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Jazztronik(野崎良太)『Keystone』インタビュー

Jazztronik(野崎良太)『Keystone』インタビュー

2016/06/09

nordlead 3の音は独特。すごくアンダーグラウンドっぽさが出せるんですよ。


──そうだったんですね。次の3曲目の「Lost Melody」は2曲目のイメージとは打って変わって、非常にジャジーで生演奏の緊張感も伝わってくる曲だと感じました。歌はバレリー・エティエンヌさんが歌われているのですか?

野崎:いいえ、バレリーは歌詞を書いてくれた人で、ボーカルは武田カオリちゃんです。

──セッションレコーディングのような曲だと思いますが、どのようなレコーディング方法を?

野崎:これは、バイオリン、チェロ、ドラム、ベースを同時に録っているんですが、実はドラムだけは自由に叩かせたのを僕がデータ化して。後からコンピュータで、生ドラムの演奏タイミングでfx pansion BFDというドラムソフトを鳴らしています。でも、部分的に生のドラムも鳴っていて。なので、例えばバスドラはBFDのみだけど、ハットは生、でも、オープンハットはBFDでみたいなことをしています。ミックスなんですよ。

──なるほど。それは面白いエピソードですね。ところで、武田カオリさんをボーカルに起用した理由は?

野崎:最近テレビをつけると、毎日のように彼女の声をCMなどで耳にしますよね。実はカオリちゃんとは昔からの知り合いなんですよ。なので、何年も前から何か一緒にやれたらなとは思っていて。で、今回この曲を作ったときに、合うんじゃないかなぁと思って。歌うにはやっかいな曲ではあるんですけど、見事に歌いこなしてくれました。

──レコーディングはどちらで?

野崎:歌はMONOGRAMスタジオですね。で、オケのドラムはTAGOスタジオで録りました。

──続いて4曲目の「DGA」ですが、こちらはどのように作った曲なのですか?

野崎:僕はこの2年間くらい、ドラムの天倉正敬とベースの藤谷一郎と一緒に実験的なトリオをやっていて。で、その活動の一区切りのLiveを1月に録音しながら行なったんですよ。ちょっとしたテーマだけを決めて、ライブセッションで曲をどんどん作っていくという感じで。その時の演奏がこの「DGA」の土台になっています。ライブセッションも非常に好評だったし、自分たちでもとても気に入りましたし。ぜひアルバムに入れたいなということで、再構築を行ないました。Jazztronikとしては初の共作ということになっている曲ですね。

──共作ならではのサウンドを具体的にはどの辺りに感じますか?

野崎:というか、スタジオに入って出てくるフレーズと人前でお客さんを前にして出てくるフレーズって、やっぱり違うんですよね。曲の流れも違いますし。現場の臨場感が違いますね。

──先ほど、曲をもとに再構築したとおっしゃいましたよね?

野崎:そうなんです。僕のキーボードの演奏データはライブのままなんですけど、ドラムとベースは録り直したいということになって。なので、セレモニーMelodyneという波形編集ソフトで生演奏のBPMを解析して、それに対してのクリックを作って。そのクリックに合わせて録り直しています。で、その上にロンドンで弦をレコーディングして展開を作っていきました。

──ちなみに、この楽曲で野崎さんが使われたシンセは?

野崎:コルグのKRONOSとnordlead 3ですね。

──ライブでは、この2台を使われることが多いのですか?

野崎:そうですね。nordlead 3は壊れてしまったので、年末に1台買い直しましたね。

──nordleadは初代から4まであるわけですが、3が好きな理由は?

野崎:3は独特なんですよ。パンチ力がすごくあって。初代や4も持ってるんですけど、3はものすごくアンダーグラウンドっぽさが出せるんですよね。4は僕の中ではきらびやかな感じがして。もちろん、そういったダンスミュージックを作りたいときにはいいんですけど。ちょっといなたい、スモーキーな感じを出したいときは3が一番良いような気がしています。

──nordlead 3では、ご自身でエディットした音色を使われることが多いのですか?

野崎:音色は自分で作りますね。で、ちょうど具合が悪くなって、買い直す前に3のデータをMIDIで送ってバックアップしておいたんですよ。そのバックアップが新しいnordlead 3に読み込めたので良かったですけど。それができなかったらショックはかなりでかいですよ。何年間も作り貯めた音色だったので。

──自分で作った音色の数はどのくらいあったのですか?

野崎:たしかnordlead 3は120個くらいエディットしたものを保存できるのですが、その限界ギリギリまではありました。3だとUSBも付いていないし、新しい3にデータを読めるか心配だったんですけど。MIDIのシステムエクスクルーシブを送って。うまくいった時は、すごくうれしかったですね。ここ数年の中で一番うれしかったかもしれない(笑)。

──もう一方のKRONOSは生ピアノなどで使われるのですか?

野崎:KRONOSは、生ピアノも使うし、エレピもシンセもオルガンも色々な音色を使いますね。KRONOSはあまりの音の良さにビックリしていて。コルグにも知り合いが何人かいるんですけど、やっぱりフラッグシップモデルだけあって、素晴らしいですね。

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『Keystone』


¥2,778(本体)+税
WPCL-12396


[収録曲]
1. Now
2. Metamorphosis
3. Lost melody
4. DGA
5. PeachBoy
6. The City Beyond-幻(maboroshi)
7. WARP ~The warp riders adventures on the dance floor~
8. Parade!
9. Splash the Blue
10. A New Phase of Life

JAZZTRONIK(野崎良太)(RYOTA NOZAKI)
Jazztronikとは野崎良太が率いる特定のメンバーを持たない自由なミュージック・プ ロジェクト。ジャンルに縛られない数々の作品のリリースし、アーティスト、ピアニ スト、作編曲家として確固たる地位を築いている。 “箱根彫刻の森美術館40周年記念音楽”に3rdピアノソロアルバム「bird of passage」の収録曲が、2003年メジャーデビュー。2010年公開映画「死刑台のエレベーター」の主題歌に「ベットタイムストーリーfeat. YUKI」が抜擢。ドラマ、映画音楽に関しても昨今は映画「宮城野」、ドラマ「未来講師めぐる」「Love Game」「Real Clothes」「逃亡弁護士」「鴨、京都へ行く」「FIRST CLASS」等の音楽を担当し、クラシック、クラブミュージックだけにはとどまらない彼独自の音楽は多方面から評価される。サウンド・プロデューサー、リミキサー、ミュージシャンとしても数多のアーティストとコラボレーションを重ね、葉加瀬太郎、Mondo Grosso、TRF、ゴスペラーズ、山崎まさよし、椎名林檎、布袋寅泰、今井美樹、松下奈緒、flumpool、Coming Century、等 ・・・例を挙げると枚挙に暇がない。2014 年は架空の映画のサウンドトラックをイメージしたアルバム「Cinematic」Jazz の名門レーベルBlue Note75 周年アルバム「Vamos La Brasil」をリリースした他、4月~放送のフジTV 系連続ドラマ「FIRST CLASS」(主演:沢尻エリカ)の劇伴担当、そしてアルバムが発売される等、引き続き止まる事の無い活躍を続けている。

Live & Event Information

7/4 (Mon.) New Album『Keystone』
Release Live @AKASAKA BLITZ
7/17 (Fri.) JAZZTRONICA!!
〜Jazztronik New Album 『Keystone』
Release Party in KYOTO〜
7/22 (Fri.)New Album 『Keystone』
Release Live@ビルボードライブ大阪
7/23 (Sat.)New Album『Keystone』
Release Live@福岡スカラエスパシオ
7/24 (Sun.) Jazztronik”KEYSTONE”
Release Live @鹿児島 指宿白水館・薩摩伝承館

More information : www.jazztronik.com

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