新機能「INDIVIDUAL MIDI」の活用法を動画で解説
リアルなドラムサウンドのマルチトラックレコーディングが可能となったATV「aD5」活用法
リアルなドラムサウンドのマルチトラックレコーディングが可能となったATV「aD5」活用法
2016/06/09
ATV「aD5」 は、電子ドラム(エレクトロニックドラム)用に開発された音源モジュールです。ここでは、従来の電子ドラムとの違いや、音楽制作での活用法、そして新バージョン(ver.1.10)で進化したポイントを紹介します。特に、MIDIデータがパッドごとに別チャンネルで出力できるようになった新機能「INDIVIDUAL MIDI」については、動画でその活用法を解説しているので必見です!
文:目黒真二/写真:小貝和夫
本物のドラムのフィールとサウンドを実現
ATV「aD5」
電子ドラムは、スティックで叩いたりペダルを踏んで打つ「パッド」と、その信号を受けて音を鳴らすための「音源モジュール」をセットで使います。従来の製品は、同一メーカーのパッドと音源モジュールを組み合わせて使うのが一般的ですが、この「aD5」はローランド製とヤマハ製のどちらのパッドも接続できる音源モジュールなので、例えば「キックはローランド製のパッドで、タムはヤマハ製のパッドを使う」といった組み合わせが可能です。メーカーによってパッドの打感が違うため、ドラマーの好みに合わせてチョイスできれば、より快適に演奏ができ、気持ちいいグルーヴを生み出しやすくなります。
「aD5」に付属するマルチトリガー・ケーブルを、スネア、ハット、タム、キック、シンバルなどの他社のパッドに接続することで音が鳴らせる
あらかじめアコースティック系×2、ジャズ系×1、メタル系×1、スタジオ系×1の5キットが内蔵されている。各パーツを、リリース音が完全に消えるところまで余すことなく収録した、リアルなサウンドが楽しめる
「aD5」には、工場出荷時では厳選されたアコースティック系やジャズ系などのドラムキットが5種類内蔵されています。ひとつひとつのサウンドが複数のマイクで収音されており、時間をかけてミックスされているため、サウンドはまさに生ドラムのようです。また、ダイナミクスレンジが広いので電子ドラムにありがちな「誰が叩いても同じ音になる」ということがなく、ドラマーの技量がそのまま音に表われます。さらに、大容量の波形データを扱っているのにも関わらず、パッドを叩いてから実際に音が鳴るまでの時間差(レイテンシー)がほとんど感じられないため、微妙なタイム感の違いにこだわるドラマーにとって、まるで生ドラムを叩いているかのようなグルーヴが追求できます。
「aD5」は、ピュアなアコースティックサウンドを持ち、スティックコントロールによって表情が様々に変化する、まさに「本物のドラム」のフィールとサウンドを再現した、究極の電子ドラム用音源モジュールだと言えるでしょう。
ドラマーの強弱のニュアンスをストレスなく表現できる
ドラマーが、今までの電子ドラムにストレスを感じていたのは、思い通りの音量で音が鳴らないためです。例えば、そっと触れるような繊細なゴーストノートが鳴らなかったり、どんなに力強く叩いても、思っている以上のダイナミクスが出ないことがあります。 その点、「aD5」では、演奏する人の叩き方に合わせてダイナミクス(強弱)の幅を細かく調整できるので、感情のおもむくままにプレイに集中できます。
pp(ピアニッシモ)とf f(フォルテシモ)の強さでそれぞれ3回パッドを叩いて、そのドラマーに最適なダイナミクスを設定する。また、メゾフォルテ(mf )付近の強さを調整するカーブ(Curve)や、感度(Sensitivity)も設定できる
音色のアップグレード方法
(今秋提供開始予定)
パソコンで音色のデータをダウンロードしてSDカードに保存し、そのカードを「aD5」に挿入してデータを読み込む方式(SDカードは別売)
ピュアオーディオ級の音質も特筆すべきポイントです。ステレオでサンプリングされた生ドラムのハイレゾオーディオ素材を圧縮せずに使っていますので、日頃から「aD5」を使ってドラムの練習をしていれば、本物のドラムを叩く時にも違和感がなくプレイできるでしょう。
ドラムキットの種類も拡張される予定で、今秋には音色をスネアやシンバルなどのサウンド単位でダウンロード(有料)して、ドラムサウンドをアップデートできるようになります。
演奏をマルチトラックでMIDIレコーディングできる
「aD5」の最新バージョン(ver.1.10)の新機能「INDIVIDUAL MIDI」では、MIDIの演奏データをパッドごとに別チャンネルで出力できるようになりました。今までもMIDI信号を出力することはできましたが、全パーツが1つのMIDIチャンネルにまとまっていました。パーツ別に出力できるようになったことで、DAWソフトの複数のMIDIトラックに各パッドのデータを分けて同時に記録できます。これにより後からフレーズのエディットもやりやすくなり、オーディオデータ化もラクに行なえるようになります。ここからは、「INDIVIDUAL MIDI」を使ったMIDIのマルチチャンネルレコーディングと、そのMIDIデータを使ったマルチトラックオーディオ録音のやり方について、動画を交えて解説しましょう。
■「aD5」のサウンドをマルチトラックでオーディオ録音する方法
【手順1】
まず「aD5」をUSBでパソコンにつなぎ、次にDAWソフトを起動(ここでは「Cubase Pro 8.5」を使用)。「aD5」でドラムの演奏を行ない、各パーツのMIDIデータを複数のトラックに同時に録ります。
【手順2】
次に、録音したMIDIデータを再生して「aD5」を鳴らし(右画像1)、そのオーディオ信号をオーディオインターフェイス経由でDAWのオーディオトラックに送ります(右画像2)。
【手順3】
「キック→スネア→タム類→金もの」の順でMIDIトラックをソロ再生し、4本のオーディオトラックに順番に録ります。これで高音質なドラムトラックが完成しました。
例えばドラマーの自宅で電子ドラムの演奏をDAWソフトにMIDI録音し、その演奏データをギタリストが自宅に持ち帰ってエディットすることも手軽にできる
その他にも、様々なメーカーのパッドをスムーズに接続&セットアップするための機能が用意されていたり、「aD5」の液晶ディスプレイでハイハットの開き具合の設定がグラフィカルに行なえるなど、これまで時間がかかっていた各種セッティングが、正確かつ素早く行なえるようになっているのも最新バージョンの注目ポイントです。
主なスペック
▼パッド入力:キック、スネア( 3ゾーン)、タム1、タム2、タム3、ハイハット( 2ゾーン)、ハイハットコントロール、クラッシュ( 2ゾーン)、ライド( 3ゾーン)、AUX 1( 2ゾーン)、A UX 2(2 ゾーン)
▼接続端子:アウトプットL /R、ヘッドホン、オーディオ入力、マルチトリガー入力、AUXトリガー入力1 / 2、USB、AT Vリンク、SDカードスロット、DCイン
▼外形寸法:197(W)×144(D)×73(H)mm
▼重量:1.1kg
▼付属品:ACアダプター、マルチトリガー・ケーブル、スタンドアダプター、クイックスタート・ガイド
▼価格:オープンプライス
■メーカー詳細ページ
ファームウェア ver.1.10の内容
1.SDカードへの、トリガー・セットアップ情報の保存/読み込みに対応
2.パッドのモデル名を選択するだけで、パッドの標準的なセットアップができる機能の追加
3.ハイハット・コントロール・ペダルの調整方法を改善
4.トリガー・セットアップ・ウィザードの画面デザインを改善
5.対応パッドのモデル追加
・YAMAHA:KP125W、TP65S、TP65、PCY65S、PCY65、KU100、DTX400K Pad、DTX400K HH Pedal
・Roland:KD-8、VH-12、CY-12R/C、TD-4KP Kick、TD-4KP Pad、TD-1K Kick、TD-1K Pad、TD-1K HH Pedal
6.INDIVIDUAL MIDIチャンネルに対応
●動画出演
遠藤勝彦(エンドウ カツヒコ)
ドラマー。日本工学院八王子専門学校ミュージックアーティスト科卒業。カンノユウキバックバンドとしてプロ活動をスタート。第13回誌上ドラムコンテスト「Find Your Way 2013 ~Grooveor Technique~」坂東慧賞(審査員特別賞)を受賞した。2016年よりギター×バイオリン×日本舞踊×殺陣×etc...和洋折衷なエンターテイメント「破天航路(はてんこうろ)」のドラマーとしても活動中。
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