ダジャレを交えた軽妙な文章で 曲作りのノウハウをわかりやすく紹介!

好評発売中の作曲本「神のみぞ知る!? 名曲・作曲 テクニック」の傑作コンテンツを4週にわたって公開【第2回】

好評発売中の作曲本「神のみぞ知る!? 名曲・作曲 テクニック」の傑作コンテンツを4週にわたって公開【第2回】

2017/12/06


神のみぞ知る 名曲・作曲テクニック

ギタリストのためのレコーディングマガジン「サウンド・デザイナー」が発行している作曲をテーマにした単行本「神のみぞ知る!? 名曲・作曲テクニック」が、現在好評発売中だ。

この本は、洋邦のロック・ポップスの名曲を題材に、作曲をするうえで覚えておきたいコード理論やメロディの作り方などのノウハウを、著者の野口義修氏ならではのダジャレを交えた軽妙な文章でわかりやすく紹介するという、これまでになかったタイプの作曲本で、アーティストや楽曲にまつわる逸話も数多く盛り込んでおり、ロック・ポップスのエピソード集としても楽しめる内容になっている。

普段から作曲を行なっている人やプロの作・編曲家を目指している人から、これから曲作りを始めてみたいと思っている人まで、音楽に興味がある人なら誰でも楽しんで読める本書の中から、選りすぐりのストーリーを1話ずつ4週にわたって紹介しよう。

著者:野口義修
発行:サウンド・デザイナー
定価:1,836円(税込)
判型:A5版・平綴じ
総ページ数:276ぺージ

 

第2週目の題材曲=ワン・ダイレクション「リヴ・ホワイル・ウィ・アー・ヤング」


「構成は「ああせい、こうせい(構成)!」


【オーディション番組から登場したイケメン5人組】

2010年に彗星のごとく現われた、イギリスのイケメン5人組ボーカルグループ「ワン・ダイレクション」。
彼らはイギリスのアーティストオーディション番組「Xファクター」第7シーズン「Boys」部門に個別にエントリーし、審査員のサイモン・コーウェルにより見出されたのをきっかけに、グループ結成とデビューを果たしました。
そして、それから約6年間、怒濤の勢いでその人気を広げ、瞬く間にビッグアーティストに成長しました(2017年現在は活動休止中です)。

そういえば、「Xファクター」や「アメリカズ・ゴット・タレント」など、世界ではオーディション番組が全盛なのに、なぜか現代の日本では、その手の番組が生まれませんね。色合いは異なりますが、五木ひろしさんや天童よしみさん、八代亜紀さんらを排出した『全日本歌謡選手権』や、山口百恵さんや桜田淳子さんなどを排出した『スター誕生!』など、昭和の時代はオーディション番組が日本でも全盛でした。


【オーディション番組から登場したイケメン5人組】

ワン・ダイレクションは5人それぞれの歌唱力が素晴らしいのですが、彼らが来日した際にTV番組『ミュージック・ステーション』で代表曲「リヴ・ホワイル・ウィ・アー・ヤング」を披露しているのを聴いた時、その歌唱力に加えて、聴かせどころ満載な、楽曲の“構成”のうまさに驚きました。

どのようなものなのか、具体的に説明しましょう。
まず、冒頭はシンプルなギターリフ(2小節)でスタートします。それに乗せて、キックの4つ打ちと共に、ボーカルが低域で呟くようにAメロが始まります(4小節)。そして、もう一度Aメロ(A')を4小節繰り返す時には、スネアが2拍と4拍にアクセントとして入っています。
そこから、Aメロの印象をガラッと変えるように、声をロングトーンで伸ばすBメロ(4小節)がスタート! 同時にここでベースが登場して、ドラムと共に勢いのあるリズムを刻み始めます。その後、もう一度Bメロ(B'/4小節)を繰り返したら、いよいよサビです。
サビでは、「レッツゴ~!」というかけ声と共に、「クレイジー」や「ネバー」などの濁音を強調したインパクトの強い言葉が繰り返されます(4小節×4小節の繰り返し)。そして、最後は「リヴ・ホワイル・ウィ・アー・ヤング」と曲タイトルで締めくくります。
その後は、「♪ア~、ア~、ア~……」とサビのメロディをウーアーコーラスで繰り返し、最後でまたタイトルを歌い込むのです。この「♪ア~、ア~、ア~……」がこの曲をヒットさせたフックだと思います。つまり、サビのメロディをスキャットで繰り返すことで印象付けていたわけです。

2番も同じような展開で進んで行くのですが、Bメロは1回(2小節)です。これも基本に忠実! 2番は早めにサビに行きたいという想いから、ハーフにしたのですね。
さらに2番では、ガラッとメロディの雰囲気が変わるDメロが登場するのですが、このバックで1番で聴いた「♪ア~、ア~、ア~……」を配置するところが、まさにプロのワザです! 「リヴ・ホワイル・ウィ・アー・ヤング」は、YouTubeでPVが見られますので、ぜひ聴いてみてください。なんと、2017年5月時点で5億回以上ものアクセスがあります。


【定番ながら飽きの来ない「Aメロ→Bメロ→サビ」構成】

いや~、それにしてもこの曲の構成は見事です! 細かく説明しましたが、この曲は大きく捉えると「Aメロ→Bメロ→サビ」という、80年代以降から現代に至るJ-POPでは超定番となっている構成で組まれていることがわかります。
しかしながら洋楽では、意外とこの構成の曲は少ないのです。でも、「Aメロ→Bメロ→サビ」という構成は、サビに向かって盛り上がる期待感を自然に作れますし、Aメロ、Bメロ、サビという3タイプのメロディが登場することで、飽きのこない曲になるのです。初めてこの曲を聴いた時、珠玉のポップスを作る秘技を見る思いでした。これがヒットしないわけはありません。

ここで、この「Aメロ→Bメロ→サビ」という構成のおさらいをしてみましょう。この展開では、セクションが進むごとに徐々に音域を上げていくことが多く、サビで最も高い音を使います。また、バックのサウンドはAメロで基本のビートを鳴らし、サビまでに手を変え品を変えてサウンドに変化を付けて、徐々に音数を増やしつつ盛り上げて、サビへの期待を煽ります。
なお、サビで爆発するためにも、Bメロは長くなり過ぎないように注意しましょう。アマチュアの楽曲では、時折サビよりもBメロが目立つ楽曲を耳にします。

ポップスは、何と言ってもサビが勝負です。デモテープの審査やコンテストでは、いきなりサビで始まるような楽曲の方が有利な場合もあります。しかし、頭にサビを持って来て、最初にすべてネタバレしてしまうのはもったいないものです。そこで、サビの半分くらいを頭に出して、後に来る本サビの予告として使うといいでしょう。

同じメロディラインを使っていても、構成や展開次第で、曲はまったく違った印象になります。作曲や編曲では構成のテクを最大限に活かして、楽曲をベストにすべく、構成を「ああせい、こうせい」と考えてくださいね!
そして、後世(こうせい)に残る名曲に仕上げましょう!
 

題材曲こぼれ話

「リヴ・ホワイル・ウィ・アー・ヤング」は2ndアルバムの『テイク・ミー・ホーム』に収録されています。日本を含む世界37ヵ国のヒットチャートで初登場1位を記録した作品で、その人気や売り上げがビートルズと比較されることも多いようです。ロンドンオリンピックでも閉会式に登場して、会場を沸かせていましたね。

彼らは今回紹介した楽曲の仕掛けや構成の素晴らしさをはじめ、メンバーがギターやピアノを演奏できるという音楽的な素養の深さも魅力のひとつです。皆さんも、彼らの魅力を味わってください。2016年に活動休止を発表してしまいましたが、今後どういう展開になっていくのか、個人的に興味津々です。
 

その他のストーリー

第1回=ザ・ビートルズ「ヘイ・ジュード」
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