愛称は「国内ではレアな逆輸入スタジオ!」
人気レコーディングスタジオ【スタジオ・チャプターハウス】に密着!
人気レコーディングスタジオ【スタジオ・チャプターハウス】に密着!
2018/01/18
コントロールルーム
●コンソール:ヤマハDM2000 VCM×3、タスカムSX-1×2、ヤマハDM3200×2
●DAWソフト/オーディオインターフェイス:アビッドPro Tools HDX×2、Pro Tools HD2 Accel×2
【スタジオ・チャプターハウス】
スタジオ・チャプターハウスは、ライブとデッドを調整しやすい適度なルームアコースティックを実現したブースと、モディファイされたハイエンドな機材やアンプ類、さらには電源周りにもこだわっており、年間平均300 曲の全国流通の楽曲を手掛けている
問:CHAPTER H[aus]
TEL:0294-52-6410
http://www.chapter-trax.com/
洋楽に強いサウンドキャラクターを目指して20周年を迎えた
国内屈指のレコーディングスタジオ
樫村:「海外スタジオの音で録れる」というのが一番の売りです。20年前に海外の大手スタジオを意識して、更地から設計してビルをゼロから作ったんです。仮に都心のテナント物件ですと、電源や天井の高さとかの制約があって、イメージ通りのスタジオが作りにくいのですが、ゼロから造れば好きな形状にできます。これは地方だからできることかもしれません。とにかく音質を海外のスタジオに近づけたかったんですよ。洋楽みたいな音作りができるような、サウンドキャラクターを目指したというわけです。
──具体的にはどんなサウンドなのでしょうか?
樫村:音の密度が濃くて立体感が出しやすい感じです。なぜ洋楽にこだわっているのかと言うと、大きなビジョンを持った、海外展開を狙っているアーティストに使ってもらいたいからなんです。実際に利用するバンドは、英語やフランス語の曲とインストが全体の半分くらいを占めていて、残りの半分は日本語のロックやポップス系のバンドが利用しています。私自身、英語が話せるので、英語の歌詞のチェックをすることもあるんです。結構重宝されているんですよ(笑)。
──どのようなジャンルのバンドがよく利用しているのですか?
樫村:いわゆるオルタナ、シューゲイザー、グランジ、ネオアコ、トロピカルハウス、ロックンロール 、ラウド系とか、全般ですね。「フジロック系バンド」とでも言いましょうか。逆輸入を狙っているバンドも多いです。
──スタジオを作るうえで、特にこだわった点を教えてください。
樫村:機材はもちろんですが、まずはケーブル類のワイヤリングですね。グレードの高いケーブルを採用することはもちろん、その接続方法もパッチを使わずに、なるべく直接機材につなげることで信号のロスを防ぐように工夫しています。真空管マイクとかでも付属のケーブルを使うのではなくて、オリジナルケーブルを使います。例えばY字ケーブルとかを作って接続しているんです。そうすることで、音が数倍良くなるんですよ。
──アウトボードなどで工夫されていることはありますか?
樫村:アウトボードも必要に応じてモディファイします。輸入代理店がなくなってしまって、もう修理ができないモデルとかは、基盤のハンダを取り外して修理して、さらにハイグレードのハンダで部品を付け直して、より良い音で使えるようにします。15年くらい前と比べると、最近は高額だったアウトボードも、レプリカとかが安価で発売されていますよね。そういった機材も、ハンダを高級なものに付け替えたりモディファイをすることで、より良い音にグレードアップして、高級アウトボード以上のサウンド作りができるようにしているんです。それと、それらのアウトボードの中で、マイクプリやチャンネルストリップとかを必要な台数、ブースに設置して、ブース内でマイクレベルをラインレベルに上げる工夫をしています。なぜなら最短距離でラインレベルに上げた方が、音にパンチが出やすくなるからです。加えて、バウンスによる音質の変化を避けるため、6台のマスターレコーダーでAIFF、WAV、MP3を同時に作成します。今は、個人のプライベートスタジオでもレプリカや再現モデルを使って音楽制作ができる時代ですが、だからこそ我々は、モディファイといった得意ワザや他のスタジオとは違う特徴を、3つくらいは持っていないとダメなんですよ。
──海外サウンドへのこだわりについてもう少し教えていただけますか?
樫村:国内では、メガヒットのほとんどがアイドル系やタレント系で占められているのが実情だと思います。欧米では、個性派やアンダーグラウンド系のバンドといったアーティストが、多数メジャーで大活躍しているにも関わらず、日本では大半がインディーズに留まっている現実に温度差を感じます。その格差を埋めつつ、それらをナビゲートできるような音質を、我々は提供していきたいんです。
──そのスタジオのサウンドへのこだわりは、どこにありますか?
樫村:例えば吸音に関しても、可動式の吸音パネルで必要に応じてルームアコースティックを調整しています。ライブ過ぎずデッド過ぎず、でも基本はどちらかというとライブ寄りなんですが、その時々で臨機応変に対応しています。年間300曲以上のレコーディングをこなしていますが、いずれもDAWソフトだけでのミックスは行ないません。必ずヤマハのDM2000というコンソールを通しています。「フルデジタルだけどデジタル臭さがない」というのも、利用される方々から口を揃えて言われる特徴です。「これ、どこの国で録ったの? って言われたんですよ」とお客さんから聞いた時に、スタジオの方向性が間違っていなかったのだと確信しました。
スタジオ・チャプターハウスのオーナーであり、レコーディングエンジニアとして活躍している樫村治延氏
(※)が付いているものは、モディファイを施している機材
(※)が付いているものは、モディファイを施している機材
取材当日はThe echodekというバンドのレコーディングが行なわれていた。フレンチ・ダンスロックテイストがふんだんに感じられる、逆輸入系バンドだ
「City Lights ep」
The echodek
ライブ会場限定販売
1,000円
オルタナAORとも呼べるサウンドに、次世代シティポップ要素も加味された、ひとクセあるオシャレなギターポップの決定盤
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