レコーディング定番モデルと最新モデルがガチンコ対決!

【定番機の後継モデルと復刻モデルをレビュー】AKG C414 XLII

【定番機の後継モデルと復刻モデルをレビュー】AKG C414 XLII

2017/12/15


繊細な表現をしっかりと拾いつつ、埋もれない存在感

AKG
C414 XLⅡ

オープンプライス(¥118,000前後)
ヒビノ㈱ ヒビノプロオーディオセールス Div.
TEL:03-5783-3110
http://proaudiosales.hibino.co.jp/
 

試奏・定番モデル解説:篠崎恭一(SLOTH MUSIC)
 


スタジオの定番マイクとして長年君臨し、不動の地位を築いているAKGのC414シリーズの現行機種が、今回試奏したC414 XLⅡです。音の印象は伝統のC414シリーズと変わらず、すっきりとしたソリッドな音質で、伸びのあるきらびやかな高域は、まさに老舗ならではというべき素晴らしいキャラクターです。

まずはボーカルを録音してみました。微妙な舌使いのニュアンスから、リップノイズやブレスなど、繊細な表現をしっかりと拾いつつ、特徴である高域は非常に音楽的で、気持ちのいいサウンドで録音できました。空間系エフェクトの乗りも非常に良く、ラウド系のバンドの中でも埋もれない質感が得られますし、スッキリとした現代的なアコースティック楽器とも相性が良さそうです。

次にギターアンプの前にも立ててみましたが、その無駄な帯域の出っぱりがないサウンドは、歪ませたギターサウンドの収音にもピッタリでした。なお、指向性切り替えやローカットフィルター、パッドなどのスイッチには視認性のいいLEDが採用されており、現代的にアップデートされています。

これ1本で様々なパートに対応できるうえに扱いやすく、質の高いサウンドで録れるので、宅録にも最適な1本です。

【製品概要】
「C414 XLⅡ」は、1953年に発表された同社の名マイク「C12」を継承し、1971年に登場した定番シリーズ「C414」の音質を引き継いでいる、スタジオで定番のコンデンサーマイクだ。ハイの伸びがいい明瞭なサウンドを収録することができ、ボーカルやギター、ピアノなど、楽曲の中で他の楽器よりも際立たせたいパートに使うのに最適な特性を持っている。
 

定番モデル「AKG C414シリーズ」の特徴

他の楽器の中に混ぜても抜けてくるソリッドで伸びのあるきらびやかな高域

 

1962年に原型機種にあたるC12Aが発売されて以来、ノイマンU87と双璧を成す定番コンデンサーマイクがAKGのC414シリーズです。

このマイクの大きな特徴は、ソリッドで伸びのあるきらびやかな高域にあります。C414シリーズには姉妹機種など多くのモデルがありますが、キャラクターは共通していて、他の楽器の中に混ぜても抜けてくる、存在感のある質感が特徴です。その反面、サウンドに個性があるため万能というわけにはいきませんが、その部分を差し引いてもスタジオの定番になり得る魅力的なサウンドを持っています。また、コンデンサーマイクの中でも、比較的大音量に強いのも特徴です。

それらの特性を持っているがゆえに、ギターアンプやドラムのトップなど、金属的な響きを持つソースに用いられることが多く、その分離のいいサウンドを求めて、ボーカルのレコーディングに使われることもあります。近年では轟音ミクスチャー系のバンドの中でも、声が埋もれないという点で再び注目を集めつつあります。
 

1976年に登場した、現行モデルと同じく接続部がXLRコネクターとなったC414EB。繊細な高域が録れる点で、今もエンジニアの間で人気が高い

スチール弦のアコースティックギターをC414シリーズで録音すると、きらびやかかつオケの中でもグンと引き立つサウンドを得ることができる
 

定番モデルはどうして長きにわたり愛され続けているのか?

定番モデルと後継・復刻モデルを紹介する前に、プロのスタジオではどうして「定番」と呼ばれる機材が必ず導入されているのかについて考察してみましょう。エンジニアとしてだけでなく、プログラマーやPAエンジニアとしても活躍している篠崎恭一さんが、わかりやすく解説してくれました。
 

クオリティの高いサウンドでレコーディングやミックスを行なうことができるプロのスタジオは、部屋の鳴りや導入している機材など、それぞれに個性や違いがありますが、その反面、どのスタジオにも定番の機材というものが置いてあります。定番となりうるその理由は様々あるのですが、まず何と言っても「音がいい」というのが大きなポイントとして挙げられます。例えば、マイクならシュアSM57やAKG C414、ノイマンU87、マイクプリならニーヴの1073、コンプでしたらユニバーサル・オーディオの1176あたりは、まさにド定番です。

それらの定番機材を使えば何もかも音が良くなるという訳ではありませんが、「この楽器をこの機材に通した音が最高」という実例が非常に多いのです。

スピーカーやヘッドホンなどのモニタリング機器に関しては、聴いて楽しい音でなく、演奏やミックスの時にリズムや帯域が見えやすい、フラットな音を持つものが使用されます。代表的なものは、スピーカーではヤマハNS-10M、ヘッドホンではソニーMDR-CD900STなどで、それらを置いていないスタジオを探す方が難しいほどです。

また、定番になりうるもうひとつの理由として、「操作性が非常にシンプル」という点も挙げられます。プロのスタジオは時間単位で使用料金が加算されるので、手早く音を作れるというのも実は重要なポイントなのです。また、シンプルな操作性は、多くのエンジニアが出入りするスタジオにおいて、誰でもすぐに使えるというメリットもあります。

定番機種は、そのような理由で需要が高く、姉妹品や後継・再現モデルの他に、プラグインも出ているので、今では宅録環境でも導入しやすくなっています。また、「シンプルで音がいい」というのは、宅録においても大きなメリットです。定番モデルや後継モデルの導入は、プロのサウンドに近づくための一番の近道と言えるでしょう。
 

手前はギターアンプの録音で必ずと言っていいほど使用されるシュアSM57(ダイナミックマイク)。奥は、アンプやアコギ、ドラムのオーバートップなどでも使われるAKG C414(コンデンサーマイク)だ
 

左のシュアSM57と並んでギターアンプのレコーディングで使用される、ゼンハイザーMD421(ダイナミックマイク)。アンプ以外にもスネアやタムなど、ドラムでも使うことが多い。通称「クジラ」と呼ばれている
 

世界中のスタジオでボーカルレコーディングに使用されている、ノイマンU87というコンデンサーマイク。非常に幅広い帯域を捉えることができ、シンガーやプレイヤーのニュアンスを余すことなく収音できる
 

こちらもモニタリングでは定番の密閉型ヘッドホン、ソニーMDR-CD900ST。ギターやキックなどの音の立ち上がりがとても速く、リズムに合っているかどうかの判断がしやすいため、特にミュージシャンが歌や楽器をレコーディングする際に使用される
 

上はユニバーサル・オーディオ1176(コンプ)。世の中に流れている音楽で、これを通していないものはないと言っても過言でない定番機だ。下はニーヴ1073という、これまたスタジオではスタンダードなマイクプリ。もともとはコンソールに組み込まれていたが、マイクプリ部を抜き出して使っている場合が多い
 

世界中のスタジオにセットされているヤマハのモニタースピーカーNS-10M。周波数特性がフラットで、音楽を制作するうえで不要な味付けがない

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