真空管内蔵モデル試聴レポート

【エンジニア飛澤正人氏がレビュー】マンレイNu Mu

【エンジニア飛澤正人氏がレビュー】マンレイNu Mu

2017/06/30


圧縮感を加えずに自然に音量を揃えてくれる驚きの効き目

コンプ
マンレイ
Nu Mu

オープンプライス(¥298,000前後)
問:㈱フックアップ
TEL:03-6240-1213
http://hookup.co.jp/

マンレイNu Mu

 

メーターが大きくて見た目はレトロなんですけど、サウンドはモダンで、機能としてはコンプと言うより、「レベラー」や「ダイナミクスコントローラー」と呼んだ方がいいと思います。ご存じの通り、コンプは音を圧縮して音量の大小を揃えるんですけど、このNu Muは圧縮感がないのに自然にすべての帯域の音量が揃うんです。この効果を普通に得ようとすると、オートメーションでボリュームを細かく書いていくしかないんですけど、本機を通せばアタックを潰さずに、レベルがしっかり収まるのがすごいですね。
しかも、トランジスタの機材では絶対に出せない、真空管ならではの艶っぽさや華やかさが加わるんです。「HIPコントロール」という仕組みによって、深くかけても原音がキープされるので、かかりがとてもナチュラルですし、オケ中でもソースを持ち上げてくれます。ボーカルを録音する際にこれを通せば、いちいちフェーダーを操作しなくても、1曲通してレベル差を自然に揃えてくれますよ。

【製品概要】
「Nu Mu」(ニュー・ミュー)は、数多くのアウトボードの名機を輩出してきた同社が開発した真空管コンプだ。真空管は6BA6を2本搭載し、新設計のソリッドステート回路を融合させることで、滑らかなダイナミクス処理と、力強いサウンドを実現。また、職人達によって手作業で生産されているのもポイントだ。

【SPEC】
●周波数特性:−0.8dB @20Hz、−0.5dB @50kHz ●ダイナミックレンジ:112dB ●真空管:6BA6×2本 ●入出力端子:チャンネル1(インプット/XLR、アウトプット/XLR、インサート/フォーン)、チャンネル2(インプット/XLR、アウトプット/XLR、インサート/フォーン) ●外形寸法:88.9(H)×482.6(W)×177.8(D)mm ●重量:3.86kg
 


 

飛澤正人

【試奏環境】
今回はDAWソフトにアビッドPro Tools、オーディオインターフェイスにデジグリッドのIOSとIOXを使ってチェックを行なった。マイクの試奏では、クセの少ないアバロン・デザインAD2022(マイクプリ)を通してPro Toolsに録音。コンプの試奏ではPro Toolsのセッションファイルを開き、すでに録音済みのドラムやベースなどのソースにかけて試聴を行なった。DIは、パッシブのシングルPUとハムバッキングPUのエレキギター、パッシブタイプのエレキベースを接続して音質を確認している。ちなみに、モニタースピーカーはB&Wの805シリーズで、ヘッドホンはシュ アSRH1540を使用した。

【プロフィール】
飛澤正人(トビサワ マサヒト) Dragon Ashなどの作品を手掛けている敏腕エンジニア。空間表現や奥行きの作り方に定評があり、時間軸に音を刻み込むようなミックスはアーティストから厚い信頼を得ている。近年は作・編曲家としても活動を展開し、藤本 健氏とのコラボ企画『DTMステーションEngineering』もスタートしている。


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