宅録に最適なコンデンサーマイクをプロエンジニアが診断【PART.2】

ルイット、モハビ・オーディオ、ソユーズ、ペルーソ、ブラウナー、sEエレクトロニクス、ショップスの注目コンデンサーマイクを徹底レビュー

ルイット、モハビ・オーディオ、ソユーズ、ペルーソ、ブラウナー、sEエレクトロニクス、ショップスの注目コンデンサーマイクを徹底レビュー

2018/06/15


ボーカルやアコギなどの生楽器の録音で、最もよく使われるのがコンデンサーマイクです。現在では様々なタイプのモデルが数多く発売されています。ここでは比較的入手しやすいものから高価格帯のものまで、万遍なく14本をセレクトし、佐藤雅彦氏と浜田純伸氏という2名の有名エンジニアに試聴をしてもらいました。ここでは浜田純伸氏が担当した7本のレビューをお届けしましょう。

取材:目黒真二  写真:小貝和夫


 

素晴らしい高域の伸びを持ち、バンドサウンドの中でも埋もれない

ルイット
LCT540 SUBZERO

¥78,000
問:メディア・インテグレーション MI事業部
TEL:03-3477-1493
http://www.minet.jp
 

見た目は、同じオーストリア製のAKG C414を彷彿とさせるデザインで、パッドとローカットのスイッチを押すと数字が光るのがクールですね。
サウンドの方もC414と似た傾向で、高域が「シャキ」っとしていて、かなり高いところまで伸びています。とは言っても耳にうるさくない質感で、これは恐らく10kHzあたりがフラットだからだと思います。

音のスピード感も心地よくて、早過ぎると「ジャキ」っという耳障りな音になるところを、うまくチューニングしてあります。オーディオインターフェイスやマイクプリの個性をしっかり出してくれる素直な特性で、かつマイク自体のキャラがどのマイクプリでも残ります。

ジャンル的には、ポップスやロックの中でも特に明るめの、軽いリズムの楽曲に合いますね。このマイクで録ったバッキングパートは、バンドアンサンブルの中に入れても埋もれず、しっかりと主張すると思います。ボーカルでは男性と女性を問わず、キレの良い前に出てくる音で録れました。アコギを試した際には、倍音豊富なアコギ自体が持つキャラクターやエッジ感がうまく出てくれました。

それからポイントなのが、専用ショックマウントやマグネット式ウインドスクリーン、ポップフィルターといったアクセサリー類が豊富に付属している点です。買ってすぐに色々な状況での録音に対応できるのは、とても親切だと思いました。
 

 

ローカット(左)とパッド(右)はそれぞれ3段階から選ぶことが可能。現在選んでいるものが光るので、暗い部屋でも視認性がいい

上から本体に被せてマグネットで固定するという、専用のウインドスクリーンが付属している。これほどスピーディにセットできるウインドスクリーンは他にないだろう
 

この製品について

【製品概要】
「LCT540 SUBZERO」は超低ノイズ回路を採用し、歌やアコギなどを超高解像度の音質で録音することが可能なコンデンサーマイクだ。録音ソースの細かなニュアンスを逃さず収録できるのも特徴で、クリアで繊細な録り音を実現。なお、3段階で調整できるローカット・フィルターとパッド、さらにクリップインジケーターまで搭載している。

【スペック】
●指向性:単一指向性 ●最大入力SPL:136 dB SPL ●感度:41mV/Pa、−28dB V/Pa ●周波数特性:20Hz〜20kHz ●出力インピーダンス:68Ω ●外形寸法:長さ=185mm/幅52mm/奥行き=36mm ●重量=371g
 

ブランド・プロフィール

CEOで創立者でもあるローマン・パーション氏は、2010年1月にルウィットを設立しました。すべてのプロダクトデザインやエンジニアリングなどはオーストリアのウィーンにて進めて、製造は中国に設立した自社工場で行なっています。ローマン氏自身がチームを率い、革新性と柔軟性、そしてコストパフォーマンスを兼ね備える先進的なマイクの設計に取り組んでいます。

 


 

フラットかつオーソドックスな使いやすい音を持つチューブマイク

モハビ・オーディオ
MA-200

¥120,000
問:㈱宮地商会M.I.D.
https://miyaji.co.jp/MID/
 

まず外観ですが、センスの良さを感じるオシャレなデザインと色使いがいいですね。よくあるラージダイアフラム・タイプのコンデンサーマイクですが、本機はチューブタイプです。ただし、チューブマイクにしてはオーソドックスで、いい意味でサウンドにクセがないですね。余計な主張をしないので、どんなソースに使ってもフラットな音で録れる優等生タイプのマイクです。初めてのチューブマイクとしても最適だと思います。

チューブマイクの中には、わざとらしくチューブの特徴を出しているモデルもありますけど、MA-200は「チューブ特有のクセ」ではなくて、「チューブらしいフラットなレスポンス」を目指して製造されているのだと思います。音を単体で聴くと少し地味な印象なのですが、トラックの中で埋もれずに、しっかりと主張してくるのがこのマイクの持ち味ですね。

それと、本機はオーディオインターフェイスやプリアンプによって、すごく音の印象が変わります。つまり、プリアンプの特性がそのまま音に出るので、プリアンプをグレードアップした時とかに、サウンドの違いをすぐに実感できると思います。

特性がフラットなので男声と女声を選びませんし、どんな楽器にも使えると思います。ジャンルを問いません。なので、色々な用途で使えますし、ナレーションやアフレコとかに使っても、しっかりとその役割をこなしてくれるはずです。
 

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大口径のラージダイアフラムを搭載。フラットでクセがないながらも存在感のあるサウンドで録れる

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専用の電源ユニットが付属しており、マイク本体に安定したファンタム電源を送ることができる
 

この製品について

【製品概要】
「MA-200」は、リボンマイクでおなじみのロイヤー創設者、デヴィッド・ロイヤー氏がコンデンサーマイク用に立ち上げたブランド「モハビ・オーディオ」のチューブマイクだ。厳選された3ミクロン厚のダイアフラムと高品位なジェンセン製トランス、軍事用のJAN5840真空管を搭載し、高域の刺々しさがない、ウォームな音質を実現している。

【スペック】
●指向性:単一指向性 ●最大入力SPL:120dB ●感度:−37dB re 1V/pa ●周波数特性:20Hz〜20kHz ●出力インピーダンス:200Ω ●外形寸法:長さ=194mm/直径=50mm   ●重量:600g 
 

ブランド・プロフィール

モハビ・オーディオは、デヴィッド・ロイヤー氏が1985年にカリフォルニア州フラートンにある彼の家のガレージで、たった1人で始めたマイクブランドで、2005年にコンデンサーマイクのブランドとして正式に設立されました。マイクのエキスパートであり、音楽に対する深い愛を持っているロイヤー氏ならではの音楽的でナチュラルな音質は、多くのプロから支持されています。

 


 

50Hzあたりのローが主張する個性的な音質を持つロシア製マイク

ソユーズ
SU-023 Bomblet

オープンプライス(¥129,000前後)
問:ミックスウェーブ㈱
TEL:03-6804-1681
http://www.mixwave.co.jp/p_audio.html
 

これは外観がすごく個性的で、鏡面を活かしたデザインが、いかにも「ロシア製」という感じがして個人的に好きです。

音もルックスと同様、独特なキャラクターを持っていて、他のマイクと特性がまったく違います。まずローの出方がすごいですね。50Hzあたりがガッツリと出ていて、資料に載っている周波数特性グラフよりもさらに出ている印象です。この個性はマイクプリを替えても消えることなくしっかりと残ります。

一瞬、高域が少ないように聴こえますが、実はフラットに伸びています。これは中低域がせり出しているために高域がおとなしく聴こえているだけで、個性が強いながらも色々な用途で使えると思いました。
太い音で録れるので、ボーカルで使うなら、R&B系のバラードやヒップホップとかで使うのがオススメですね。シンガーの体がひと回り大きくなったような声が録れると思います。

一般的なコンデンサーマイクは、高域のアタックが強いハンドクラップとかをうまく収音できないんですけど、このマイクはアタックのピークが絶妙に抑えられるので大丈夫でした。グロッケンも試しましたけど、やはりいい感じで録れましたね。

他にこの中低域の質感を活かすのならば、ウッドベースやピアノの低域側の収音に使うと、曇りがちな音程感が見えてくると思います。それと、低域感を活かしてキックをオフマイクで狙ってみてもいいでしょうね。
 

 

まるで宇宙船を思わせる本体の上部に、独立した形で小型のダイアフラムが取り付けられている

マイク本体と専用のマイクホルダーなどを収納することができる、木製のケースが付属している
 

この製品について

【製品概要】
レトロなデザインを持つ「SU-023 Bomblet」は、ロシアのソユーズ社がハンドメイドで製造しており、最近多くのプロが使っている話題のコンデンサーマイクだ。ソ連時代のレアマイクに見られるトリプル・バックプレート・カプセルによるサウンドは、非常に個性的かつ芯があり、ドラムから歌、アコギまで、様々なソースに対応する。

【スペック】
●指向性:単一指向性 ●最大入力SPL:140dB ●感度:10 mV/Pa ●周波数特性:30Hz〜18kHz ●出力インピーダンス:190Ω ●外形寸法:長さ=194mm/直径=47mm   ●重量:510g 
 

ブランド・プロフィール

ソユーズマイクロフォンは2013年に、アメリカ出身のDavid Arthur Brownとロシア出身のPavel Bazdyrevによって設立。音響特性とデザイン性に優れたマイクを造っています。レディオヘッドやポール・マッカートニー、レッチリを手掛けるグラミー受賞エンジニア達が同社の製品を使い、コールドプレイのアルバム『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』でも使われています。

 


 

コンデンサーマイクの定番モデル「ノイマンU87」を忠実に再現

ペルーソ
P-87

¥148,000
問:㈱エレクトリ
TEL:03-3530-6181
http://www.electori.co.jp
 

見た目とサウンドの両方が、コンデンサーマイクの定番中の定番であるノイマンU87とそっくりですね。モデル名にも「87」と付けられているくらいなので、相当U87を意識して作っているのでしょう。今回の試聴ではリファレンスマイクとして本家U87も用意していたので、実際にサウンドを聴き比べてみましたけど、本当によく出来ていると思いました。

今回、ボーカルとアコギで試してみましたが、少しハイ上がりなところや、ロー感はまさにU87そのものですね。本家に比べて若干エッジ感は落ちますけど問題はありません。特にアコギでは低音弦のミッドローの存在感がしっかり出ていましたし、高域の伸びもキレイに出てくれました。本当にオールマイティなマイクで、ストリングスやホーン、オーケストラ全体といったほとんどのソースで使えると思います。

マイクプリを変えてもキャラが出てくるのですが、ヘンな主張はなくて、マイク本来の特性を活かしながらも、マイクプリのおいしいところも出してくれます。これさえあれば、宅録でも本家U87に近いサウンドで録れると思います。もし僕がどこかのスタジオに呼ばれて、そこにU87がなくても、このマイクさえあれば同じようなサウンドで録れるでしょうね。

価格も本家と比べればかなり手頃ですし、U87が欲しいけど予算が足りないというのなら、こちらをオススメします。
 

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本体にはローカットスイッチ(左)と−10dBのパッドスイッチ(右)が付いている。この点もU87を忠実に受け継いだ設計になっている

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指向性は本家のU87同様、無指向性、単一指向性、双指向性の3通りから選ぶことができる
 

この製品について

【製品概要】
「P-87」は、アメリカの新興マイクメーカーであるペルーソが、世界中のスタジオでボーカル録音に使われている名器「ノイマンU87」のサウンドを再現することを目指して開発したコンデンサーマイクだ。大口径のダイアフラムを搭載し、ボーカリストやプレイヤーの繊細なニュアンスを損なわずに、ナチュラルなサウンドで収音できる。

【スペック】
●指向性:単一指向性/無指向性/双指向性 ●最大入力SPL:152dB ●感度:10 mV/Pa ●周波数特性:20Hz〜22kHz ●出力インピーダンス:200Ω ●外形寸法:長さ=228mm/直径=56mm   ●重量:584g
 

ブランド・プロフィール

ペルーソは2002年に設立され、アメリカのバージニア州に本拠地を置く新しいマイクブランドです。ノイマンやAKGなどの歴史的チューブマイクやソリッドステートマイクのビンテージサウンドを再現。ディテールにこだわりを持ちながら、丹念に熟練の職人達が作った、緻密かつクリアで暖かみを持っているサウンドが、世界中のエンジニアから高い評価を得ています。

 


 

主役のパートをグンと引き立たせる押し出しの強い低域と中低域

ブラウナー
Phanthera

オープンプライス(¥280,000前後)
問:日本エレクトロ・ハーモニックス㈱
TEL:03-3232-7601
http://www.electroharmonix.co.jp
 

音といいルックスといい、この存在感はすごいですね。さすがドイツのメーカーだけあって、高級車の代名詞「ベンツ」を彷彿とさせる風格を感じます。付属のショックマウントにも高級感がありますね。

ブラウナーのマイクは、どのモデルも低域の押しが強いんですね。Phantheraも音にガッツがあって、ミッドローの力強さもあります。ギターやボーカルの基音がしっかりと録れて、音像が近く感じられるので、楽器の鳴りやピッキングのニュアンスがハッキリと聴こえる印象で録れます。プレイヤーと楽器が同じでも、このマイクに変えただけで、演奏がパワフルになったように感じるはずです。

それと、ブラウナーの上位モデルが真空管マイクなのに対して、本機はFETマイクなのですが、シルキーで上質なサウンドを持っています。ジャンル的にはクラシック、ロック、ポップスと何でもいけます。バッキングで裏に回るようなパートではなくて、メインのボーカルやギターとか、存在感を出したいパートに使うのがいいですね。

どのマイクプリを使ってもブラウナーだとわかる個性の強さを感じます。ですが、やはりブラウナーらしい音が欲しいなら、それなりに性能が高いマイクプリを使った方が、より特性を活かせると思います。今回のチェックではトランスタイプのニーヴ1073と組み合わせた時に、最もスピード感のある骨太なサウンドで録れました。
 

重厚なボディに大型のダイアフラムを搭載。アコギなどのソースの出音を確実にキャッチする

ショックマウントも頑強な作りになっており、マイクをしっかりとホールドしてくれる。着脱が非常にスムーズにできるのも特徴だ
 

この製品について

【製品概要】
「Phanthera」(ファンセラ)は、チューブマイクのようにウォームなキャラクターを持っているFETコンデンサーマイクだ。リファレンスマイクとして使用可能な高い解像度とフラットな特性を実現。太い音で録れつつも、高域がしっかりと伸びているなど、バランスがとてもいい。ソースとの距離感を正確に表現してくれるのも本機の持ち味だ。

【スペック】
●指向性:単一指向性 ●最大入力SPL:142dB SPL @ 0.3% THD ●感度:28 mV/Pa ●周波数特性:20Hz〜22kHz ●外形寸法:長さ=165mm/直径=49.4mm   ●重量:566g 
 

ブランド・プロフィール

「ブラウナー」は、Dirk Brauner氏が1993年に始めたドイツのマイクブランドです。極めて自然なサウンドを目指し、細部に至るまで注意を払って製造。実践的なヒアリングテストを重要視しており、様々な測定を実施して、日夜クオリティの限界に挑んでいます。L'Arc-en-CielのhydeやUVERworldのTAKUYA∞など、多くのプロが同社のマイクを愛用しています。

 


 

ニーヴ特有の存在感のある音質で録ることができるチューブマイク

sEエレクトロニクス
RNT

¥328,000
問:㈱フックアップ
TEL:03-6240-1213
http://www.hookup.co.jp
 

マイク自体は結構大きいんですけど、洗練されたモダンなデザインになっていて、すごく安心感があります。付属の専用電源もかなり大きいんですけど、これは電源に相当力を入れているからでしょうね。指向性の切り替えや、ゲインとハイパスフィルターの操作は、この電源側で行なうようになっています。

サウンドはオールドニーブに通じる骨太な質感があって、さらにチューブならではの暖かさもありますね。周波数特性は上から下までまんべんなく鳴っていて、特にハイの伸びがすごいです。しかもローエンドとハイエンドのどちらにもスピード感があって、それが腰の強さにつながっています。プリアンプやコンソールにニーヴ製品を使ってきた人は、安心して録りやミックスができると思います。

とにかくニーヴの音が欲しい人は、まずこのマイクをチョイスするべきでしょうね。ジャンル的には、ブリティッシュロックや、アメリカ西海岸系の明るくてガッツのあるサウンドに合っていると感じました。

空気感は少なめですけど、決して耳に痛い感じではなくて、主役のボーカルやリード楽器のサウンドを前に押し出してくれます。今回試奏したマイクの中では、録り音の存在感が一番ありました。なので、バックトラックは他のマイクで録っておいて、ボーカルとギターソロをRNTで録ると、さらに本機の個性が引き立って、ミックスもやりやすくなると思います。
 

ダイアフラムは、自社工場にて熟練工による手作業で製造されており、厳しいテストを経て、sEがこれまでに開発した中でも最高級のカプセルに仕上がっている

電源ユニットにはハイパスフィルターとゲインの選択スイッチと、指向性を9種類から選ぶことができるツマミを装備している
 

この製品について

【製品概要】
「RNT」は、sEエレクトロニクスとルパート・ニーヴ・デザインズのコラボ第3弾として開発されたチューブマイクだ。低ノイズのECC82真空管と、カスタム設計した出力トランスを実装。透明性のあるサウンドと広いヘッドルームを誇っている。また、カプセルは手作業で製造・調整が行なわれ、最高級の品質を実現しているのも特徴だ。

【スペック】
●指向性:9パターン(無指向、単一指向性、双指向性/それぞれの間を3ステップごとに切り替え可能) ●最大入力SPL:151dB ●感度:16 mV/Pa ●周波数特性:20Hz〜20kHz ●出力インピーダンス:30Ω ●外形寸法:長さ=240mm/直径=62mm ●重量:989g
 

ブランド・プロフィール

sEエレクトロニクスは、2003年に上海に自社生産設備を開設した人気のマイクブランドです。音の入口であるカプセルやリボンを、熟練した技術者が手作業で生産することで、自動化された大量生産の工場製品との差別化を図っています。また、設計と製造のほぼ100%を自社工場で行なうことで、手頃な価格ながらも高品質の製品を多数提供し続けています。

 


 

リッチで明るい中高域を持ち、繊細なニュアンスも余さず収音

ショップス
V4 U

¥422,000(サスペンションを含む)
問:日本テックトラスト㈱
TEL:03-6407-0493
http://www.tech-trust.co.jp
 

上品でオシャレなルックスがいいですね。アールデコ調と言いますか、レトロな雰囲気の中にもセンスの良さが光ります。

ショップスというとペンシルタイプのマイクが有名ですけど、このサイドアドレスタイプのV4 Uも音質的にはその個性を引き継いでいて、中高域帯のリッチさは「さすがショップス!」という感じです。しかも中高域がいやらしく出るのではなくて、あくまでもテイストがエレガントで、明るさも持ち合わせています。どのマイクプリにつなげても、このモデル特有のブライトで繊細な雰囲気は保たれていました。

高域だけではなく、中低域のふくよかさも併せ持っているので、メーカーは「スタジオボーカル・マイクロホン」を謳っていますけど、色々な楽器で使えると思います。
ただ、このマイクの良さを活かすなら大音量でシャウトするような歌よりも、軽めのポップスやロック、クラシックやジャズとかで、しかも繊細なニュアンスや空気感が求められるようなスタイルの歌で使った方がいいでしょう。例えば、ウィスパーボイスやボーイソプラノとかにはピッタリだと思います。それから高域の特性を活かして、ハイレゾ音源の制作に使うのもありだと思います。

あと、ダイアフラムの角度が変えられて、1人で録音している時でも、マイクスタンドを動かさずに正確にソースを狙えるというのも便利ですね。
 

このようにダイアフラムが入っている部分が前後に動かせるようになっているので、距離や角度をマイク側で調整することができる

こちらはダイアフラムを後ろに倒したところ
 

ネジで4方向からマイク本体をしっかり固定することができるショックマウントが付属している
 

 

この製品について

【製品概要】
「V4 U」は、老舗マイクメーカーのショップスが1951年に発表した「CM 51/3」のルックスは継承しつつも、サウンドを現代的にブラッシュアップしたモデルだ。非常に繊細でクリアな音が自慢で、バラードの歌唱や生楽器のソロ演奏など、ニュアンスを重視するソースの録音に向いている。カプセル部分の角度を変えられるのもユニークだ。

【スペック】
●指向性:単一指向性 ●最大入力SPL:144 dB SPL ●感度:16 mV/Pa ●周波数特性:50Hz〜22kHz ●出力インピーダンス:97Ω ●外形寸法:長さ=194mm/直径34mm ●重量=302g
 

ブランド・プロフィール

ショップス社は 1948年の創立以来、高い品質と、高品位かつニュートラルな音で多くのユーザーに親しまれてきたマイクブランドで、今も世界中のレコーディングスタジオや放送局などで同社のマイクが使用されています。その高い信頼性と卓越したサウンドクオリティは、多くのプロの信頼を勝ち得ており、ギターやボーカル、ピアノなどの定番マイクとして知られています。

 

試奏者プロフィール

浜田純伸(ハマダ スミノブ)
1985年、久石 譲のもとで株式会社ワンダーステーション設立に参加。以後、久石 譲をはじめとして、多くのレコーディングセッションに参加する。1996年には北野 武監督の映画『Kids Return』のメインテーマ曲の録音において、日本プロ音楽録音賞を受賞した。2014年7月に株式会社サウンドインスタジオに所属し、現在は執行役員技術部長を務めている。

 

今回の試奏方法

今回は、マイク自体のキャラクターを判断するために、複数のマイクプリを使って音質を比較してみました。用意したのはオーバー・クオリティKZ-912、ルパート・ニーヴ・デザインズShelford  5052、ニーヴ1073の3台で、アビッドのHD I/O経由で直接アビッドPro Toolsに録音しています。他に一般的な宅録環境を想定して、スタインバーグUR22mkⅡに各モデルをつなげて録った音も確認しています。録音ソースは、男性と女性のボーカルやナレーションで声質を確認しつつ、楽器はアコースティックギターをメインに、高域のアタック成分を確認するためにグロッケンも使いました。モニタリングは、サウンドインスタジオのオリジナルのラージモニターを使っています。
 

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