音楽制作向きのイヤホン試聴レポート

【エンジニア林 憲一氏がレビュー】オーディオテクニカATH-E70

【エンジニア林 憲一氏がレビュー】オーディオテクニカATH-E70

2017/08/15


幅広い周波数特性が特徴のハイレゾ音源に対応したイヤホン

オーディオテクニカ
ATH-E70

オープンプライス(¥48,000前後)
問:㈱オーディオテクニカ 
TEL:03-6801-2080
https://www.audio-technica.co.jp/mi/
 

オーディオテクニカ ATH-E70

実際にサウンドを聴き比べてみて驚いたのですが、接続する再生機器によって音が変わるんです。例えばPro Toolsで聴くと中域が前に出てくるんですけど、iPodに接続したら低域と高域が出てくるんですね。つまり、このイヤホン自体には音の色付けがなくて、再生機器の特性を素直に出してくれたので、ミックスとかでリファレンス的に使って、音を正確に判断するのに非常に向いていると思いました。

サウンド的には、フラットでありながらも中域の、特にボーカルの芯の部分がしっかりと前に出てくるので、ボーカルトラックのサウンドメイクにも最適だと思います。特に母音の発音が聴きやすくて、日本語は母音中心の言語ですので、その点から言ってもJ-POPの制作にはピッタリですね。それと、センターが強めに聴こえるうえに、音のスピード感がすごく速いので、全体の音が前に出てきて迫力があるのもこのモデルの特徴です。

【製品概要】
「ATH-E70」は、ステージ上でのモニタリングから、スタジオでの繊細なミキシング作業まで対応することが可能な、同社が誇るインイヤー・モニターのフラッグシップモデルだ。低域、中域、高域それぞれの再生に特化した3基のバランスドアーマチュア・ドライバを搭載しており、すべての帯域を正確に再生することができる。

【SPEC】
●タイプ:バランスド・アーマチュア型 ●ドライバ:バランスド・アーマチュア・ドライバ×3 ●周波数特性:20〜19kHz ●出力音圧レベル:109dB/mW ●インピーダンス:39Ω ●ケーブル長:1.6m(着脱式) ●重量:約9g(コード除く) ●付属品:着脱コード(1.6m、L型)、ケース、イヤーピース(XS、S、M、L)、コンプライフォーム・イヤーピース(Mサイズ)、変換プラグアダプター(φ6.3mm)
 


林憲一

林 憲一氏

【試奏環境】
今回の試聴で使ったDAWソフトはアビッドPro Tools 12で、オーディオインターフェイスは同じくアビッドのHD Omniを使ってチェックをした。Pro Toolsで林氏がミックスを行なったプロジェクトを再生する以外に、そのファイルを2ミックスに書き出して、第4世代のiPod touthとスマートフォンのXperiaで再生してのチェックも行なっている。
なお、バランスドアーマチュア式のモデルは歪みやすいものもあるため、大音量ではなく、適度な音量で試聴した。

【プロフィール】
林 憲一(ハヤシ ケンイチ)  ビクタースタジオ在籍時に、10年以上に渡りサザンオールスターズのチーフエンジニアとして活動。フリー転向後も様々なアーティストの作品のレコーディングやミックスの他、THE BACK HORN、藍坊主、ジャパハリネットなどのプロデュースを手掛ける。近年ではmiwa、WEAVER、石崎ひゅーいなどの作品に携わっている。


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