DI機能を搭載した渾身のフラッグシップモデル
ズームからベース専用のマルチエフェクツ・プロセッサ「B6」が登場!【ロックバンド・シドの明希さんが徹底チェック】
ズームからベース専用のマルチエフェクツ・プロセッサ「B6」が登場!【ロックバンド・シドの明希さんが徹底チェック】
2021/12/15
◉「B6」の特徴その①
「素の音」(すべてバイパスした時の音)がいい!
(開発者からのコメント)
今回の「B6」はズームのベースエフェクトのフラッグシップモデルです。そこで、まずはベースの音を入力した際の「素の音」がとにかく良くなるように、位相ズレを最小限に抑えた回路(新開発のアナログ入力回路とデジタルのDIセクション)を設計しており、低音から高音までの音を余すことなく伝えられるようにしました。この「素の音」は、本機右下の【BYPASS】スイッチを「ALL BYPASS」の状態にすると確認することができます。「B6」には4つのDIのモデリングが用意されていますが、実はこの「ALL BYPASS」の状態はデフォルトのDI(ZOOM DIとでも言い換えられると思います)とも言えます。このデフォルトの状態が何の色つけのないサウンドとなります。
何というか「音、良過ぎですね(笑)」。試奏したベースの音がしっかりと太く出てて、いきなり驚かされました。マルチエフェクターというと、僕も今まで使ったことがあるんですが、どうしても「マルチを通した音」って感じになってしまうんですけど、この「B6」は正直わからなかったです。というか「B6」をオールバイパスにしたときの音は、実機のDIを通したときと差がない、いや、同じですね。
◉「B6」の特徴その②
プロ定番の4種類の「DIモデリング」を搭載
(開発者からのコメント)
公表はしておりませんが、今回プロの現場で使われる定番のダイレクトボックス4種類をモデリングし、音色の違いでプレイヤーの方に選んでいただけるようにしています。一般的に、DIの音質はトランスによって左右されると言われているのですが、このトランスの特性をモデリング(デジタルで再現)し、DIを通すことで得られる自然なサチュレーション感を再現しています。
【明希さんのインプレッション】
まず、4つのDIのキャラが同じじゃなくて、違うのがいいですね。DIのキャラがそれぞれ違うので、例えばライブ会場の鳴りに合わせて「この会場はローが足りないから、TUBE系にしよう」とか、反対に「ライブ感が強めだからSOLID STATE系の低域がもっとタイトなタイプを選ぼう」とか、そういった使い分けができると思います。もちろん、「B6」のマスターにもEQが搭載されているので、いざとなればそこで調整することもできるんですが、EQを使わずにDIでそういったことができるのが素晴らしいですね。
ちなみに音の好みで言えば、僕は4つの中だと「TUBE 2」という、赤いやつなのでおそらく「REDDI」を再現したものだと思うんですが、これが自分の音に合うなとすごく気に入りました。
◉「B6」の特徴その③
新開発の10種類を含む、119種類のベースエフェクト
「B6」には119種類に及ぶベースエフェクトが内蔵されているのですが、その中の10種類が新開発されたものとなっています。特に新アンプの「Sun CB」と「Monotone」に関しては、キャビネットタイプに「Sun CB」では「SN2×15」、「Monotone」では「MT1×15」を組み合わせて試奏していただくと、よりサウンドの感じを体感していただけると思います。ちなみに、本機の一番左上の【PLAY MODE】で「BANK / PATCH」モードを選び、バンクを101番以降にしていただくと「Empty」という何もアサインされていないものが表示できますので、そこからエディット画面に入り、「CHANGE EFFECTS」をタップ → 任意のエフェクトをタップ → カテゴリーから希望のエフェクトを選んでもらえたら「まっさらな状態から希望のエフェクトにアクセスしやすい」と思います。
【新開発のエフェクトについて】
2種類のアンプ
SUN CB
クリーンな低域とブライトな高域が特徴的な、70 年代ビンテージソリッドステートアンプのモデリングサウンドです。
Monotone
ジャズに最適なソリッドステートのコンボアンプで、マイルドなローミッドと全体的に落ち着いたトーンが特徴的です。
Clear Drive
ZOOMオリジナルのプリアンプモデル「Clear DRV」は、ディストーションの信号パスにリニアフェイズフィルターを搭載。これにより、ドライ信号とのミックス時に位相干渉のないクリアなドライブトーンになります。
Super Low Preamp
重低音を生み出すZOOMオリジナルプリアンプ「SpLoPre」には、ローエンドの一音一音を強調するベースエンハンサーを搭載。ローEQとサブオクターブサウンドで、超低音域のサウンドを生み出します。
Djent Preamp
ジェントサウンド向けのZOOMオリジナルのプリアンプモデル。歪みのないローエンドと激しく歪んだハイエンドをミックスし、ダウンチューニングした5弦ベースでもクリスピーで強烈なディストーションサウンドが得られます。
1073 Preamp
トランスによる太くウォームな歪みが特徴的な、ビンテージマイクプリアンプのモデリングサウンドです。
Solid Preamp
レコーディングコンソール内蔵のソリッドステート式マイクプリアンプをモデリングした「SolidPre」は、超低域をカットして引き締まった倍音が特徴的なプリアンプモデルです。
Bass Analog Octave
アナログ回路のオクターバーをシミュレートした、新開発のベース用オクターバーです。オクターブ下の音にモジュレーションの効果をかけ、音に厚みを加えることもできます。
Bass Standard Synth
フィルター調整が可能なZOOMオリジナルのベースシンセエフェクトです。
Bass Synth Talk
母音をしゃべっているような、トーキングモジュレーター風のシンセサウンドが得られるベース用エフェクトです。
<新搭載アンプに関して>
僕は「Monotone」がハマりました。ローの感じが前に出るくせに、遅くないというか。僕はいつもレコーディングのときに「顔の前にアンプが張り付いているような感じ」を目指してるんですが、それが最初から実現できていて。歪みベースとかロックベースが好きな人はみんな好きだと思いますね。あと、もうひとつの新搭載アンプの「SUN CB」ですが、これは結構歪むなと思って、正直音作りには苦戦しました。スピーカーが引っ込む音というか、プレベスタイルのアンプ直結のベーシストが使うとカッコいいんじゃないかなと思います。ただ、ビンテージ感はものすごく再現できていて、そこには感動しました。
<新搭載プリアンプに関して>
「Clear Drive」のディストーションを上げ目にサウンドメイクしてみたんですが、歪みが強いんだけど、つぶれないみたいな音になって。これはめっちゃ良かったですね。しかも、ノイズが少ない! これは「抜けるディストーション」ですね(*)。それと「Solid Preamp」も使いやすかったです。邪魔にならない歪みというか、ナチュラルな歪みがすごいいい感じでした。ハーモニクスで倍音を足すと、ちょっと音が太くなるような気もします。それと、音がエグいものだと「Djent Preamp」ですね。ローは歪まないんだけど、ハイが歪んでいる状態で「激しく歪んでても音の芯は残っている」感じです。
あと、指弾きとかには「1073 Preamp」もすごく合いそうだなと思いました。シドの曲だとこういう表情を出せるものも多いんで、フィンガーベースのときには良さそうです。グラフィックからニーヴのプリアンプを再現したものだと思いますが、音も太くてアナログ的ですね。
【(*)開発者からのコメント・補足】
プリアンプではドライと歪みを混ぜると思いますが、通常はドライ音と歪みの音が干渉してしまうんですね。しかし、そこをリニアフェイズEQを使って干渉しない手法を取ることで、音が引っ込まない、音が抜けるようなプリアンプを目指しています。ドライと歪みは「ブレンド」というツマミで調整可能です。
<新搭載エフェクトに関して>
「Bass Analog Octave」を試してみたんですが、音やせもしなくて気に入りました。普段、僕はこういうアプローチをあまりしないんですけど、単純にいいですね。今回の「B6」の新搭載エフェクトはどれも飛び道具系で面白くて、ベースをベースと思わないような「斬新なフレーズ」が生まれると思うし、この音だからこのフレーズというのは絶対にあると思うんです。どれも遊び心が感じられるものでしたね(*)。
【(*)開発者からのコメント・補足】
今回の「B6」は、DIやプリアンプといった堅実なところを多めに強化したんですが、やはりワンポイントで飛び道具を入れたくなるのもベースだと思うんです。そういう意味でオクターバーやシンセを入れています。
今回「B6」をお借りできたので、シドのライブでのベースの音が「B6」だけで再現できるかをやってみました。全部で4つのサウンドを作ってみたんですが、こんな設定です。実際、音作りをしてみたらめちゃくちゃ良かったですよ。
ドライブ感のあるシド定番の歪みサウンド
これは自分の中での定番の歪み系サウンドなんですが、「B6」で再現するにはまず「LMT 76」という紫色のコンプで音を整えて、そこにサンズアンプをモデリングした「Bass Driver」と、アンプには「Monotone」をチョイスします。この設定で、メインサウンドとも言える音が作れました。
最近のツアーでメンバーのソロをやるようなコーナーがあったのですが、そこでのディレイの入ったベースも作ってみました。先ほどと同じように、最初に「LMT 76」をかけて、それから「アナログディレイ」と「クリーンコーラス(水色のCloneChorus)」をかけます。で、「AG750」というヘッドアンプを通しています。「B6」のコーラスはすごく自然でいいですね。
もうひとつメインとなる指弾き用のセッティングがこれなんですが、まずプリアンプとして「1073 Preamp」ですね。で、アンペグのSVTのヘッドだけを使って、コンプは「LMT 76」です。
一番えげつない歪みがこれで、「Clear Drive」というプリアンプと「GramComp」というコンプですね。で、アンプはベースマンのことだと思うんですが「BMan100」と書かれているやつです。
◉「B6」の特徴その④
4つのプレイ・モード(EFFECT BOARD、BANK / PATCH、MEMORY、LOOPER)
「B6」には、タッチスクリーン上の表示とスイッチにアサインされている機能が切り替わる4つのプレイ・モード(EFFECT BOARD、BANK / PATCH、MEMORY、LOOPER)が用意されています。プレイ・モードは、音を途切れさすことなく別のモードなどにも以降することができる他、例えば「EFFECT BOARD」では、センド・エフェクトから手持ちのエフェクトを「B6」に加えて併用することも可能です。
EFFECT BOARD
BANK / PATCH
MEMORY
LOOPER
まず、「EFFECT BOARD」は1つ1つエフェクトが簡単に振り分けられて、オン/オフもすぐに切り替えられて使い勝手がいいですね。あとは「BANK / PATCH」や「MEMORY」を使えばライブでもバッチリだと思います。もう、ローディーさんが「B6」の中にいるんじゃないかと思うくらいです(笑)。曲が変わったときに、「BANK / PATCH」を変えればセッティングを全部一気に変えられるわけですからね。いずれにしても、可視化できていることがいいですよね。立って演奏しているときに、これだけディスプレイの文字が大きいと変な話、事故も起きないと思うんです。プレイヤーとしてはとってもありがたいです。
◉「B6」の特徴その⑤
鮮明なハイエンド、2系統のベースの入力が行えるなど
(開発者からのコメント)
通常の弊社のギターエフェクト製品は44.1KHzというレートで動作するエフェクトプロセッサが多い中、今回の「B6」は、倍の88.2KHzで動作させています。これによって、鮮明な高音が実現できるので、アタック部分やスラップベースなどでも音の距離感がわかりやすいと思います。
・2系統のベースの入力が行える
(開発者からのコメント)
エレクトリックベースとアップライトベースなど2本のベースを接続して、フットスイッチで瞬時に切り替えられる2系統のインプットを装備。どちらのインプットにも1MΩと10MΩのインピーダンス切り替えスイッチが用意され、Piezoピックアップを搭載したアップライトベース(10MΩ)でもクリアなトーンで演奏できます。
(開発者からのコメント)
パソコン(Win/Mac)およびiPhone/iPad*用の2IN/2OUTのオーディオ・インターフェースとして機能するMicroUSBポートも装備。 DAWソフト「Cubase LE」の無償ダウンロードライセンスも付属しています。* Lightning コネクタを搭載したiOS/iPadOS デバイスと接続するには、Lightning - USB カメラアダプタ/Lightning - USB 3 カメラアダプタが必要です。
【明希さんのインプレッション】
まず、鮮明なハイエンドについてですが、「B6」を使えば、そのまま音源としてリリースできますよね。僕らはレコーディングやプリプロなどに、色んなことを想定して多くの機材を持っていくんですけど、「こういうアイディアがほしい」みたいなシチュエーションでは、やっぱりマルチの方が早く目的のサウンドに近づけると思うし、それがマルチの強みだと思うんです。で、これだけ完成度の高い音が出せるんであれば、本当に強い味方になってくれると思います。
あと、2系統のベースの入力が行えるのもすごくいいですね。完璧ですね(笑)
さらに「B6」には、DAWソフト(Cubase LE)も付いてくるんですよね。これ1台でベーシストの可能性をもっともっと広げてくれるんじゃないかと思います。音だけじゃなく、クリエイティブなところでも使えるのはいいですよね。今の時代にあっているような気がします。
【試奏後の感想】
僕みたいな、変化球が少なめのスタイルのベーシストでも「B6」を使えば、「ものすごく幅が広がる」というか「引き出しがどんどん増える」と思います。ひとつひとつが単体機とまったく遜色のないレベルのものが詰まっていますし、本当にすごいなと。バンドの中だと、ベースというのはどうしても「マイナスをしなければならないという発想」が出てくるんですね。例えば、自分の持っているローがこの曲や場所では違うとか。そんなときに「B6」だとDIのタイプを変えたり、全体のEQを変えたり、選択肢が多いのでどんな状況になっても対応できると思うんです。ライブハウスで考えた場合、どんなに小さくても大きくても自分の思っているラインの音がちゃんとPA卓に送れるっていうか。それでいて、持ち運びもできるし、操作性もいいし、バイパスしたときの音も太いし。もちろん、僕みたいなベーシストじゃなくて、もっと飛び道具を多めに使いたい人は新搭載されたエフェクトや機能から新しい発見が出てくると思うし、これ1台でクリエイティブなことがどんどん広がると思います。曲も作れるし、さっきも言いましたけど、今の時代になんでもできる「最高のツール」だと思いますね。僕も今後の制作やライブなどで本格的に使ってみたいと思っています。あと、「チューナー機能の精度がすごく高い」。これも今回の試奏で思ったことで、最後に付け加えておきたいと思います。
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