2013年から6人編成のバンドとして再スタートしたKIRINJIが放つ2年ぶりのアルバム
KIRINJI『ネオ』インタビュー
KIRINJI『ネオ』インタビュー
2016/08/01
2013年から6人編成のバンドとして再スタートを切ったKIRINJI。彼らが2年ぶりとなるアルバム『ネオ』をリリースした。今作では、ゲストにRHYMESTERを招くなど、今までのバンドのイメージを覆す様々な試みが行なわれているという。ここでは、バンドを代表して堀込、田村、千ヶ崎の3人に登場してもらい、アルバム作りにおけるエピソードや聴き所について聞いた。写真〈L to R〉楠 均(ds, vo)、千ヶ崎 学(b, vo)、堀込高樹(vo, g)、弓木英梨乃(g, violin, vo)、田村玄一(pedal steel, steel pan, g, vo)、コトリンゴ(pf, kb, vo)
取材:黒田隆憲
この3年でバンドの雰囲気がよりしっくりしてきたと思う。 by 堀込
──6人体制になって、今作『ネオ』は2年ぶりのアルバムですが、今の6人で演奏している意味合いのようなものが、以前より色濃く感じられるような作品に仕上がっていると思いました。
堀込:去年はライブでいうと、ワンマンは東京と大阪で1回ずつ、それからBillboard Live TOKYOの2デイズだけだったんですけど、フェスには頻繁に出演したんですね。なので、ツアーをやらなかった割にはライブの本数は多くて。そこでなんとなく、バンドの雰囲気がよりしっくりしてきたというのはありました。
──元々は兄弟ユニットだったキリンジが6人編成になって、後から加入した千ヶ崎さん、田村さんは、自分たちの立ち位置みたいなものが、この3年間で定まってきたところはあります?
千ヶ崎:ある時点で劇的に何かが変化したとかそういうことではなかったと思うんですけど、一つ一つのレコーディングやライブをやるたびに、全員が落ち着くべき場所に落ち着いてきたのかなっていうふうには思いますね。まあ、みなさん大人だし経験も積んでいる人たちなので、最初からかなりバランスの取れていたバンドだとは思うんですけど、とはいえ時間を経ないと解決しないことっていうのも当然あると思うので。そういう部分は結成から丸3年経ち、4年目に入ったからこそ見えてきたんじゃないかなと思います。
田村:このバンドは、20代のメンバーもいれば僕みたいに60代のメンバーもいるので、「この年齢差って、大丈夫なのかな...」という不安は、結成当時には正直あったんですよね。でも、これが予想に反して面白かった。お互いに刺激を与え合うし、それが結果につながっているというか。今まで聴いたことのないようなサウンドになっているんじゃないかと思いますね。あとは、(堀込)高樹くんが今回書いた曲が、とても素晴らしいっていうのは特筆すべきことだと思います。
──最年少の弓木さんは大のビートルズ好きで、特にジョージ・ハリスンはギターやコーラスパートを完コピするくらいファンらしいですが、世代間でビートルズの捉え方に違いなどあったりするのでしょうか。
堀込:弓木さんはジョージ・ハリスンが大好きですけど、だからといって、ジョージと同じギターにしようとか、そういう発想がないですよね。僕ならそうなっちゃうんだけど...(笑)。ビートルズが好きだから、ビートルズみたいな音楽をやりたいっていう気持ちも、そんなになさそうだし。そこが、世代間の違いなのか、弓木さんのパーソナリティーなのかはわからないけど、自分と違っていて面白いですね。あと、オールド幻想がない。僕なんか、やっぱりギブソン、フェンダーのオールドが一番だよねとか思っちゃうんだけど、彼女にはそういうのがないんですよ。
千ヶ崎:全然ないですよね(笑)。全く偏見がない。現代的な楽器も普通に使うし、「だって、こっちの方が弾きやすいですよ?」って言いますよね。確かに使いやすい(笑)。
──今回、歌詞はどんなことをテーマにしましたか?
堀込:まあ、いつも思いついたことを適当に書いているだけなんですけど(笑)。でも、「ネンネコ」とかは分かりやすいですよね。ただ、猫がかわいいってだけのことを歌っても仕方ないので、多少距離感があるのがいいかなと思って、「猫可愛がりしない、猫の歌」というのを心がけましたね。
田村:今って、空前の猫ブームじゃないですか。それをあやかって、という気持ちは...。
堀込:もちろんですよ(笑)。何かに使われないかなと思いながら書きました。(一同笑)
千ヶ崎:「絶対に晴れて欲しい日」では、個別的自衛権なんてフレーズも出てきますしね(笑)。
堀込:ちょっとこれは、時期を逃しちゃったけどね(笑)。この曲は、昨年フェスに何本か出たんですけど、そのうち2本は雨だったんですね。他の日も天候が怪しかったりして、「こういうの、本当に晴れて欲しいよね」と思ったので曲にしました。あと、保育園の運動会って、雨天のときのための予備日というのも設定されるんですね。そうすると、僕みたいな仕事は割と融通が利くからまだいいんですけど、会社勤めしている人って、運動会は休みを申請できても、予備日まで「もしかしたら休みます」なんて上司に言うのはものすごくストレスなんですって(笑)。そりゃそうだろうな、と思って。
──そういう人たちへの思いも込められているのですね。
堀込:あと、中国ってオリンピックの時に、「この日は絶対に晴れて欲しい」と思ったら、ロケットを打ち上げて雨雲を吹き飛ばしていたんですってね。そんなこともするのか!と。そういうことを、もっとカジュアルにやったら面白いのになっていう、ふざけた歌ですね(笑)。
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