直感的にフレーズを生み出せるパッド付きシーケンサー&コントローラー

Arturia「BeatStep Pro」徹底活用法【解説動画付き】

Arturia「BeatStep Pro」徹底活用法(動画でわかる!)

2016/04/28


「BeatStep Pro」は、ステップシーケンサー、MIDIコントローラ、そして、様々な電子楽器と接続できるインターフェイスをコンパクトな筐体に詰め込んだ音楽制作ツールです。シンセやリズムマシン、パソコン(DAW)などを接続し、ボタンやツマミ、パッドを使った直感的な曲作りが楽しめます。ここでは、動画を交えながら「BeatStepPro」の基本的な機能と使い方を紹介しましょう。

文:平沢栄司
 


 

●ボタンとツマミで曲が作れるステップシーケンサーを内蔵

「BeatStep Pro」には、ボタンやツマミを使ってリアルタイムでフレーズが作れる「ステップシーケンサー」が内蔵されています。シンセの演奏に適した「SEQUENCER 1」と「SEQUENCER 2」、リズムの打ち込みに適した「DRUM」の3系統があり、同時に3つのパートを演奏することができます。
 

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「SEQUENCER 1(緑)」と「SEQUENCER 2(黄)」はシンセのフレーズ、「DRUM(紫)」はリズムパターンを入力する際に利用する
 


音符を入力していくDAWとは異なり、音楽の知識がなくても直感で作曲できるのが「BeatStep Pro」の特徴です。1小節を16ステップに分割したボタンをON/OFFして音を鳴らすタイミングを決めたら、あとは各ステップに対応したツマミを回して音程を変更していくだけで様々なフレーズが作れます。また、パッドを使えば接続した音源を弾くこともでき、その演奏をステップシーケンサーに取り込むリアルタイム入力もサポートしています。

ステップシーケンサーでは、16分刻みのリズムを表しているステップのボタンをON(点灯)にしたところで発音するようになる

 

 

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PLAYボタンを押して再生するとシンセが演奏されるので、各ステップのノブを回して音程、ベロシティなどを変更してフレーズを作っていく

 

/パッドでは、選択しているパートの音源を演奏することが可能だ。RECボタンを押せば演奏をリアルタイム入力できる

 


 

●アナログシンセ、MIDI音源、ソフトシンセの演奏が可能

演奏できる音源の選択肢の広さも「BeatStep Pro」のポイントです。MIDI端子に加えてCV/GATE端子も備えるため、デジタルからアナログまで様々なハードシンセが利用できます。一方、USB端子を使ってパソコンと接続すれば、「BeatStep Pro」でソフトシンセを演奏したり、DAWのMIDIトラックへの入力に利用することも可能です。
 

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こちらは、今回動画を撮影する際に使ったセット。「SEQ1」で演奏する「ARP ODYSSEY」と「BeatStep Pro」はCV/GATE端子を利用して接続し、MacとはUSB接続することで「SEQ2」でDAWソフト(Live)の内蔵音源を演奏可能。また、「KORG volca beats」とはMIDI端子でつなぐことで、「DRUM(10ch)」でドラムの入力が行なえる

 

●MIDIコントローラーとしてDAWやソフトシンセをリモート操作

「BeatStep Pro」には、ソフトシンセの音色パラメーターやDAWソフトのミキサー画面をリモート操作するためのCONTROLモードも用意されている。汎用性のあるMIDIのコントロール・チェンジを送るモード(CC)と、コントローラのスタンダードであるMacky Contorol互換の動作モード(MCU/HUI)を切り替えて使うことになります。
 

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「CONTROL MODE」ボタンをONにした状態で、「CC」を選択すると音源のコントロール、「MCU/HUI」を選択するとDAWのコントロールが行なえる。なお「MCU/HUI」を選択した場合、縦軸がミキサー画面の1チャンネル分相当となり、上のツマミでパン、下のツマミでフェーダー、ボタンでミュートとソロのON/OFFが可能だ
 

●演奏のバリエーションが簡単に作れる注目の機能

「BeatStep Pro」では作成したフレーズに変化を与える機能も用意されています。特に「ROLLER/LOOPERボタン」を活用すれば、流行のスタッター効果も手軽に生み出すことができます。
 

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写真左のように再生中に「ROLLER/LOOPER」を指でなぞると、そのタイミングで演奏されているステップが繰り返される。リズムを連打するいわゆる「スタッター効果」を生み出すことが可能だ。また、写真右のようにSWINGのツマミを回すと、徐々にハネたビートへと変化させることも可能。なお、隣のRANDOMNESSとPROBABILITYのツマミにより、パターンを演奏するたびにランダムに変化させることもできる


 

まとめに

今回の記事では「BeatStep Pro」の基本的な操作方法を解説しましたが、「BeatStep Pro」では作成したフレーズを各パートごとに16パターンまで本体にメモリーしておくことも可能です。再生しながら各パートのパターンを切り換えたり、任意のパートをミュートしたり、さらにはボタンやツマミで再生中のフレーズをエディットするなど、作ったフレーズを即興で変化させながら曲を展開していくのが「BeatStep Pro」流のスタイルと言えるでしょう。
 

価格

定価:45,000円


主なスペック

【モノフォニック・ステップシーケンサー ×2】
・シーケンス当たり、最大64ステップ
・ステップごとにノート、ベロシティ、ゲートタイムの設定
・ノート・タイ
【16トラック・ドラムシーケンサー(パッドごとに1つのトラック)】
【MIDIコントローラー・モード】
・ノブ、ステップボタン、プレッシャーセンシティブ・パッドを完全にカスタマイズ可能
・MIDI CC、ノートデータ、プログラム・チェンジを送信
・16個のプロジェクトは、それぞれ16×2シーケンス、16ドラム・シーケンスとコントローラー・マップを持ちます。
【パフォーマンスコントロール】
・AmountとProbabilly設定付ランダマイザー
・リアルタイム・ルーパー/ローラー・タッチス トリップ
・シーケンスごとに独立したスイング設定
・タッチセンシティブ・ノブ
・タップテンポ
【接続】
・CV/GATEアウト(オクターブCV当たり1ボルト、10ボルト・ゲート)
・8ドラムゲート・アウトプット
・複数の規格のクロックに対応
・MIDIアダプターよりMIDIイン/アウト
・USBクラス・コンプライアント
【その他】
・盗難防止ロック


 

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