15周年企画コラボベストアルバム
ORANGE RANGE『縁盤』インタビュー
(YAMATO/NAOTO)
ORANGE RANGE『縁盤』インタビュー
2016/08/05
──今回のコラボレーションで、特に印象に残ったのは?
YAMATO:やっぱり、幸宏さんのレコーディングに立ち会ったことですね。NAOTOからYMOのアルバムを色々聞かされているうちに大好きになったんですけど、改めて本人が目の前にいるっていう現実に、もうガチガチになってしまいまして(笑)。スタジオにいらしたときから、レコーディングのときも、会話をするときも、そして帰っていくときも、ずっと緊張しっぱなしでした(笑)。
──そのときって、NAOTOさんがディレクションをしたんですか?
NAOTO:ディレクションとかもうできないですよね(笑)。ただただ感動しているだけ。
YAMATO:もちろんNAOTOも、幸宏さんから聞かれれば「こうしてください」「ああしてください」って言うんですけど、基本的にはただのファンですよね(笑)。幸宏さんのハイハットが「チチッ」って鳴るたびに、二人で目を合わせて興奮状態でした。言葉には出さないけど、「おい、聴いたか今の!?」「出た出た!!!」って、心の中で会話していましたね。
──目に浮かぶようです(笑)。
NAOTO:「Silent Night」は、意識してなかったのに結果的に沖縄の匂いがメチャクチャするアレンジになりましたね。それって、昔だったら「よし、ここで沖縄フレーバー足しちゃおうか?」みたいな感じでやっていたと思うんですよね。「沖縄のバンドなんだし、たまには三線でも入れてみようか」みたいな。でも、この曲はそんなことまったく考えずにレコーディングしたのに、沖縄っぽくなったから面白かったですね。
──それって、もともとこの曲に入っていた無意識の沖縄フレーバーが、今回のリアレンジで引き出されたということなのでしょうか?
NAOTO:うん、なんかそんな感じしました。
──「one」は、ふじ幼稚園とのコラボだとクレジットされていますが。
YAMATO:この曲は、東北の震災があったときに、「何かできないかな」と思って作った曲なんですね。それをキッカケに、今まで僕ら一度もやったことのなかったアコースティックライブにも挑戦するようになって。最小限の機材で東北を訪れ、演奏するようになっていくんですね。で、いろんなところを訪れた中の一つが、震災の被害にもあったふじ幼稚園だった。以来、毎年ふじ幼稚園を訪れるようになったのですが、東北復興の願いを込めて作った「one」という曲を、今回どうしても一緒にレコーディングしたかったんです。「コーラスという形で一緒に参加してもらえないですか?」ってお願いしたら、快く引き受けてくれたので、実現することができました。
NAOTO:園児たちも、みんな事前に練習してくれていたみたいで、スムーズにレコーディングができましたね。
──旧知のプロデューサー、シライシ紗トリさんとは7年ぶりのタッグですが、久しぶりに一緒にやってみていかがでしたか?
YAMATO:そうですね、シライシさんに僕らの成長ぶりを見せたいっていうのもありましたし、シライシさんの手を離れてセルフプロデュースをするようになってからは、結構メールのやり取りで制作を進めることが多くなってきて、制作中はメンバー同士の会話も徐々に少なくなってたので(笑)、シライシさんに間に入ってもらいながら、膝を突き合わせて作業をしたかったんですよね。久しぶりにやってみて、相変わらず引き出しが多くて圧倒されました。今回も、僕ら全員のいいところをぐっと引き出してくれたし、書きおろしの新曲「ここにいるよ」を一緒に作ることができて、本当にいい時間を過ごせたなっていう感じですね。
──ミックスダウンで気をつけたこと、エンジニアさんにリクエストしたことは?
NAOTO:あまりデフォルトせず、そのままの音を生かしてもらいました。ドラムに関しても、最近は録ったあとに音色を差し替えることが多いのですが、それも避けましたね。録り音の段階でしっかりと音作りをして、それをラフミックスするくらいの感じで、ほんの少し調整するくらいで2ミックスに落としてもらいました。ORANGE RANGEの場合、アルバムによっては思いっきりミックスに凝って、ゴチャゴチャになるくらい音を加工する場合もあるんですけど、今回は素のままを心がけています。
──それはやっぱり、コラボ相手の息遣いなどがしっかり伝わるようにしたかったというのもありますか?
NAOTO:はい、まさにそうです。あと、オリジナル音源は時代によってはかなり音圧がパッツパツのものもあったので(笑)、それは今回、コンプ少なめにして楽器のダイナミクスがいきるような音像を心がけましたね。「以心電信」は、聴き比べたらびっくりするくらい音圧が違っています(笑)。
──では最後に、今後の抱負をお聞かせください。
YAMATO:個人的には、「バカじゃないの?」って言われるようなことを、ずっとやっていきたいです。自分で言うのもなんですが、こんなにも色んなことを幅広くやっているバンドって、他にいないと思うんですよね。ORANGE RANGEらしさをこれから先も出していけるように、何事にも肯定的に吸収していきたいです。「バッカだねー」って、褒め言葉として言われるような存在でい続けたいです。
NAOTO:これを作る前に、僕らの過去作を全て聞き返してみたのですが、我ながら笑えたんですよね(笑)。そのとき何を考えていたのかも思い出せないくらい、自分の作品じゃないような感覚があって。そういう感覚が、この先20周年を迎えたときにも味わえたらいいなあって思うんです。YAMATOと似ているんですけど、「なんでこんなことやってたんだろうな、バカだな俺たち」って思えるような、そんなバンドでありたいですね。
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