サウンド・デザイナー&ヤマハミュージックメディア共同企画
「たくろくガールズ」×「作曲少女」作者(ノッツ、仰木日向、まつだひかり)座談会
「たくろくガールズ」×「作曲少女」作者(ノッツ、仰木日向、まつだひかり)座談会
2016/08/08
「宅録(DTM)」と「作曲」という、一見難しくて敷居が高そうに思えることを、それぞれポップに、わかりやすく取り上げた単行本「たくろくガールズ」(作:ノッツ)と「作曲少女」(絵:まつだひかり、小説:仰木日向)が、同時期に発売されたということを記念して、この2冊の作者の合同座談会を開催した。それぞれの作品が生まれた背景、著者それぞれの普段の音楽活動や、マンガ・小説と音楽との共通点について語ってもらった。
取材:三浦修一(サウンド・デザイナー編集部)
協力:片山 淳(ヤマハミュージックメディア)
読んでいるうちに気がついたらマニアックな世界に引きずり込まれている
──ノッツさんと仰木さんは今回が初対面とのことですが、以前からお互いのことをご存知でしたか?
仰木:以前から、Twitterで流れてくるノッツさんのツイートとかマンガを見ていました。僕も『できるかなってDTM』っていう同人マンガを発表しているので、「僕と似たようなことしてるような人がいる!」って思いましたね。陰ながら応援しているうちに、ノッツさんは商業誌の連載もどんどん勝ち取っていって、「うわー、ヤバい人だ!」って(笑)。
ノッツ:アハハ(笑)。
仰木:DTM関連の本を書いている人って少ないから、勝手に仲間意識を持っていた部分もあります。それと同時期に、YouTubeでまつださんの自主制作アニメ「女子高生エフェクターを買いに行く!!」も見ていたりして、「僕は1人ぼっちじゃないんだな」って(笑)。だから、今回3人で集まれて感無量です。
──ノッツさんとまつださんは以前からお知り合いだったのですね?
まつだ:はい。何度かイベントでお会いしたことがあります。ノッツさんは以前から音楽系のマンガを描かれていて、Webマンガから商業マンガの世界に行かれたので、「その道」のパイオニアだな~と。
ノッツ:僕は仰木さんのこともまつださんのことも以前から緩やかに知っていて、音楽雑誌の企画をされている方から、まつださんと仰木さんが参加される音楽同人誌に誘っていただいたこともありました。その時はスケジュールが合わなくて実現しなかったんですが。
──今回、お互いの作品を読まれていかがでしたか?
ノッツ:実は「作曲少女」を読むまで、ライトノベルをほとんど読んだことがなかったんですけど、すごく読みやすかったですね。前口上の通りに、「曲が作りたいけど、つまずいている人」の助けになる本だと思います。最初は耳コピから始めて、キーを把握すれば曲は作れるっていうことをわかりやすく説明してくれていて。今までになかった本だなって。
仰木:読んでいただいてありがとうございます! 「たくろくガールズ」を読ませていただいた時にも感じたんですが、この3人の共通点って、みんなどこかで「DTM入門者に対して何かわかりやすいものを作れないかな」っていうことを考えているのではないかと思っているんですけど。
ノッツ:いや、実は「たくろくガールズ」自体は、最初はそこまで入門者を意識したマンガではなかったんですよ。それを単行本化するにあたって、入門者向けの記事をサウンド・デザイナーの編集部さんが加筆したんです。
仰木:ああ、たしかに「たくろくガールズ」に出てくる専門用語の解説はすごく丁寧ですよね!
まつだ:そうそう。私も「わかりやすい!」って思いました。
ノッツ:そうですね。たくろくガールズのネタって、基本的に「DTMをやっている人」にとっての“あるあるネタ”なので、そこだけ見ると完全にビギナー向けの「作曲少女」とは違うのかもしれないですね。もちろん、ビギナーにはわかりにくい部分を細かい注釈で補っているんですけど。
仰木:たしかにマンガの方は、「わかる人にしかわからない、でも通の人は絶対わかる!」的な内容のものがあったりして(笑)。僕はそういうのも好きですね。
ノッツ:以前、「DAWガールズ」というDAWソフトを擬人化したマニアックなマンガをTwitterやpixivに載せた時に「全然(意味が)わからなかったけど面白かった」っていう感想をいただいたりしたんです。その時、意味はわからなくても「何か面白そうな世界がある」ということを楽しんでもらえるんだということに気づきました。だから、「たくろくガールズ」もそういう気持ちで描いています。
仰木:そうか、僕らはDTMの経験者だからあるあるネタがわかるけど、そこだけ読むとマニアックなんですね。
ノッツ:そうなんです。例えば、レコーディング雑誌を読んでいても、当然の常識のように書かれている単語が初心者にとっては難解だったりしますね。僕自身、昔はAKG(アーカーゲー)とか、Neumann(ノイマン)とか、まず読み方がわからなかったし(笑)。でも、「わからないないけど、何かこの世界はすごそうだ」という風に想像するのも楽しいし、やっているうちにそれがわかってくるのもまた楽しいと思うんです。マニアックなネタでも、真摯に描いていればその楽しさが伝わるのかなーと。
まつだ:読んでいるうちに、気がついたらマニアックな世界に引きずり込まれているような(笑)。
仰木:なるほど。そういう意味では「作曲少女」では音楽用語とか機材用語を排除していますからね。作曲の入門書として、「従来の専門用語をどれだけ排除できるか」ということに特化したという部分はあります。
ノッツ:専門用語って、使うDAWソフトによって違ったりしますしね。
仰木:そうなんですよね。DAWソフトに関して言うと、僕はスタインバーグCUBASEとアップルLogic Proを使っていますけど、初めてCUBASEを使った時は「DAWが変わるだけでこんなにやり方が違うのか!」って思いましたからね。
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