映画「ソラニン」主題歌
ASIAN KUNG-FU GENERATION「ソラニン」を解説
【ヒット曲から学ぶ作曲テク その3】
ASIAN KUNG-FU GENERATION「ソラニン」を解説【ヒット曲から学ぶ作曲テク その3】
2015/10/01
こちらのページではJ-POPのヒット曲を例に、その曲に隠された作曲テクニックを紹介する。「Aメロ/Bメロ/サビ」のそれぞれからオイシイ箇所をピックアップしているので、これを読んで曲作りに役立ててほしい。今回はASIAN KUNG-FU GENERATION 「ソラニン」を取り上げて解説していく。
参考曲:ASIAN KUNG-FU GENERATION 「ソラニン」
この曲は同名の映画『ソラニン』の主題歌としても有名な、ギターと歌を大切にしたギターロックだ。開放弦をうまく利用したadd9による浮遊感のあるイントロ~Aメロと、一気に盛り上がるサビを中心に組み立てられている。また、メジャー感とマイナー感をハッキリと出して、コード進行の展開通りにメロディを乗せていくJ-POP的な手法とは違い、同じコード進行を繰り返しながら、ストロークのアクセントやリフ一発で押していくロックバンド的なアレンジが曲を力強く聴かせている。
解説その1:Aメロ
開放弦と9thの浮遊感を活かしたワザありのコード進行
Aメロのコード進行は、開放弦をうまく利用したギターならではのアプローチで、前半4小節が「Fadd9」、後半4小節が「C」を展開させたパターンとなる。ポイントは、カポを使ったボイシングだ。「Fadd9」は3rdを抜いたadd9thのフォーム(「Fsus2」と呼ばれる)で弾いており、独特の浮遊感を出している。このコードは使い勝手がいいので覚えておきたい。また、ギターのオブリで6thやメジャー7thの響きを重ねたり、ベースがルート音以外に動くことで、同じコード進行でも飽きさせずに聴かせている。
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Aメロのストロークは、開放弦を使った「Cadd9」の押さえ方を発展させたものと考えればいい。4弦の3rdを開放弦にして9 thを足すことで、浮遊感を出している
解説その2:サビ
大きく音程が跳躍し、一気に盛り上げるサビのメロディ
サビの歌い出しでは、大きく1オクターブを超える音程の跳躍を登場させて、ボルテージが一気に上がるサビを作り出している。ここでのポイントは、跳躍した後に、すかさず低めの音域に戻って隣接する音を行き来するようにメロディを動かすことで、メリハリを出しているところだ。これにより、ハイトーンやダイナミックなコード進行を使うのとは違う方法で、印象に残るサビを演出している。また、もっとポップな曲調に応用するなら、この出だしの跳躍にハモリを足してみるのもありだ。
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解説その3:間奏
ベースが自由に動くことで反復するコードに変化を付ける
2回目のサビと最後のサビをつなぐ、展開が変わる間奏(ブリッジ)的な部分は、リズムが倍に引き伸ばされてゆったりとした流れになっているのが特徴だ。「Dm→C→F→C」は、2小節単位でコードのロングトーンを「ジャラ〜ン……」と鳴らしているが、途中からベースがルート音以外に動く点に注目。コードの構成音から音を選んでいるのだが、リスナーにとっては予想外の動きとなるので、少しクセのあるコード進行に感じられる。この響きの不安定さが、リスナーを“次にくるであろうサビで落ち着きたい”という気にさせる効果を生んでいる。
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ベースが「レ→ミ」と来て、次が「F」のコードなら普通は「ファ」が来ることを予測するが、「ラ」に進むことで展開が読めなくなり、その不安定感が耳を惹く仕掛けになる
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