SONARユーザーのためのDAW乗り換えガイド

【主要DAWソフトレビュー】インターネットABILITY 2.5

【主要DAWソフトレビュー】インターネットABILITY 2.5

2018/02/14


TASCAM Professional Softwareブランドとしてリリースされていた「SONAR」の発売が、昨年をもって終了しました。多くのSONARユーザーの中には、引き続き使っていくという人もいるかもしれませんが、パソコンやOSのバージョンアップのことを考えて、他ソフトへの乗り換えを考えている人も多いはずです。この特集では、次に手に入れるべきDAWソフトを選ぶうえでの足掛かりになる情報をご案内しましょう。
 

優れたアレンジ機能を有し、多彩な打ち込み方法に対応

インターネット
ABILITY 2.5

ABILITY 2.0 Pro 通常版:パッケージ¥54,000/ダウンロード¥36,000 ABILITY 2.0 Pro クロスアップグレード版:パッケージ¥33,000/ダウンロード¥28,000 ABILITY 2.0 Elements 通常版:パッケージ¥30,000/ダウンロード¥22,500 ABILITY 2.0 Elements クロスアップグレード版:¥22,000/ダウンロード¥9,800 ※2.0ご購入後、無償で2.5へアップグレードされます。(¥59,000前後)
問:㈱インターネット
TEL:06-6309-1002
http://www.ssw.co.jp/
 


「ABILITY」は、人気の音楽制作ソフト「Singer Song Writer」の機能を、さらに発展させた国産のDAWソフトです。コードに歌メロを付けてくれたり、録音した歌メロをMIDI変換してくれるといった、豊富な作曲支援機能を有しており、初心者でも簡単にオリジナル楽曲を作れてしまうのが最大の売りです。
 

国産のDAWソフトとして高い信頼を勝ち得ている「ABILITY」は、他の海外製DAWソフトと比較して、オーディオのレコーディングとMIDIの打ち込みの比率で考えると、やや後者側に寄ったスタンスを持っています。なので、DAWソフトをDTM用のシンセ演奏ツールとして活用したい人には、特に向いています。

定番のピアノロール入力に加えて、国産伝統の数値入力や、初心者にも馴染みやすいスコア入力など、入力方法の選択肢が多く、バックトラックをパソコン上で作成したい人に対しては抜群の使い勝手の良さを誇ります。さらに、本ソフトはアレンジ機能をはじめとする作曲支援機能が多数用意されているのも特徴です。

また、VOCALOID製品を多数リリースしている同社らしく、入力用ソフトの「VOCALOID Editor」をReWire接続してABILITYと同期再生できる、専用のプラグインが用意されている点にも注目です。ボーカロイドを使ってみたいという人は、ABILITYを使えば、ボカロのトラックとバックトラックを同時進行で作れるというメリットがあります。

一方、オーディオ関連では、64ビット対応のオーディオエンジンや、最高24ビット/192kHzのオーディオループの再生にも対応したトラックを有するという基本スペックもさることながら、同社の波形編集ソフトである「Sound it!」相当の機能を内蔵している点も実に強力です。トラック上の非破壊編集だけでなく、波形を直接書き換えることも可能なので、トラックの修正からサウンドメイクまで、一歩踏み込んだエディットを行なうことができます。

プラグイン関連も同社製の豊富なエフェクト群やLinPlug製のソフト音源に加えて、ソノックス製の高品位なエフェクト群やfxパンションBFD Eco、さらにはネイティブ・インストゥルメンツのKOMPLETE ELEMENTSなど、強力なサードパーティ製の人気プラグインが付属している点も魅力です(平沢栄司)。

【動作環境】
●対応OS:Windows 10、8.1、 7(すべて64ビットと32ビットネイティブ対応、日本語版OSのみ対応)
●CPU:Intel/AMDデュアルコアプロセッサー以上
●メモリ:4GB以上
●ディスプレイ解像度:1280×800ドット以上、フルカラー
●ハードディスク空き容量:ABILITY Pro=24GB以上、ABILITY:3GB以上

 

売りの機能①=多彩なMIDIの入力方法を選択できる

 

ピアノロールエディタは、他のソフト同様に棒状のノートを描き込むスタイルですが、パレットから音符の長さを選んで貼ることもできます。スコア入力機能も付いており、ほぼ楽譜の見た目通りに入力できるため、既存曲のスコアを参考にした打ち込みもスムーズに行なえます。そして特筆すべきなのは、どちらのエディタも右側に数値入力エディタが開く点です。ピアノロールやスコア入力では微調整しにくいところも、数値入力でサッと修正することができます。
 

売りの機能②=譜面ソフト的にも使える高度なスコア作成機能

ABILITYには、スコアの印刷機能も用意されています。基本的には、スコア入力をしたトラックを印字する形ではありますが、もともとスコア表記に必要な各種記号などが用意されているため、打ち込みの段階からスコアの体裁を整えることができ、さらに音符のサイズや段の間隔などのレイアウト調整も可能なので、専用の譜面ソフトと比較しても、スコアを作成する際に不足に感じることはありません。
 

売りの機能③=手軽にループが作れる「フレーズトラック」

 

ABILITYはオーディオループも扱えますが、打ち込み派の人にオススメなのが、MIDIトラックに用意された「フレーズトラック」と呼ぶサブのトラックです。通常のMIDIトラックとは異なり、MIDIフレーズ集から貼ったり、自分で打ち込んだフレーズを手軽にループ化することができます。ループ区間はコードトラックで設定したコード進行に合わせてトランスポーズされるので、反復の多いベースラインやシーケンスフレーズを素早く完成させることができます。
また、専用のフレーズエディタ画面を開けば、ループ区間の任意の部分のみをエディットすることも可能です。
 

売りの機能④=ハモリも作れるピッチ補正機能「ボーカルエディタ」

 

ABILITYには、自社製のピッチ補正機能として「ボーカルエディタ」が搭載されています。ピアノロールを模した画面でMIDIのノート操作のようにピッチのエディットができるなど、操作性に優れています。また、元のフレーズから最大3声分のハモリパートを自動作成するハーモナイズ機能も搭載。ABILITYのコードトラックに入力されたコード進行などの情報を参考にしつつ、3度のハモリなどを元のトラックから作成して一緒に再生したり、別のオーディオトラックに書き出すことが可能です。
 

売りの機能⑤=コード進行からサクッと伴奏を作れるアレンジ機能

 

アレンジ機能とは、様々なジャンルの伴奏アレンジのデータを元に、ドラッグ&ドロップで5パート分のバックトラックを作成できる機能です。イントロやAメロ、サビなど1曲分の展開が用意されており、任意のパートのみを利用したり、異なるアレンジデータと組み合わせることも可能です。あらかじめ指定されているコード進行だけでなく、コードトラックで指定したコード進行に合わせて自動的にトランスポーズされるので、自分のメロディに合った伴奏が作れます。
 

売りの機能⑥=入力から出力までの流れがひと目で把握できる

 

ギターや歌の録音で重宝するのが、「オーディオ・ミキサーインスペクター」です。DAWソフトの場合、インプットからトラックへの信号の流れが見えにくいため、不慣れな人だとルーティングやエフェクトを使った音作りで悩むこともあります。このインスペクターは、インプット、かけ録り用のエフェクト、トラックのプリエフェクト、フェーダー、トラックのポストエフェクト、センドエフェクト、そしてアウトプットに至るまで、左から右へ向かって1つの画面で信号の流れが把握できます。
 

SONAR特有の機能と共通の機能も搭載!

SONARの特徴のひとつであるクリップ単位のエフェクト処理やオートメーションについては、「ウェーブエディタ」を開いて波形を編集することで同様の結果を得ることが可能です。クリップのループ処理についても、フレーズトラックやオーディオトラック上の編集で、ある程度までカバーできます。

一方、「AudioSnap」のようなオーディオの直接的なクオンタイズ機能は持っていませんが、ビートエディタを利用することで生演奏のタイミングを補正することは可能です。また、打ち込み関連では、ABILITYにもステップシーケンサーが用意されていて、SONARの同機能とインターフェイスも近いため、ドラムの打ち込みなどで多用していた人は重宝するでしょう。


※インターネットでは、SONARシリーズ(LEを含む)とMusic Creatorシリーズのユーザーに向けて、「ABILITY 2.0 Proクロスアップグレード版」を最大46%オフの特別価格で購入できるキャンペーンを2月28日まで実施している。また、抽選でコルグのMIDIキーボード microKEY2-37AIRをプレゼントされるという。詳しくは、http://www.ssw.co.jp/ap2sonar/まで。
 

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