椎名未緒（ギター）

──まず、バンド結成6周年シングルという今作のコンセプトについて教えてください。

未緒：1年ぶりぐらいに正式にCDを流通に乗せる形でリリースすることになったので、それまでのユナイトのルーティーンはリセットして、「とりあえず曲を集めてみんなで聴いてみましょう」と。珍しくみんなで一つの部屋で「これどう？」みたいなやり取りをしながら聴きました。

──試聴会ですか？

未緒：そうです。ユナイトではあまりやってこなかったんですけど。それで「これが良いのかもしれないね」って形になって、「じゃあ、これを表題曲にした場合、カップリングはどういう組み合わせにしようか？」みたいにして、みんなで話し合って決めました。

──それはいつ頃のお話だったのでしょうか？

未緒：秋ぐらいだったっけ？

莎奈：そうですね。夏のツアー終わって、イベントが終わってぐらいだったと。

──表題曲が「A Little Picture」に決まったのはすぐだったのですか？

莎奈：試聴会をやったその日に、とりあえず表題だけ決まりました。

未緒：フルコーラスは出来上がっていない状態だったのですが、ワンコーラスだけ聴いて、暫定的に「これ並べてみましょう」と。それでフルに展開する中で、違和感あったらまた考え直すという結論になりまして。

──「A Little Picture」は未緒さんによる楽曲ですが、どのように作られたのでしょうか？

未緒：俺は作曲期間に「とにかく数を出そう」と思い、ザーッとワンコーラスだけの曲をいっぱい作って。自分の中で色々な方向に曲を振って書いていた中の、俺的には「アルバムのリード曲じゃないんだけど、アルバムの新曲の1曲目」みたいな。「なんか爽やかで聴きやすいんだけど、シングル曲ほどのパワーがない」というイメージで作ってたんです。

──まさかシングルの表題曲になるとは？

未緒：俺的には「なれないだろうな」と思っていました。音圧というかパワー感みたいなのも弱かったし。でも、「スラップやサックスだったりが入っているのは新しい」と言ってもらえて。

──ラップパートがありますが、ユナイトの楽曲にラップが入っているのは結構久しぶりですよね。

未緒：ずっと入れていなかったし、俺の曲には基本的には無かったんです。結さんが入れるくらいで。

──今回は未緒さん自らが入れてみようと。

未緒：今作に収録が決まった後に、「このままだとメッチャあっさりしたシングルになっちゃう」と思って。その時点でラップの前までしか作っていなかったので。なんか構成の工夫というか、“ひねり” が必要だと思い「じゃあ、ちょっと久々に入れてみようかな」と。

──歌詞はどのようなことをイメージして書かれたのですか？

未緒：実は進行上とか色々な事情があって、先にタイトルを付けちゃっていて。なので「まず、タイトルを決めなきゃ。字面でカッコ良いのが良いな」と考えた結果が「A Little Picture」で。「“ALP” って略せるし」とも思っていて。

──歌詞や公開されたMVなどを見ると、“白いキャンバスに希望を描く” と言ったことがテーマになっていると感じました。

未緒：いよいよ歌詞を書くってなった時、まず俺は絵の趣味もないですし、絵に関する芸術的感性がないんですよ。値段が高い絵を見て「これ高いだけあるな」とか、その作品に対する正当な評価ができないんですよ。けど、逆に高くないし芸術的価値がないものに対して「この絵好きかも」みたいな評価ならできたり。そういった考えを持っている人が世の中にもたくさんいるだろうなと思って。じゃあそれを人それぞれの生き方に置き換えて、書いてみようと。

──この楽曲はとてもポジティブな内容ですが、個人的に未緒さんは、悲しくてアンハッピーエンドな歌詞を書く方だという印象です。

未緒：ははは（笑）。そういう意味を含ませるのは好きなんですけど、6周年という周年に引っかかるような作品にはしたくて。自然とハッピーな方向性に向きました。無理にというわけではなく、「6周年ライヴでやりたい」といった色々な思いがそうさせたんだと思います。

──以前のインタビューで、未緒さんが「俺はちゃんと（歌詞の内容が）正確に伝わって欲しい」と言っていましたが、今回もその辺りを意識されましたか？

未緒：基本的にはそうなんですけど、どうなんでしょうね。正直、この歌詞には説明がいる気はしているんです。昔の俺は歌詞にいっぱい歌わない部分をスゴい足していたんです。それはそれで個人的には好きなんです。ただ、足し過ぎもどうなのかと（笑）。だから、表題曲はもうちょっと整理しようと。