NHKのロンドンオ五輪テーマソング
いきものがかり「風が吹いている」を解説
【ヒット曲から学ぶ作曲テク その1】
いきものがかり「風が吹いている」を解説【ヒット曲から学ぶ作曲テク その1】
2015/10/01
こちらのページではJ-POPのヒット曲を例に、その曲に隠された作曲テクニックを紹介する。「Aメロ/Bメロ/サビ」のそれぞれからオイシイ箇所をピックアップしているので、これを読んで曲作りに役立ててほしい。今回はいきものがかり「風が吹いている」を取り上げて解説していく。
参考曲:いきものがかり「風が吹いている」
NHKの“ロンドンオリンピック2012”のテーマソングになった、壮大なスケールのミディアムテンポのバラードナンバー。ストリングスが入った感動的なアレンジだが、軽快なリズムとシャレたコード進行で、爽快感のある雰囲気に仕上げられている。 演奏時間が全体で8分弱と長尺だが、1コーラスの「Aメロ→Bメロ→サビ」という標準的な構成で、イントロやブリッジ開けの大サビでリズム隊を抜いてグッと耳を惹きつけているなど、緩急を付けてリスナーを飽きさせない展開に注目だ。
解説その1:Aメロ
“セカンダリードミナント”を多用してハッとさせる展開にする
Aメロには、「セカンダリードミナント」というテクを使った部分転調が多用されている。「セカンダリードミナント」とは、次のコードをトニック(Ⅰ)と考えて、「Ⅴ7→Ⅰ」というコード進行を作るワザだ。このテクを使うと他のキーのコードが出てくるために、「ハッとする感じ」を演出できる。 例えば2〜3小節目は、ダイアトニックコードだと「Em→Am7」と進むところを、Am7を「Ⅰ」と考えて「Ⅴ7→Ⅰ」と進むように「E7→ Am7」としている。すると、E7の「ソ♯」が切なく響いてくれるのだ。
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Aメロは、「ツーファイブ進行」をうまく使ってコード進行が組み立てられている。「ツーファイブ進行」とは、例えば、Key=Cメジャーの時、「Ⅱm→Ⅴ7」は「Dm→G7」と動く進行のことで、セカンダリードミナントでCにつなげると、終止感が強調されるようになる
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解説その2:Bメロ
ベース音を半音ずつ動かして、コード同士をなめらかにつなぐ
Bメロは、「dimコード」や「onコード」を使い、ベース音をなめらかにつないでいるのがポイントだ。 例えば、3〜4小節目の「Em7→Am」と進むところに「G♯dim」を挿入して、「ソ♯(G♯dim)→ラ(Am)」という半音の動きを作っている。なお「G♯dim」は、Am(Ⅰ)のセカンダリードミナントのE7(Ⅴ)と構成音が似ている。7〜8小節目も同様に、「F→Gsus4」の間に、「D7onF♯」を挟んで、「ファ→ファ♯→ソ」という半音の動きを作っている。どちらも、J-POPで多用されている進行だ。
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7〜8小節目の「F→D7onF♯→Gsus4」「ファ→ファ#→ソ」という半音のコード進行は、曲によっては上記の展開も可能だ
解説その3:サビ
歌メロのラストを盛り上げるために一度クールダウンする
サビは、後半の盛り上がりにつなげる歌メロの流れに注目してみよう。 譜例の1〜2小節目では、フレーズを反復しながら下降して、サビの盛り上がりを一度クールダウンさせている。そして、3〜4小節目はラストに向かって低い音から高い音へと跳躍する動きを入れながら、再び上昇して盛り上げていくのだ。 この後は、間奏をまたぐようにロングトーンで歌い上げて締めくくっている。バラードのサビの終わりを感動的に締めたい時などに参考にしてほしい。
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