今注目の32bitフロート対応のマイク型オーディオレコーダー
【徹底レビュー】ズーム「MicTrak」シリーズ活用ガイド(M2 MicTrak/M3 MicTrak/M4 MicTrak)
【徹底レビュー】ズーム「MicTrak」シリーズ活用ガイド(M2 MicTrak/M3 MicTrak/M4 MicTrak)
2023/08/25
レコーディング時にゲイン調整が不要で、誰でも失敗のない録音が行なえるというズームの最新テクノロジー「32bitフロート」。同社の「F3」や「F6」「F8n Pro」といったフィールドレコーダーに搭載され、すでに多くの映像クリエイターから好評を得ているこの革新的な技術ですが、マイク型オーディオレコーダー「MicTrak」シリーズにも搭載されて注目を集めています。ここでは、現時点で「M2 MicTrak」「M3 MicTrak」「M4 MicTrak」と3製品ある「MicTrak」シリーズの中から、4トラック仕様の「M4 MicTrak」を中心に、楽器プレイヤーやミュージシャン向けの活用ガイドをお届けしたいと思います。
文・撮影:編集部
(※本記事はプロモーションを含みます)
▲写真左から「M2 MicTrak」「M3 MicTrak」「M4 MicTrak」
◉「マイクとオーディオレコーダーが一体化」
最初に「MicTrak」シリーズ共通の長所・ストロングポイントからご紹介していきましょう。まずは何といっても「マイクとオーディオレコーダーが一体化している」という点です。iPhoneや市販の小型ボイスレコーダーはマイクとオーディオレコーダーが一体化していると言えますが、「MicTrak」シリーズのように楽器や歌声、映像撮影での収録を第一に考えられているわけではありません。この「MicTrak」シリーズは「M2」や「M4」であれば手に持つかマイクスタンドに立てるだけ、「M3」であれば一眼レフカメラなどにセットするだけで本格的なオーディオのレコーディング環境が整います。
また、今まで、スタジオや音楽制作現場でのマイク録りと言えば、どうしても長いケーブルを引き回す必要がありましたが、「MicTrak」シリーズを使えばそんなケーブルからも解放されることを意味しています。この「ハイクオリティな録音環境がフットワーク軽く実現できる」というところが、楽器プレイヤーに「MicTrak」シリーズをオススメしたい1つ目の理由になります。
◉「32bitフロート」でゲイン調整不要。失敗しない録音環境を実現!
2つ目の特筆ポイントは「32bitフロートに対応することで、ゲイン調整不要で失敗のない録音環境を実現」という点です。「32bitフロート録音」を知らない方のためにあらためて解説しますが、一般的な「Linear」形式のレコーダーでは、事前にレベルメーターが赤く点灯(クリップ)しないように入力レベル(トリム)を調整する必要があります。そして、もし設定した入力レベルを超えた場合は音がクリップしてしまいます。
それに対し、ズームの32bitフロート対応レコーダーでは、①ローゲイン用とハイゲイン用2つのADコンバータ(デュアルAD)の搭載により圧倒的なダイナミックレンジを実現 ②入力信号は録音時の解像度を保持できる32bitフロートのWAV形式で記録。このデュアルADと32bitフロートを組み合わせたズーム独自のシステムにより、事前に入力レベルを調整しなくてもRECボタンを押すだけで小さな音も大きな音も高音質にレコーディングすることができるのです。まさに魔法のような録音方式を搭載しているわけです!
「M4 MicTrak」の注目ポイント&活用法
それでは、具体的に「M4 MicTrak」の特徴や活用法を紹介していきましょう。
①最大4トラックの同時録音に対応
「M4 MicTrak」には、内蔵のXYステレオマイクと2つの外部入力用XLR端子が用意されています。例えば、外部入力の2つのXLRにPAミキサーからの音を入力し、XYステレオマイクで会場の音を収音して「ライブ演奏の録音」に使ったり、自分が所有しているマイクを併用して「アコギの弾き語り」や「ドラムレコーディング」、「ギター/ベースのアンプ録り」「ピアノの録音」などに活用することが考えられます。
▼使用例:アコギ録音
例えば、歌にはお気に入りのコンデンサーマイクを使い、全体の響きは「M4」で録る etc...
▼使用例:ドラム録音
キックやスネアなどに好みのマイクを立て、ドラムのアンビは「M4」で録る etc...
▼使用例:ギター/ベースのアンプ録り
アンプに好きなマイクを立て、少し離れたところからアンビを「M4」で集音する etc...
▼使用例:ピアノの録音
好みのマイクで任意の箇所を狙い、ピアノ全体のアンビは「M4」で録る etc...
とにかく、写真のように「M4 MicTrak」では、外部入力用XLR端子に自分の好きなマイクをつないで使用できるという点が特徴であり、利点です。
なお、事前にズームの開発担当者に話を聞いたところ、「M4 MicTrak」の2つのXLRおよびマイクプリは、映画などでも使用される同社の最上位フィールドレコーダー「F8n Pro」と同じクオリティのものだそうです。また、XYマイクのサウンドは、何度もテストを繰り返してきた過去一の性能で、マイクグリルの穴の大きさやXYマイクを支える支柱の太さなども「一番良い状態で録れるデザイン/形」になっているとのことです。
②4トラック同時波形表示
「M4 MicTrak」でレコーディングした内容は、再生ボタンを押すとプレビューすることができます。「M4 MicTrak」には本体にスピーカーが用意されていて、その場で音が確認できるのもポイントです。ディスプレイには最大4つのトラックが表示され、再生済みの箇所がグリーン色に変わりながら進んでいくのが特徴です。
また、プレビューする際に本体の「ー」「+」の虫眼鏡ボタンで「巻き戻し」と「早送り」が行なえるのですが、この単位が「-3sec(3秒ずつ巻き戻される)」「+10sec(10秒ずつ早送りされる)」に設定されているのも開発チームの最適解だそうです。たしかに実際にやってみると、巻き戻したい時はちょっとずつ、進みたい時は10秒くらいがいい感じに使えました。
③低ハンドリングノイズ
「M2 MicTrak」と「M4 MicTrak」は手に持って使うケースが多いと思いますが、レコーディン時のハンドリングノイズが低いというのも大きなセールスポイントです。開発担当者いわく「本体がテカテカしているのは、色々と実験した結果、これが一番低ノイズだったためです」とのこと。たしかに指紋がつきやすいなど、見た目の問題は多少あるかもしれませんが、録音時にノイズが出にくいというのは最優先項目となって当たり前。この開発陣のこだわりを強調してお伝えしておきたいと思います。
④約19時間の駆動/リモートコントロールなど
「MicTrak」シリーズはすべて単三電池で駆動します。そして、「M4 MicTrak」は単三電池4本で約19時間利用可能。もし電源が心配であればType-CのUSB経由でも電源供給できるので、どんな長時間の音楽のセッションでも安心です。また、本体には「REMOTE」という端子が用意されていて、別売ではありますが同社のリモコンを使ってレコーディング操作できるのも見逃せません。ちょっと離れたところにマイクをセットした場合は、このリモコンに対応している点もありがたいです。
⑤内蔵のタイムコードジェネレーター(映像撮影機器との同期)
「M4 MicTrak」は、「MicTrak」シリーズで唯一「タイムコード信号の入出力」に対応しています。映像機器に詳しい方であればすぐに使い方がわかると思いますが、本体の「TIME CODE IN/OUT」と映像機器の「音声入力端子」をオーディオケーブルでつなぐことで、「M4 MicTrak」と映像機器に共通の時間軸(タイムコード)を記録し、後のポスプロ(映像編集)の段階で音声と映像を「タイムコードを使って正確に同期させる」ことができるようになります。
なお、「M2 MicTrak」と「M4 MicTrak」には録音時に「ピッ!」というトーン信号を出力端子から鳴らす(録音ファイルにも書き込まれる)「録音開始トーン」機能も用意されています。タイムコードに対応していない映像機器などを利用する際は、この機能を活用して「ピッ!」という発音タイミング(波形の発音タイミング)で「M2」や「M4」のオーディオと撮影素材を視覚的に映像編集ソフトで揃える手もありです。
⑥オーディオ・インターフェイス機能
「M4 MicTrak」はWindows、Mac、iOS、Andoroidで動作するオーディオ・インターフェイスとして利用することもできます。先述した通り、32bitフロート対応なので、録音時にゲイン調整不要で最大4イン/2アウトのUSBマイクとして活用可能。しかも、「M4 MicTrak」本体にも同時録音できるので、パソコンなどのある場所から離れて録音した内容を持ち運ぶこともできます。DAWソフトでの曲作りはもちろん、ライブ配信にも使えます!
⑦その他
その他、「M4 MicTrak」にはその場でサウンドをモニターするための「PHONE OUT端子」が用意されていたり、マイクスタンドに取り付けられる「三脚取り付け用のネジ穴」、性能やデザイン的に優れた「ヘアリーウィンドスクリーン」が付属されています。
「M2 MicTrak」の活用法
ここまで「M4 MicTrak」を中心に紹介してきましたが、映像との同期や4トラックも必要ないという方には「M2 MicTrak」をオススメしたいと思います。「M2 MicTrak」はボーカルマイクそのままという筐体ですし、カラオケ感覚で手に持って自身の歌声を録りたい人にはもってこいの製品だと言えます。
「M2 MicTrak」にはマイクスタンドに取り付けるための専用のホルダーが付属しているので、写真のように弾き語りを録ることも可能です。また「M4 MicTrak」同様、マイク本体に録音ボタンやスピーカーも用意されています(「M2 MicTrak」は単三電池2本で駆動)。「場所を選ばず、録りたい時にすぐに使用できる」この製品こそ、今まで楽器業界にありそうでなかった新スタンダードになりえるアイテムだと思います。
今回は音楽での用途をプッシュしていますが、もちろん音楽用途以外にもインタビューやポッドキャストの収録などにも重宝すること間違いなしです!
「M3 MicTrakの活用法」
そして、YouTube、プロモーション映像といった撮影で、一眼レフ/ミラーレス一眼などにカメラ取り付けて使用したい製品が「M3 MicTrak」になります。一眼レフなどのカメラにも音声録音機能が用意されている場合もあるとは思いますが、何といっても「M3 MicTrak」だと録り音がいいんです。
「M3 MicTrak」は超指向性のショットガンマイクで、ミッドとサイドの両方が録れる「M/S方式」を採用しています。しかも、撮影時に本体の「STEREOキー」でステレオ幅を調整できる(OFFにした場合はモノラルのショットガンマイクとして機能)ので、例えば狙った中央の声をしっかり録りつつ、カメラマンの周り・背後の音をなくしたり、増やしたりといったことが可能なのです。YouTubeなどの映像のクオリティを大きく左右するポイントがここにあります!
なお、「M3 MicTrak」は付属ケーブルで「LINE OUT端子」から音声が出力でき、カメラ側でも「M3 MicTrak」経由の音を記録しておくことが推奨されています。こうすることで、編集時に「M3 MicTrak」の音とカメラの映像が同期しやすくなるからです。また、「M3 MicTrak」は専用アプリ「M3 Edit & Play」で「M3 MicTrak」を一定期間使わない時に電源を自動的にオフにする「Auto Power Off」やSDカードの残量、残りの録音可能時間の確認なども行なえます。
撮影用のマイクは様々なメーカーから販売されていると思いますが、32bitフロート対応で撮影時にゲイン調整が不要、「M/S方式」で狙ったサウンドをより絞り込める「M3 MicTrak」のアドバンテージは非常に大きいと感じます。
(まとめ)
さて、「MicTrak」シリーズの魅力を「M4 MicTrak」を中心に紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。マイクとレコーダーが一体化することで、当たり前ですが余計なセッティングが減り、しかも32bitフロートの恩恵で録音時のゲイン調整も不要。録音ボタンを押すだけで音が録れ、その場で録った音も確認できる。この感覚を一度体験してしまうと、その「使い勝手の良さ」にあらためて驚かされます。また、今回記事を制作するにあたり、事前に同社の開発スタッフの方にお話を伺う機会があったのですが、マイクを支える部分やマイクグリル、筐体の質感など、本当にユーザーのことを考えていることがわかりました。ボーカル、楽器のレコーディング、YouTubeなどの動画撮影、とにかくオーディオ録音のあらたなスタンダードになる製品シリーズだと思います!
▶︎メーカー公式の製品詳細ページはこちら
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