スタジオ・モニターヘッドホンの新定番モデルをプロがチェック【第8回】

ヤマハ「HPH-MT7W」を大串友紀(エンジニア)が試聴!

ヤマハ「HPH-MT7W」を大串友紀(エンジニア)が試聴!

ヤマハ「HPH-MT7W」を大串友紀(エンジニア)が試聴!

2016/03/24


スタジオ定番のNS-10Mをはじめ、MSPシリーズやHSシリーズなど、モニタースピーカーの名器を多く生み出しているヤマハが、その技術を結集させて開発したヘッドホンが「HPH-MTシリーズ」です。今月はエンジニアであり、声優の内田真まあや礼などのマニピュレーターとしても活躍している大串友紀さんに、「HPH-MT7W」をライブリハーサルでチェックしてもらいました。
 
取材:井桁 学 写真:小貝和夫

ハイが気持ち良く出ていてとにかくサウンドがクリアという印象を受けました

写真のブラックモデルも用意されている

今回は、僕がマニピュレーターとしてライブのサポートをしている声優の内田真礼さんのライブリハーサルでHPH-MT7Wを試聴しました。主に自分がプログラミングした同期もののトラックとバンドの生演奏とのバランスや、各パートの聴こえ方をチェックしてみました。

本機を装着してみるとイヤーパッドが大きくて、耳を包み込むようにフィットするので、長時間着けていてもストレスはなかったですね。遮音性に関しては、完璧に音が遮断されるわけではないんですけど、大音量のステージやPA席とかで使っても、まったく問題のないレベルだと思います。

音の特徴ですが、ハイが気持ち良く出ていて、とにかくサウンドがクリアという印象を受けました。ですので、各楽器や同期もののアタック音がとてもよく見えます。それと、中高域が自然に伸びるので、ハイハットやスネアも明瞭に聴こえました。僕はヤマハのHS5Wというスピーカーを使っているんですが、中低域の再生音はそれに近い自然なバランスですね。

定位感もハッキリしていて、センターに定位しているパートが脳の中心で鳴っているように感じるくらいよく見えるんですよ。他の多くのヘッドホンは、センターが少しボヤけるんですけど、本機はスピーカーのようにセンターがしっかり聴こえます。

あと、今回のライブリハで使ってみて、女性ボーカルにすごく合っていると思いました。リバーブやディレイといった空間系のエフェクトもとても見えやすくて、パラメーターの調整もしやすかったです。それと、ケーブルが長いという点も気に入りました。リハーサルでは何かと場所を移動するので、延長ケーブルを使うことが多いんですけど、これはケーブルが3mあるので、この長さなら大抵の現場で使えますね。

今回はライブリハで試しましたが、音質の傾向としては、宅録で録りやミックスに使うのにも向いていると思います。スピーカーでは難しい、エフェクトの微調整とかの細かいチェックができるヘッドホンを探している人にもオススメしたいですね。


アームとスライダーのジョイント部分が回転するようになっており、頭の大きさや耳の位置を問わず、常に正しいポジションに自然にアジャストしてくれるのも特徴だ

大串友紀=プロフィール

 

レコーディングエンジニアの専門学校に通っていたことがきっかけで某有名エンジニアの元で修行することになり、現在はレコーディングエンジニアとして活躍中。ProToolsの達人としてレコーディングだけでなく、ライブのマニピュレーターなどもこなしている。2014年には(株)SLOTH MUSICを設立し、さらに活動の場を広げている。

■製品概要
HPH-MT7Wは同社のモニタースピーカーで高く評価されている“原音を忠実に再生する”というコンセプトを引き継いでおり、「CCAWボイスコイル」を採用することでクリアかつレンジの広い音を実現しているモニターヘッドホンだ。耳に優しくフィットする肌触りのいい合 皮レザーを採用した大型のイヤーパッドにより、すぐれた遮音性を実現。なお、ブラックとホワイトの2種類のカラーが用意されている。

■SPEC
●形式:密閉ダイナミック型 ● 再生周波数特性:15 Hz~25 kHz ●インピーダンス:49Ω ●最大入力:1, 600 mW ●出力音圧レベル( 1kHz):99 dBSPL/mW ●ドライバ:Φ40 mm、CCAWボイスコイル ●ケーブル:3 mストレートコード(3.5 mmステレオミニプラグ) ●重量:360g ●付属品:6.3mm ステレオ標準プラグ変換アダプター、キャリングバッグ

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