オーディオライター岩井 喬がお届けする連載コラム

岩井 喬 “今、注目のオーディオアイテム”
サウンドウォーリア「SW-HP10」

岩井 喬 “今、注目のオーディオアイテム” サウンドウォーリア「SW-HP10」

2016/02/02


ギターやピアノの弾き語り、レコーディングなど、様々な用途や目的に応じてチョイスしたいオーディオ製品。このコーナーでは、今知っておきたい注目のアイテムを、各種オーディオ製品の監修やレビューを行なう岩井 喬(イワイタカシ)さんに聞いてみた。ヘッドホンやイヤホン選びで失敗したくない人は、ぜひともチェックしてほしい!
 

「岩井先生。私は趣味で音楽を聴いたり、たまにギターやピアノの弾き語りをしています。そこでモニターヘッドホンが欲しいのですが、今オススメの製品を教えてください」 

岩井:モニターヘッドホンといえば、多くの人がソニー「MDR-CD900ST」を想定すると思いますが、今回はその「MDR-CD900ST」を意識しつつ、より耐久性と使いやすさ、音色のバランスを考えて開発されたというサウンドウォーリア「SW-HP10」を紹介したいと思います。

■サウンドウォーリア「SW-HP10」

サウンドウォーリア「SW-HP10」

価格:オープンプライス
市場予想価格:¥10,000前後
 


岩井:サウンドウォーリアは長野・上田に本拠地を構える城下工業が擁するオーディオブランドで、昨今はCDジャケットサイズの真空管アンプなどのデスクトップオーディオシリーズも好調です。「SW-HP10」は、割れや劣化の少ないナイロン樹脂製ハウジング、油性劣化しにくいポリウレタン製素材を用いた立体縫製イヤーパッドなど、長期にわたる使用を考慮した素材を用いた軽量なモデルで、ドライバーはΦ40mmのものを搭載。全工程で国内生産が貫かれていて、音質調整を含め、なんと完成までに5年もの歳月をかけたという力作でもあります。

なお、同社では本機をベースとしたOEMモデルの製造も長年手掛けており、マイクを取り付けたインカム仕様機のほか、CEC「HP-53」といったモデルもあります。その他、ツタヤの試聴機にも用いられていた城下ブランドの「TR-HP03」もあるのですが、こちらは「SW-HP10」とは音質のチューニングを変えています。ソリッドかつアタックを重視した傾向の「MDR-CD900ST」的な「TR-HP03」に対し、「SW-HP10」は音場の空間性を程よく出しつつ、高域のきつさを幾分抑えた、モニター傾向でありながら、聴きやすいベクトルのサウンドを実現していると言えます。

また、「SW-HP10」の解像度は高い方で、ベースやキックドラムは密度が高く量感も十分という印象です。低域の輪郭表現も高いので、リズムのキレもしっかりと感じ取れ、特にピアノやドラムのスネア、女性ヴォーカルの表現性が高く、音の前後感も掴みやすいでしょう。ディストーションギターはブライトでシャープな方向性。空間性は素直であり、密閉型としては音場を広く感じることができます。さらに、音像のエフェクト感も見やすく、分離も良いので常日頃のリスニング用途だけでなく、モニタリング用としても十二分に活用できると思います。何よりモニターヘッドホンとして安価なプライスという点も評価に値すると思います。

 

■サウンドウォーリア「SW-HP10」のサウンド傾向

 

【SPEC】
・タイプ:クローズド・エアー・ダイナミック型
・ドライバーユニット:外径φ40mm
・インピーダンス:40Ω/1kHz
・周波数特性 :20~20kHz
・定格入力 :100mW
・出力音圧レベル :103dB/1kHz.1mW
・重量:280g(コード含む)

 


岩井 喬(イワイタカシ)=プロフィール

1977年長野県生まれ。小学生の頃、電子工作の面白さに気づき、中学生からは自作の延長線であったオーディオにはまる。工業高校~音響系専門学校を経て、都内レコーディングスタジオへ就職。オーディオ専門誌への執筆を開始。コンシューマー系オーディオ誌の他、プロオーディオの取材執筆もこなす。またアニメ誌編集・執筆に携わっていたこともあり、いち早くオーディオ分野と“萌え”の融合にも取り組む。80年代ロックが好物。


この記事の画像一覧

(全3枚) 大きなサイズで見る。

関連する記事

PAGE TOP