シチズン クロスシーCMソング「Every One Minute」の制作秘話も公開!
モノンクル、注目のマイクRoswell Pro Audio「Mini K87」をレビュー
モノンクル、注目のマイクRoswell Pro Audio「Mini K87」をレビュー
2020/11/27
レコーディングエンジニアの間で定番となっている高級ビンテージマイク「ノイマンU87」を、メーカー独自の技術で再現したというRoswell Pro Audio「Mini K87」。ここでは、この話題のマイクを吉田沙良(Vocal)さんと角田隆太(Bass)さんからなるソングライティングデュオ、モノンクルのお二人に試奏して頂いた。日頃からマイクには強いこだわりを持っているという彼らだけに、はたしてどのようなコメントが出てくるのか!? 最新楽曲「Every One Minute」の制作秘話とともにインタビューをお届けしよう。
取材:東 徹夜(編集長) 写真:小貝和夫
──そもそも、お二人は日頃どのように曲作りをされているのでしょうか?
角田:だいたい僕がベーシックなところをDAWソフトのAbleton「Live」で作るんですけど、そこで煮詰まったら沙良に相談します。で、沙良からレスポンスが来たらまた作り始めるみたいな。
吉田:なので、交互に作っていく感じですね。
──プライベートスタジオにはどのような機材が用意されているのですか?
角田:色々と置いてあるんですけど、キーボードを最近Ableton「Push」に完全に移行したのでデスクトップ周りは意外とシンプルですね。オーディオインターフェイスはAPOGEE「ELEMENT」、マイクはSE ELECTRONICS「RNT」、その他にギターやベースがある状態です。
──マイクに「RNT」をチョイスされた理由というのは?
角田:ハイエンドのところをちょっと持ち上げてくれて、チューブっぽいサウンドになるんですよ。
吉田:いい意味で、色付けされた歌が録れるんです。
──「RNT」はいつ頃から使っているのですか?
角田:今年(2020年)からですね。色々と試奏した中で沙良の歌に合っていると思って。
──では、今回試奏して頂いたマイク、Roswell Pro Audio「Mini K87」はいかがでしたか?
吉田:めちゃめちゃナチュラルに、超クリアだと思いました。シンプルに音を集音してくれるというか、自分の場合、声のレンジの広さと音の強弱はかなりある方だと思うんですけど、それをそのまま集音してくれるイメージですね。
角田:ナチュラルとかクリアって、人によってもメーカーさんの方針でも違ったりすると思うんですけど、僕は本当にナチュラルだなと思いました。「RNT」とはある意味で真逆の方向性に位置するタイプだと思うんですが、その感じが逆にすごく気に入って。実は、今回の試奏の話を頂いて、あるプロジェクトのウッドベースのレコーディングに「Mini K87」を使ってみたんですよ。そしたらすごく良くて。
──たしか、角田さんのツイッターにも「Mini K87」の写真がアップされていますよね。
角田:はい。この「Mini K87」は筐体もコンパクトだし、ウッドベースとかの近くに置いても威圧感がないんですね。実際に弾いていても全然気にならないですし、ライブ向きでもあると思いました。


──吉田さんもマイクの形やデザインは重要だと思いますか?
吉田:はい。私はもともとライブアーティストなので、実はマイクは手に持って歌いたいくらいなんです。「Mini K87」はマイクホルダーにも特徴があって、ショックマウントのフロントが切ってあるのですごくマイクに近い距離で歌える点もいいなと思って。小さい声で歌ったときにキレイに録れるのは、きっとこのおかげですね。

吉田:「RNT」とは違う方向で、例えばアコースティックな感じの音をそのまま披露したいときには「Mini K87」がいいと思います。
角田:とにかく色付けせずに楽器や歌を録りたい場合に活用したいですね。先ほど、話した通りすでに実際のレコーディングにも使ってますし、また近々行われるレコーディングでも使わせてもらおうと思ってます。

──さて、お二人はシングル「Every One Minute」をリリースされたばかりですが、こちらについても聞かせてください。
角田:この曲は、時計のCMソング(シチズン クロスシーCMソング)を想定して、歌詞も曲も僕が最初に書きました。
──吉田さんは角田さんのデモを聴いた時の印象はどうでしたか?
吉田:お話を頂いて2日後くらいには1コーラス分できていたんですけど、それがかなり作り込まれてあって。「わぁ〜、いいじゃん!」みたいな(笑)
──歌詞で特に気に入ったところを挙げるとすると?
吉田:そうですね。特にAメロの歌詞が気に入りました。過去を振り返りつつ、切なさもありながら、でも未来に向けて動こうとしている感じとか。女性的で独り言のようでもあるんですけど、その感覚も好きです。とにかく、この曲の聴かせどころはAメロですね。
──トラックメイクではどのような楽器や音色を使われたのですか?
角田:この曲はギタリストだけ呼んで、後は全部一人でやったんですが、Live付属の音源やサードパーティー製の音色も使いましたけど、自分で録音したものも使っています。半々くらいの割合だと思います。
吉田:一ヶ所、お菓子のプリングルズを「パリッ!」って噛み砕く音も入っているよね(笑)
──それは気づきませんでした。ちなみに、どこに入っていたんですか?
角田:Dメロが終わって最後のサビに行くところです。ちょっとフィルっぽいところがあるんですけど、そこで色んなお菓子が噛まれています。
吉田:この話はどこでも言ってないよね。
角田:色んなお菓子を買い込んできて、「これは経費で落ちるから」とか言って(笑)
──そんな面白いネタがこの曲には入っていたんですね。
角田:そうなんですよ。で、またマイクの話に戻りますが、こういったちょっとしたアイディアを録りたいときにも「Mini K87」はいいですよね。机の上でもキッチンでもすぐに持ち運んでセッティングできて、さすがにキッチンにビンテージのノイマンを立てようとは思いませんから。
──たしかに音ネタをサンプリングする場合にも「Mini K87」は良さそうですね。
角田:そう思います。
──ところで、「Every One Minute」はYouTubeで公開されているミュージックビデオも話題を呼んでいますよね。どちらで撮影されたのですか?
吉田:これは皆さん気になるみたいでよく聞かれるんですけど、伊東にあるハトヤホテルです。もともとレトロフューチャーな感じというのをお伝えしてたんですけど、そしたら監督さんが見つけてくださって。MVの一番最後に出てくる廊下があるんですけど、そこがそういった雰囲気を持った場所で。
──昔のでっかい宇宙船の中みたいですよね。
吉田:はい。まさにそんな感じです。
──角田さんはどんなところに注目してもらいたいですか?
角田:そうですね。僕自身も皆さんと同じように、このコロナ禍であらためて「時計」や「時間」について考えることになって。自分なりの「時計」、「時間」に対する思いを歌詞に詰め込んでいます。そういったところに注目してもらえるとうれしいですね。
──吉田さんはいかがですか?
吉田:ミュージックビデオでは1分間のシーンがループしていく感覚でどんどんと変わっていくんですね。でも、実は少しずつみんな前に進んでいくと言うか、これは私のイメージなんですけど、同じような場所にいると思ったら螺旋階段のようにみんな上に上がっているみたいな。今回のMVはそんな私のイメージと映像がすごくリンクして作られているんですね。なので、その未来に向かってどんどん様子が変わっていくところをぜひ見て頂きたいです。
◇◇◇ モノンクル初となるビルボードライブ公演決定! ◇◇◇
2021/1/16(土)
1st ステージ 開場15:30 開演16:30 / 2nd ステージ 開場18:30 開演19:30
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[お問い合わせ] ビルボードライブ大阪



Roswell Pro Audio「Mini K87」
価格:オープンプライス
市場想定価格:¥55,000前後
(製品オフィシャル概要)
『mini K87』はニュートラルな音質を持つ高解像度コンデンサー・マイクロフォンで,よりトランスペアレントな音質ながら,ソースが持つエモーションを捉え伝えるのに充分なキャラクターを持っています。このマイクのサウンドは特別なチューニングが施されたK87スタイルのカプセルとそれを引き立てるように設計された回路の組み合わせから生まれます。マイクロフォンの最終的な音質の確認は手作業となり,これによって一貫性の高いサウンドが実現します。ニュートラルなマイクロフォンは楽器とヴォーカル両方の広範な音源に用い易い傾向があります。マイクロフォンはそれ自身のサウンドをソースに押し付けようとするものではありません。『mini K87』は様々なソースの素晴らしいサウンドをそのまま捉えます。『mini K87』は出荷前に徹底的なバーンインとQCと音声試験を受けます。このことによって,すべてのマイクロフォンが箱から取り出して直ぐに優れた性能を発揮できることが保証されます。『mini K87』にはRoswell Pro Audio社専用のCutaway™ショックマウントとRoswell Pro Audioロゴ入りマイクロフリースのマイク・カバーとアルミ製フライトケースが同梱されます。
(オタリテック製品詳細ページ)
https://otaritec.co.jp/product/mini-k87/


マット・マックグリン
同社の創業者であるマット・マックグリン氏は、マイクのモディファイやDIYキットの販売サイト「micparts」を運営していた人物で、世界的なマイクのデータベースサイト「Recording Hacks.com」も主催しています。
同社製品のテーマは「ビンテージトーンのマイクを現代のワークフローに合わせる」こと。ビンテージマイクは扱いが難しいが、同社製品は出力を高めにしつつ、真空管マイクのサウンドをチューブレスで再現できる回路設計を行なうなど、現代ならではの利便性を追求しているのが特徴です。
また、同社の上位機種にはNOSパーツ(新品のビンテージパーツ)を採用。入手困難なパーツを見つけるネットワークを欧米各国に持ち、それらのパーツを厳選して組み合わせることで、高いコストパフォーマンスを実現しています。
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