KURO(HOME MADE家族 / eNBAND)との初コラボ曲&初映画主題歌曲を収録
OOPARTZ(オーパーツ)『NOVA』インタビュー(EDM系のユニットとして要注目の2人が放つ3rdアルバム)
OOPARTZ(オーパーツ)『NOVA』インタビュー(EDM系のユニットとして要注目の2人が放つ3rdアルバム)
2019/10/18
ボーカル/ダンス担当のRYUICHI(リュウイチ)とトラックメイク/サウンドプロデュースを手掛けるJUVENILE(ジュブナイル)からなるエレクトロユニット、OOPARTZ(オーパーツ)。彼らが10月16日に3rdアルバム『NOVA』をリリースした。曲の構成やリリック、サウンド面など、常にシーンの最先端を意識したという本作は、あえて短めの楽曲(すべて3分半ほどの全12曲)を収録し、ライトリスナーから本格的なDJ、音楽クリエイターまでも楽しめる「聴けて、踊れるアルバム」に仕上がっている。ここでは、作詞やトラックメイクの話を中心に、『NOVA』の聴きどころを紐解いていこう。
取材:東 哲哉(編集長)
──今回のアルバムは、コンセプトなどを決めてから制作に入ったのですか?
JUVENILE:いえ、コンセプトというよりかは、僕らは基本的に変化していきたいというのがありまして。なので、ライブを意識した1枚目や2枚目とは違うように、今回は「普通にスマホとかで聴ける曲にしたいよね」って。そういった話は出ていました。
RYUICHI:今までのアルバムは、ライブでお客さんとのコール&レスポンスなんかもできる曲が多かったんですけど、そういったポップス感よりは音重視というか。「この音はどうやって作っているんだろう?」とか、「どうやってラップしているんだろう」みたいに、音楽的なことをより掘り下げたものにしたいと思っていましたね。
──それは、やはり4曲目のリード曲「FUTURE TOKYO STATION」が核になっていったのですか?
RYUICHI:いえ、それがこの曲に関してはコンセプトからは外れてて。
──というと?
RYUICHI:実はこの曲は、アルバム収録曲の中では最後の方にできたもので、僕らはあまりメインとは考えていなかったんです。ただ、事務所の方やいろんな人にお聴かせして話しをすると、ほぼほぼ「この曲がリード曲だよね」って返答が多くて。
JUVENILE:僕らは2曲目の「UCHUU」がリード曲かなと思っていたんですけど、マネージャーさんが音楽関係者の方にアンケートを取ってくれて、結果を見せてくれたんですよ。そしたら、その結果が明らか過ぎて。もちろん、自分たちの気持ちも大事なんですけど、それだけOOPARTZというユニットのイメージができているんだなって。そこは、みんなの求める曲をリードにした方がいいだろうと。
RYUICHI:でも、少し時間が経って、あらためてこの「FUTURE TOKYO STATION」を聴いてみると、やっぱり「リード曲はこれだな」って思ってます(笑)。
JUVENILE:そうだね(笑)。
──「FUTURE TOKYO STATION」の作詞はRYUICHIさんが担当されていますけど、どんな世界観を描こうと?
RYUICHI:デモの音をもらってから詞を考えていったんですけど、最初に思いついたのはサビ終わりの「FUTURE TOKYO STATION」でした。あと、デモを聴いたときに音がすごく浮遊していて、この浮遊する音が向かう先は女性だなと想像できたんです。で、自分の中で色々と考えて、「未来の自分が憧れる未来」というものを描いてみようと書いていきました。歌詞を見ると、過去と未来で起きている出来事みたいに感じるかもしれませんけど、自分としてはこれはすべて未来で起きている出来事です。
──全体的にアルバムも宇宙というか、SF的な要素で溢れてますよね。
RYUICHI:はい。2人とも映画で言えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか好きですし。僕もロボット・ダンスとかやってましたし。そういった要素がアルバムのジャケ写にも表れていると思います。
──デモ曲を聴いて歌詞を作る際は、ガイドのメロディーがある状態なのですか?
JUVENILE:デモを作るときに「これはメロディーとして使うよ!」って部分にはガイドメロディーを入れておくんですよ。で、ラップをするようなところはリズムだけで渡したりしています。僕がメロディーを入れてしまうと、そこで語数とかの制約を設けることになるし、あえてそうしないことも多いです。
RYUICHI:だいたい、1番のメロディーは最初から入っていて、2番のメロディーは自由に僕が鼻歌で作ることが多いですね。Auto-Tuneをかけながら鼻歌でフローして、1番のメロディーとはちょっと崩して作るケースが多いですかね。
JUVENILE:実は僕らの曲は1番と2番で同じことを繰り返すことはほとんどなくて。K-Popなどでもそういう聴かせ方をすることが最近多いんですけど、1番と2番で少しづつ違った展開というか、フレーズや音色に変化を付けるようにしていますね。
JUVENILE:最初は、先ほどもお話した通り、それまでのOOPARTZの「わっしょい! わっしょい!」というイメージではない、“聴くアルバム”にするための曲を作ろうと思って作り始めました。
──この楽曲は「Future Bass」や「Future House」といったカテゴリーでいうと、何というジャンルになるんですかね?
JUVENILE:何ですかね。アーティストでいうと、チェインスモーカーズとかが近いかもしれませんが。
──やっぱり海外のヒットチャートもかなり意識されていますか?
JUVENILE:そうですね。特にUSの音楽はよく聴いていますし、意識もしていますね。
──この「UCHUU」で、サウンド面で特にこだわった点はいかがでしょうか?
JUVENILE:声のサンプルがずっと鳴っているんですけど、最近こういった「声シンセ」みたいなのが流行っていて。Cubase Proのサンプラートラックに「Ah(あー!)」というボイスサンプルを取り込んで、和音で鳴らないように「モノフォニック」をオンにしてからメロディーを弾いてみたり。あと、よく使ったシンセはXfer Records「Serum」ですね。「Serum」って、なんかひんやりしているというか、金属的な音も出るし、コードを鳴らしたり、ドロップで使ったり。昔のアナログシンセの暖かみとは真逆な感じなんですけどね。
──ドロップなど、一番音が厚くなる部分は「Serum」をいくつか重ねて鳴らしているのですか?
JUVENILE:「Serum」とReveal Sound「Spire」を併用することが多いです。で、それ以外のピアノとかはNative Instrumentsの音源を使ったり。
──一番低いベースの音は何を使っているのですか?
JUVENILE:それはソフト音源ではなくて、ベリンガーの「MODEL D」というハードウェアの音源ですね。音色的にはサイン波を使うか、ノコギリ波をフィルターで少し丸い音にして加えています。
──あえてハードウェアを使っているのは、やはり音色的な問題で?
JUVENILE:そうですね。「MODEL D」にしか出ない音があるので、どうせだったらこれを使おうという感じです。
──「UCHUU」も歌詞にこだわって書かれたと思いますが、どのあたりから手を付けたのですか?
RYUICHI:これもサビですね。「宇宙へ宇宙へ宇宙へ行けたら」の部分です。最初にメロディーを聴いたとき、「これはめちゃくちゃいい曲になるな!」って思って。それでバッチリど真ん中にはまる歌詞を考えてたら「宇宙へ」を思いついたんです。メロディーがキャッチーだったんで、これはもう繰り返すしかないなと。
──そういった歌詞は、JUVENILEさんとは何回くらいやり取りをされるのですか?
RYUICHI:作詞の途中で送ったりはしないですね。ほぼほぼ仕上げてから渡すようにしています。
JUVENILE:字面(じづら)で「これどう?」って来ることはないですね。僕も仮歌をレコーディングして、初めて歌詞をジャッジするようにしてますし。ただ、歌詞をダメ出しすることはなくて、せいぜい「〜を」を「〜が」にするとか。あくまでも歌いやすくするレベルです。
──楽曲における歌詞の世界観は、完全にRYUICHIさん担当なのですね。
JUVENILE:そうですね。僕は基本は一切言わないですね。
RYUICHI:たしかに、そこは分業ですね。
──RYUICHIさんは作詞以外にも、ダンスパフォーマンスという重要な役割も担っていると思いますけど、MVなどでのこだわりとかは?
RYUICHI:自分はもともとコンテストやバトルでダンスをやっていたので、MVもその感覚なんです。だから、基本的にはMVでも特に振り付けがあるわけではなく、音楽を聴きながらの即興パフォーマンスで勝負しています。なので、そこが見どころと言えば、見どころかもしれません。
──ダンスは小さい頃からやっていたんですか?
RYUICHI:6歳の頃からやってます。
──6歳の頃から今のスタイルで?
RYUICHI:いえ、最初は普通に基本のステップから始めて、今の「POPPIN(ポッピン)」は中学生くらいの頃からです。
──ある意味で、OOPARTZの特徴がこの「POPPIN」とも言えますよね。
RYUICHI:僕の中では、歌はある程度形式にハマったものだと思っているんですけど、ソロでのパフォーマンスはあくまでもダンスバトルの延長というか、ダンスでは形式にとらわれたくない気持ちが強いんですね。もちろんJUVENILEと一緒に踊る場合は振り付けも必要だと思うんですけど、即興にこだわったパフォーマンスという点にはこだわっていますね。
JUVENILE:なんか、RYUICHIのダンスはギターの間奏に出てくるソロ演奏にも近いなと思っていて。ギターソロって、一字一句譜面にするような決めソロにするのか、なんとなく決めてやるパターンがあるじゃないですか。僕らの場合もそういったものに近いような気がしますね。
──なるほど。では、また制作の話に戻りますが、5曲目の「CRAZY VIDEO GAME」も音色の使い方がユニークですよね。
JUVENILE:これも使った音源はほとんど「Serum」ですよ。最初のピコピコしたのもそうですし、ダブステップ的な動きのあるドロップでのサウンドもそうです。あと、ちょっと変わったところで言えば、声のような音はnovation「MiniNova」のボコーダーですね。「MiniNova」で「ワ、ヤヤ、ワ、ヤヤ!」みたいに鳴らしています。
──JUVENILEさんと言えば、トークボックスのイメージもありますよね。
JUVENILE:そうですね。ただ、今回のアルバムでは歌の比重は圧倒的にRYUICHIの方が高いと思います。僕はコーラスとかが中心で、トークボックスでガッツリ歌っているのは1曲くらいです。
──さて、12曲目の「Make It Happen feat KURO」では、HOME MADE家族 / eNBANDのKUROさんともコラボされていますが、コラボにいたった経緯というのは?
RYUICHI:もともとKUROさんとは同じアーティストへの楽曲提供で知り合いまして。で、KUROさんが自身のライブに僕らを誘ってくれたんですよ。そのときは、既存の曲を生バンドでセッションする形だったんですけど、その後に自分たちのライブにも来てくれる話になりまして。
JUVENILE:それがきっかけでオリジナルの曲を作ろうという話になって。ただ、その曲は1回ライブで披露して終わりだったんです。で、今回、やっぱりちゃんと新しく作ろうと思いまして。
──KUROさんとのやり取りで印象に残っていることはありますか?
JUVENILE:「やるんだったら、ちゃんと顔を合わせて話をしよう!」って、わざわざ僕の家に来てくれて。で、もうその後は仕事の早さ勝負みたいになって。まずは僕が「即行で曲作ります!」って、次の日には曲を渡したんですね。そしたら、その日の夕方にはKUROさんの担当するラップの歌詞が送られてきて。
RYUICHI:ほぼ2日くらいでできた感じですね。
──JUVENILEさんとしては、どんな曲にするか、ある程度は決めていたのですか?
JUVENILE:KUROさんはラッパーですし、僕らもヒップホップが好きなので「よし、ヒップホップを作ろう!」っていうのはあって。ただ、時代によってヒップホップって違うじゃないですか。で、KUROさんとも話をしたんですが、どうせ僕らと一緒にやるんだったら「今っぽいヒップホップがいいんじゃないか」ってことになって。
RYUICHI:ただ、ビートは最新でも昔のフレーズも入れようという話も出て。実際にはそういったオールドスクールなフレーズも聴きながら作っていった感じです。
JUVENILE:KUROさんが色々と聴かせてくれたんですよ。
RYUICHI:なので、新旧の両方の要素が合体していると思います。
──今回のアルバムは本当に盛りだくさんの内容ですけど、その他の収録曲で印象に残っているものを挙げるとすると?
RYUICHI:僕は7曲目の「UFO de PARTY」という曲ですね。この1A(Aメロ)の歌詞はめちゃくちゃ悩みました。何度もループさせて、早口のフローでラップを考えたんですけど、ここだけで2、3時間はかかったと思います。
JUVENILE:僕が「Busta Rhymes」という超絶早口のラッパーのYouTubeをよく見ていて。その感じを「もっとポップに出したいよね!」って話をしてたんですよ。で、映像を分析したんですけど、早口で全部母音のあ行でラップしてたんで、RYUICHIにも「ここは全部あ行にしよう」って。
RYUICHI:それだけ言った後に寝転んでいたんで、自分はめっちゃキツかったっす(笑)。
──JUVENILEさんは、収録曲で苦労したトラックはどれになりますか?
JUVENILE:結構どれも大変でしたけど、「CRAZY VIDEO GAME」は歌も少ないですし、音作りの面では苦労しましたね。あと、9曲目の「HEYA」では、先ほど話したサンプラートラックで声シンセを作っているんですけど、これはありもののネタではなくてRYUICHIの実際の声を使ってます。RYUICHIに「Yu~~~(ユー)」って言ってもらって、それを使ってメロディーとかを鳴らしてます。
──では、そろそろ時間がきましたので、最後にあらためて今回のアルバムの聴きどころを一言ずつ頂けますか。
RYUICHI:「今、こういったトラックを作っている日本人は僕らだけでしょ!」ってことをまずは言いたいですね。あと、アルバムの中の歌詞には、思いっきり日常的なこともあるし、宇宙もあるし、現実もあれば、未来もあるし。ものすごく飛び飛びに色んな物語が入っているんですけど、最終的にはその物語がひとつの形になるように作っています。そういった部分を楽しんでもらいたいです。
JUVENILE:今回のアルバムは12曲入っているんですけど、12曲聴いても40分なんですね。実は4分台の曲がなくて、すべて3分台で作っています。この短めの尺で表現するのも、僕らとしては世界の先端を行こうとしている証だし、ある意味挑戦だと思っています。あと、先ほども話に出ましたが、僕らの曲は1番と2番で同じことを繰り返すことはなくて、必ず違うことをやっています。曲の尺も、構成も今時を意識しているので、そういったところも感じて頂けるとうれしいですね。
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