yポジション(詳しくは下段参照)” のマイクではボーカルとギターの距離感やバランスなどが忠実に収録できるため、演奏しているプレイヤー側ではなく実際にリスナーが聴くサウンドをチェックすることが可能です。ステージ上でこれまで何気なく決めていたボーカルとギターの位置関係を見直すきっかけになり、定位や音量バランスを最適化したワンランク上のパフォーマンスに役立てることができます。
左側のボーカルに対して少し離れたところでギターを弾く
“X-Yポジション”によるハイレゾ録音だと左右のステレオ感に加え、前後や上下の奥行き感も再現しやすい
「ICD-SX2000」の特徴
●小型軽量で携帯に便利、録音方法も簡単!
小型軽量なので、楽器や他の機材と一緒に持ち運ぶ際も邪魔になりません。リハ中も手元に置くか携帯しておけば、録りたいときにパッと準備して即座に演奏をレコーディングできます。録音操作では、専用ハードならではの使い勝手の良さが光ります。マイク感度は2つのモード(自動調整/マニュアル調整)が用意されており、マニュアル調整ではソースに合わせた最適な録音レベルが設定できます。
【マイク感度をマニュアルで設定する手順】
「録音設定」から「内蔵マイク感度設定」を選択し、マニュアルを選択
上下の矢印ボタンでピークが -12dBくらいになるよう調節しよう
●高品位な内蔵マイクの向きを変えて指向特性の変更が可能!
「ICD-SX2000」では録音するソースに合わせて3種類の指向特性を選択することができます。音楽を録るなら左右のマイクを内側に向けた “X-Yポジション” が最適で、インタビューなどモノラル的な指向性が欲しい場合はマイクの角度を正面に向けた0°のポジション、鳥の声を録音するといったフィールドレコーディング(ワイドなステレオ感)では、左右に広げた90°のポジションがオススメです。
●しっかりと三脚に浮かして固定することで、余計な振動が防げる
小型レコーダーを使うとき、机や床に直置きすると余計な振動が伝わったり反射音が干渉してノイズや不鮮明なサウンドの原因になります。「ICD-SX2000」には、本体裏側に三脚が取り付けられるネジ穴が用意されているので、カメラ用の三脚を用意すれば机や床から離して任意の高さや角度、向きで設置することができます。ベストなポジションで楽器の演奏やボーカルを録ることが可能となり、より高品質なサウンドが得られます。
●専用アプリで本体に触れることなく録音操作が行なえる
「ICD-SX2000」には、スマートフォンをリモコンとして利用できる無料アプリ「REC Remote」が用意されています。このアプリを使うことで、離れたところから「ICD-SX2000」の録音/停止といった操作も可能です。レコーダーの設置されている場所まで操作しに行く必要がなく、一度設置したマイク・ポジションを崩すこともないので、楽器を抱えたままでも非常にスムーズなレコーディングが行なえます。
エンジニア飛澤正人が語る「ICD-SX2000」の活用&設置のコツ
──「ICD-SX2000」を使ってみた印象はいかがでしたか?
飛澤:まずは(マイクの)指向性がかなり強いこと、そしてオフにした時に距離感が付きやすいなと感じました。なので、そのあたりに適当に置くのではなく、しっかりと録りたいところを狙って、できるだけオン(注:録りたい音に近づける)で録音することがこのレコーダーを活かすポイントだと思います。あと、ステレオマイクをオンで録る場合、センターから外れると位相がズレて気持ち悪くなるので注意してください。オンのときは、マイクに対して動かずにまっすぐ向いて録るのが基本です。
──具体的に、どのように設置すれば良いのでしょうか?
飛澤:例えば、歌とギターの弾き語りのような場合、まずはメインで聴かせたい内容を考えます。「ICD-SX2000」は指向性の強い機種なので、歌メインならばボーカルの口元を狙い、歌とギターの両方を録るならば、ちょうど中間に立てます。また、距離感も付きやすいので、マイクと演者の立ち位置でも音量のバランスが調整できます。ちなみに、今回リハスタで録音した2人の場合は、歌をメインにギターの位置を遠ざけることでギターの音量感を調整していきました。
弾き語りを録音する場合、ボーカルを重視するならなら口元の正面、ギターを重視するならサウンドホールからちょっと外したあたりを狙おう。設置する高さでボーカルとギターのバランスを調整する
──バンドなどを録る場合は?
リハスタでバンドの演奏を録る場合は、ある特定のパートを狙うのではなく、部屋の中心に三脚を使って立てて設置しよう。低いとドラムやアンプからの直接音を拾ってしまい、高過ぎるとローが抜けてしまうので、1~1.5mを目安に耳元に近い高さに設置するといい。なお、ボーカルの声もモニタースピーカーから出力されたものを部屋の中心で録ろう
飛澤:バンド全体を録るような場合は、マイクが天井を向くように立てて設置することで部屋全体のサウンドがバランスよく録れます。また、表側からでも裏側からでも音質の違いはなかったので、メンバーが聴いている音でチェックしたいなら操作パネル側を、観客側の音なら背面を自分に向けて設置するといいと思います。
──最後に、自分の演奏をハイレゾ録音するメリットを教えてください。
飛澤:一般的にアマチュアの方はスマホやハイレゾ非対応のICレコーダーなどで練習を録ることが多いと思いますが、録音レベルの調整が難しく、内蔵リミッターの影響もあって演奏がつぶれて解像度の低いサウンドになってしまがちです。その点「ICD-SX2000」ならば、最適なレベルで細部まで高解像度で録ることができるため、各パートのディテールなど、細かなところまでよくわかります。やはり良い機材を活用して演奏をチェックすると、演奏技術や全体のアンサンブル感だとか、そういう全体を俯瞰してみることができ、技術的な向上にも大いに貢献してくれると思いますね。
【編集後記】
今回、編集部もリハスタにも同行し、実際にハイレゾで録音された音を体験してきました。日頃、取材のインタビュー録りなどに、様々なICレコーダー/スマートフォンを利用しているのですが、やはりそれらの音とは格段に解像度が違いました。また、エンジニアの飛澤さんのコメントにもあった通り、「ハイレゾ録音×設置場所」によって、録れる音が相当に変わるということにも驚かされました。皆さんも、自身の演奏レベル向上のために、ぜひともハイレゾ録音を導入してみてください。
なお、今回記事では「ICD-SX2000」の“レコーダー”としての側面をフィーチャーしましたが、「ICD-SX2000」は立派な“ハイレゾ・プレイヤー”でもあります。非常に小型・軽量ですし、“高性能なレコーダー付きの音楽プレイヤー”として考えると、この製品の見え方も良い意味で変わってくるものと思います。
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