“AYAKA”と“SUGIYAMA”による異色のクリエイターユニット
シロクロミーアキャット、3rdミニアルバム「WARP」の制作エピソードを公開!
シロクロミーアキャット、3rdミニアルバム「WARP」の制作エピソードを公開!
2021/07/07
作詞、作曲、レコーディング、ミックス、マスタリングに至るまで、そのすべての工程を主に2⼈で行っているという異色のクリエイターユニット、シロクロミーアキャット。彼らが待望の3rdミニアルバム『WARP』を7月7日にリリースする。ここでは、メンバーの“AYAKA”と“SUGIYAMA”のお二人にメールベースでのインタビューを実施。収録楽曲全7トラックについて、じっくりと丁寧に回答していただいた。『ART×POP×GROOVE』という3つのテーマを軸に活動する彼らのサウンドや世界観は、はたしてどのように生まれているのだろうか!?
取材:東 哲哉(編集長)
ユニットについて
──プロフィールを拝見すると、2016年から東京で活動されているそうですが、そもそもどのような経緯でユニットを結成することになったのでしょうか?
AYAKA:元々同じバンドで活動していたのですが、そのバンドの活動頻度が下がってきてしまったこともあって、最初は一人で新しく音楽活動を始めようと思っていました。ギター一本の弾き語りでライブをする機会があったのですが、そのライブをSUGIYAMAが見にきてくれていて。終了後に感想を聞いたり話をしたりする中で「一緒に音楽活動しない?」と誘ってもらったのがきっかけです。
SUGIYAMA:AYAKAが一人で行ったライブを見た時に、AYAKAが表現者であることを凄く感じました。私はバンドとは別で楽曲制作をしていたのですが、表現者AYAKAの作る世界をより広く深く表して行きたい、多くの人に届けたいと思い、一緒に音楽をやろうと声を掛けました。シロクロミーアキャットはシンガーソングライター/表現者のAYAKAとそのプロデューサーのSUGIYAMAによるユニットなんです。
──二人が影響を受けてきたアーティスト、楽曲などがあれば(好きな理由を含めて)教えてください。
AYAKA:とにかくJ-POPが好きですね。歌を歌い始めたきっかけと言っていいほど1番影響を受けているのはYUKIさんです。とにかく歌声が素敵で、細かい歌い回しだったり、声色を本当に緻密に操られていて、1曲の中でも声の表情がどんどん変わるのでずっと聴いていたくなるところが大好きです。YUKIさんをきっかけに、色んなアーティストの歌い方を研究するようになりました。好きな曲は沢山ありますが、私自身最近ダンスミュージックが気になっているということもあって、最新アルバム「Terminal」の「My lovely ghost」や「NEW!!!」はすでにもう数え切れないくらい聴いています。他にも、charaさん、aikoさん、椎名林檎さん、サカナクション、Lucky Kilimanjaro、AAAMYYYさんも大好きです。
SUGIYAMA:中学生の時にJamiroquaiに出会い「なんてかっこいいんだ!」と衝撃を受け、以降学生時代は洋楽ばかり聴いてました。高校ではNIRVANAやParl Jamなどのグランジ/オルタナティブロックとRed Hot Chili PeppersやRage against the machineなどのミクスチャーロック、大学ではErykah BaduやD’angeloなどのR&B/SOULとBill EvansやMichelle PetrosaniなどのJAZZを良く聴いていて、ベースで演奏したりもしていました。自分で楽曲制作を行うようになってからちゃんとJ-POPを聴くようになったのですが、それまで気づかなかったJ-POPの凄まじさ(表現の広さと深さ、アレンジの精密さ、音の良さ)に驚愕し、今は冨田恵一さんや蔦谷好位置さんや坂東祐大さんの手がけられた楽曲をよく聴いています。
──資料によると、作曲やレコーディング、マスタリングなどもお二人で行うということですが、役割分担のようなものはあるのですか? また、主に使用されているツール(DAW環境、楽器類、マイク、モニター)など、制作環境を具体的に教えてください。
AYAKA:まず最初に曲のテーマや方向性を一緒に考えます。「〇〇しながら聴きたい曲」とか、YouTubeで動画を探してこの映像に合う曲とか。その後曲の元になるネタを作るのですが、どちらのアイディアを起点に作り始めるかは曲次第です。私が作るときはハナモゲラのような歌詞で歌ったメロディーとコード、サビの歌詞が少しだけ入っている状態でSUGIYAMAにアレンジをお願いします。SUGIYAMAから始めるときは一通りの音が入った(ほぼアレンジされた状態の)トラックを作ってもらって、その上に私がメロディーと歌詞をつけることが多いです。今回のアルバムの中の曲だと、TR.5のGAMEは私が作ったメロディーとコードが先にあって、他の曲はSUGIYAMAのトラックをベースにメロディーを乗せる、という流れで制作しました。
レコーディングはお互いのパートをそれぞれの自宅で行っています。PCはMac miniを使用していて、DAWはLogicを使っています。マイクプリはGolden Age ProjectのPRE-73 Jr、オーディオインターフェースはUNIVERSAL AUDIOのARROW、マイクはaudio-technicaのAT4050、ヘッドフォンはSONYのMDR-CD900STを使うことが多いです。宅録で響きが変わりやすいので、Kaoticaのeyeballをリフレクションフィルターとして使用しています。
ボーカル録音を終えたら、私の方で大まかなボーカルトリートメントを行った後にSUGIYAMAにデータを送り、ミックスとマスタリングをお願いしています。ボーカルトリートメントでは、録音後にWAVESのVocal RiderやSignum AudioのBUTE Limiterを使用してボリュームを整えて、ディエッサーはWAVESのDeEsser、ボーカルエディットにはCelemonyのMelodyneを使用しています。一人で録音しているとノイズが入りやすく気付きにくいので、最後にRX7でノイズ除去をするようにしています。De-clickやMouse De-clickあたりをよく使用しています。
AYAKA 作業デスク
AYAKA 使用マイク
SUGIYAMA:私から楽曲を作るときはある程度アレンジしてある1コーラス分のデモをAYAKAに聴いてもらい、採用することになった楽曲についてアレンジも含めたトラック全体を作って行きます(デモの採用率はおおよそ15%くらいですね....)。アレンジが完成したら仮録していた楽器の本録/エディットしオケを完成させます。ボーカルファイルをもらってボーカルの微調整(オケに合わせたタイミングの微調整や発音時/減衰時のボリュームオートメーションの書き込みなど)を行い、ミックス前の下処理を行います。
ミックスではまず元のプロジェクトファイルから各トラックを書き出して、シロクロミーアキャットのミックス用テンプレートから新規にプロジェクトを作成し書き出したオーディオファイルを配置し、テンプレートに入れているプラグインを中心に音の配置を行っていきます。今回のアルバムではマスタリングは私のDAWの師匠であるminimum electric designの松井庸さんにお願いしていますが、通常シングルではマスタリングも自分で行っているため、マスタリング用テンプレートも作っています。制作は全て家で行っており、PCはMac mini、DAWソフトはLogic pro X、オーディオインターフェースはUNIVERSAL AUDIO ARROW、モニターには基本的にヘッドフォンを使っていてYAMAHA HPH-MT8とAKG K612 PRO、たまにスピーカーで確認する場合にSony SRS-Z1を使用しています。
SUGIYAMA 作業デスク
新アルバムについて
──アルバム「WARP」には全部で7曲が収録されていますが、制作期間はどれくらいですか?(いつ頃からスタートしたのですか? また、大まかに楽曲を制作した流れ・順番なども教えてください。
AYAKA:シングル曲としてGAME、STARSの順に作り始めたのですが、GAMEのアレンジを考える段階で想像以上に悩んでしまい、、、色々とアプローチを変えて試行錯誤したので、先にSTARSをシングルとして先行リリースすることになりました。制作時期としては2020年の9月頃から始めていたと思います。
SUGIYAMA:GAME、STARSのシングル2曲が完成した段階で、アルバム用のデモ制作に取り掛かりました。数十曲作成したデモの中からAYAKAと相談して、MOVE、YES、ENDLESS、REALを進めようとなり、その時点ではMOVEをリード曲として制作をしていました。ある程度アルバム用のトラックが完成した時点で、アルバム後のシングル用としてのデモ制作を進めていたのですが、その中のデモ群にあったWARPのイントロをAYAKAが気に入ってくれたため、急遽アルバムの1曲目として加えることにしました。アルバム用楽曲はトラックが完成した曲から順次レコーディングを行い、2021年1月にレコーディング完了、2月にミックス/マスタリングを完了していました。
──1曲目の「WARP」についてお聞きします。この楽曲で表現したかった世界観は?
AYAKA:私は美術館で現代アートに触れることが好きなのですが、その時の感性を刺激される感覚や没入感をシロクロミーアキャットというプロジェクトを通して体現したいと思っているんです。最初にこの曲のトラックを聴いた時、今一番目指したい方向を向いているなという感覚があって。この曲、このアルバムからシロクロミーアキャットは次のステージに飛び出したい、という願いも込めて「WARP」というタイトルにしました。
SUGIYAMA: シロクロミーアキャットは「ART x POP x GROOVE」を大切にしているのですが、ARTはART作品を作るということではなく、ARTの持つ没入感があるサウンドを作ることを目指しています。「WARP」では特にこのART感/没入感を強くサウンドで表したいと思い制作していました。
──(AYAKAさんに質問です)歌詞は先頭から書き始めたのですか? それともサビですか? 歌詞で特に気に入っているところを挙げるとするとどこになりますか?
AYAKA:元々はサビから書き初めて1曲分を書き終えたのですが、いざ仮歌をとってみると曲全体が想像以上に大人しい印象に聴こえてしまって「これじゃWARPできそうにないな...」と。思い切って後から曲の半分くらいのメロディーを変えることにしました。最終的に、Aメロは一部初期の歌詞を残しつつ、他のパートは歌詞を書き直しました。サビ部分はMVを作るならアニメーションのようなイメージで歌詞のストーリーを考えたのですが、サビ頭の「鈍器なKISS!」という部分は日常生活で使うことのない言葉が音にはまったので、とても気に入っています。
──「WARP」はサウンド面でも強いこだわりを感じましたが、特に活躍したツールは何でしょうか?(楽器、音源、プラグインなど、理由も含めて具体的に教えてください)
SUGIYAMA:WARPは特にサウンド面に拘って苦心し苦悩し苦労し制作していたので、感じ取って頂けて本当にうれしいです...! ART感/没入感をサウンドで表現するには今時点では「新しさ」と「美しさ」がポイントかなと思っているのですが、普通に制作を行うとどうしても表現することができず、何度デモを作っても上手くいかない状況でした。そこでいつもの制作方法を変えること、敢えて制限をかけることで新しい表現が出来るのではないか?と考え、WARPでは「一切楽器を使わない」で制作することにチャレンジしました。普段はギター/ベース/鍵盤のいずれかは必ず弾いて入れているのですが、今回はmidiも含めて一切使わず、全てサンプル音源を切り貼り/加工してパッチワーク的に楽曲を構築しました。サンプルは全て「Splice」からダウンロードした音源を利用しています。
HipHopなどのループがメインとなるトラックにおいては普遍的な手法と思いますが、J-POPの構成(イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ)と各パートの展開/抑揚があることを踏まえた上でサンプル音源のみで構築することが想像以上に難しく... まずイントロで「新しい・美しい世界観」を出すため20弱のサンプルを組み合わせているのですが、そもそも元々は別々のプロダクト内のサンプルから組み合わせているので、まあ音が噛み合わない。キーが同じでも音符上ぶつかってしまうものもありますし、音色として同じ方向を向いていないため組み合わせると世界観が統一できなくて使えないことも多く。Spliceの膨大な音源から組み合いそうな音をひたすら探してダウンロードして1つずつ置いてみて試し合わなければ外してまた探して...の繰り返しでした。
なんとかイントロの大枠が出来た後にAメロ・Bメロ・サビを作っていったのですが、J-POP的な構成感/抑揚をつけることに更に苦労をしました。楽器を弾いて良ければ自分の考える展開のコードと音色で自由に構成を作れるところが、「サンプルだけで作る」制約を自ら課してしまったため、また膨大な音源から宝探しを繰り返しの始まりです。普段デモの制作は早いほうだと思うのですが、WARPではこれまでにない時間を要しました。1コーラス分のデモが出来た後にAYAKAに送りメロディをつけてもらったのですが、やはりそのままでは上手くいかなかったため、サビを作り直したりしつつなんとか全体構成を作り、同時にアレンジを固めて行きました。
アレンジの後のミックスがまた大変でして、これも楽器を弾いてる場合であれば録音時点である程度楽曲の持つ世界観に沿った音色で録っているところが、サンプルは各々別々の方向を向いた音のため、各音で1つの世界観を表現するため同じ方向に向かせる必要があり、音のコントロールがいつも以上に大変でした。アルバムの中で最も大変だった曲ですが、その分新しい音が生み出せたかなとも感じており、想い入れが多い楽曲です! WARPで良く使ったプラグインですが、音のトランジェントを整えるためにXLNaudio DS-10、音を左右に散らす際にLogic標準のSample DelayとWaves S1 Imager、あとは割とチャンネルストリップのSolidStateLogic SSLChannelやPluginAlliance Lindell 80 Channelを使って全体感を作ってから個別に調整しています。
「WARP」よく使用したプラグイン郡 その1
「WARP」よく使用したプラグイン郡 その2
「WARP」LogicでのMIXの様子
──2曲目の「MOVE」についてお聞きします。この楽曲で表現したかったこと、こだわったポイントを教えてください。(歌詞、楽曲の両面でお答えください)
AYAKA:今回のアルバム『WARP』はドライブ中に聴きたくなる曲を詰め込みたいという思いがあったので、まさにそのコンセプトをそのまま歌詞に落とし込んだような曲になっています。 夜のドライブって無性にワクワクしてしまうのですが、そんな自分自身の実体験と「まだ知らない新しい世界に行ってみたい」というシロクロミーアキャットとしての目標を重ねるようなイメージで歌詞を書きました。曲を作るときは前後のパートの流れを意識しながら作ることが多いのですが、1曲完成してみると「Aメロ→Bメロ→サビ」という型が跡形もなくなっているのはシロクロミーアキャットあるあるかもしれません。メロディーも構成も既存の枠に囚われすぎず、なるべくいろんなアイディアを試しながら曲を作るようにしています。
SUGIYAMA: もともとMOVEをアルバムのリード楽曲にしようと考えて制作を進めていました。トラック先行だったのですがイメージとしてはアシッドジャズ(JamiroquaiやSuchmos)の持つグルーヴとお洒落さを意識して作りました。初めに曲の核となる音をSplice上で探し、イントロのシンセサイザーのリフを見つけ採用しました。そこにキック、スネア、ハイハットを配置して作ったビートの上でベースを弾いてグルーヴの基礎を作り、最後にギターなどを重ねてトラック制作を進めました。ベースはt.m.p. Triple J、ギターはFender Telecaster Thinlineを使っています。どちらもライン直で録音しており、そこにプラグインで音作りをしています。ベースにはDADA LIFE SAUSAGE FATTENER、ギターはNeural DSP Archetype Cory Wongを使いました。
SUGIYAMA 使用機材ベース(t.m.p. Triple J)
SUGIYAMA 使用機材ギター(Fender Telecaster Thinline)
──3曲目の「YES」についてお聞きします。同様に、この楽曲で表現したかったこと、こだわったポイントを教えてください。(歌詞、楽曲の両面でお答えください)
AYAKA:自分の気分が落ちてしまった時、自分で自分の機嫌を取るためにいくつか方法があるのですが、そのうちの一つ「別のことに没頭して嫌なことを一時的に忘れる」パターンはよく実践しています。もしかしたら私と同じような方法で自分で自分を見つめている人もいるかもしれないと思って、そんな人たちに向けたメッセージを込めて歌詞を書きました。普段歌詞を書くときは、その曲の主人公のキャラクターだったりセリフを意識して歌詞に落とし込むことが多いのですが、この曲の主人公の言葉はあえて描かず、聴いてくれた方の想像に委ねたいなと思っています。ちなみに、自分の機嫌を取るためのパターンその2として、お気に入りのアイスをお守りのように冷凍庫に常備しています。
SUGIYAMA:「YES」のトラック制作中にkukatachiiさんの「A Phone Call To You」のアレンジをさせて頂くことになり、kukatachiiのYudaiさんYuiさんの好みを把握すべく最近良く聴いているアーティストについてお話を伺ったのですが、フィンランドのプロデューサーLENNOを教えて頂き、楽曲を聴いてみたらそのグルーヴにどハマりしまして。しかもLENNOは自身の楽曲制作の様子をYouTubeに公開していたので、グルーヴの作り方をそこで勉強して初めて取り入れた楽曲が「YES」になります。このグルーヴの作り方ですが、配置したサンプルファイルをかなり極端に切って短くすることでアタックと消音部の輪郭を明瞭にし、またアナログでは出せないある種不自然な音にすることで新しいグルーヴを生み出すことが出来ました。グルーヴを考えるときに、もともとR&Bなどのレイドバックしたグルーヴが大好きだったのですが、なかなか日本語の歌唱とマッチしない苦悩がありました。「YES」以降、J-POPでも映えるグルーヴを作れるようになったと感じています。鍵盤はKORG SV-1とMIDIキーボードのM-AUDIO KEYSTATION49を使っており、打ち込み時の音源はSPECTRASONICSのKEYSCAPEやOMNISPHERE 2を使うことが多いです。
SUGIYAMA 使用機材鍵盤(KORG SV-1)
──4曲目の「ENDLESS」は、出だしからベースがとても印象的でしたが、ベースのリフから作っていった曲なのでしょうか。この楽曲でこだわったポイントなども含めて教えてください(歌詞、楽曲の両面でお答えください)
SUGIYAMA:ありがとうございます!「ENDLESS」はまさにベースから作成しました。イメージとしてはJamiroquaiのTraveling without movingのような、16分のビートにベース裏打ちで疾走感のある楽曲を意識しており、加えてもう少しゴリっとしたグルーヴが良いなと思いスラップのリフを作りました。そこに合うドラムを打ち込み、ギターと鍵盤を弾いて重ねています。シロクロミーアキャットではデジタルなグルーヴとアナログなグルーヴの両方を作っていきたいと思っているのですが、この曲はアナログなグルーヴの曲になります。アレンジもアルバムの中で一番シンプルで、オケは14トラックしかありません。お陰でミックスも楽だったので、そういう意味でもお気に入りの楽曲です!
AYAKA:普段生活をしているとつい目の前のことに集中してしまいがちなのですが、実は俯瞰してみたら長い道のりのごく一部、なんてことはよくあることなのかなと思って。「先は長いのだから、楽しみながらいきましょ」というテーマで歌詞を書きました。一部SUGIYAMAに出してもらったアイディアもそのまま使っているのですが、「エンドレス答えが出せない面倒で」 というフレーズは妙に私っぽくはまった気がしてとても気に入っています。そういえば、制作初期に特に深くテーマを考えず仮歌詞をつけたとき、ENDLESSは充電ケーブルのコードをイメージしていました。長いケーブルはとても便利なのですが、すぐ絡まり合ってしまってひとつづつ解くのが面倒で...まだ少し苦手です。
──5曲目の「REAL」についてお聞きします。この曲はゆったりとしたビートに対して、歌では早口になる部分もあって、その緩急が意外と難しそうに感じましたが、レコーディングはスムーズに行えましたか?(歌詞、楽曲で伝えたかった世界観なども含めて教えてください)
AYAKA:察していただきありがとうございます。とっても苦労しました(笑)。特に2番の頭「とろり溶けた夢の中の入り口で」のところはかなり言葉が詰まっているので、何度も録音し直しました。周りの人のことを気にせず納得するまで時間がかけられるのは宅録ならではの良さかなと思っています。トラックの雰囲気がアンニュイで素敵だったので少し詩的な世界観をイメージして、五感を織り交ぜた歌詞になっています。
SUGIYAMA:トラックは世界観を出すことを意識して作りました。millennium paradeの楽曲が持つ世界観が凄く好きなので、ジャンルもアプローチも違いますがいつも参考にさせて頂いてます。またアルバムの他の楽曲は空間的に割と狭めなのでこの曲は広々とした空間感を出すことでアルバム全体にメリハリを出したいと思い作りました。ボーカルのディレイはSoundtoys EchoBoy、リバーブはLogic標準のChromaVerbをメインで使っています。
──6曲目の「STARS」についてお聞きします。ギターのカッティングが軽快で気持ちよく聴かせてもらいました。作詞やレコーディングなどで苦労した点などはありましたか? こだわった点などと共にお答えください。
SUGIYAMA:この曲はたまたま昼食で入ったお店でHeatwaveのThe Groove Lineが掛かっており、父親がHeatwaveが好きで子供の頃に良く聴いていたのですが(その影響もあってRod Temperton~Michael Jackson、Quincy Jonesが大好きです)改めて聴くとめちゃくちゃかっこいいなと思い、こういう曲をJ-POPでやりたい!という気持ちでデモの制作を行いました。基盤となるビートを打ち込みベースを重ねてグルーヴの基礎を構築した後にギターを弾いて重ねました。ただとにかくファンキーなカッティングギターを弾くことが難しく、YouTubeで「ギター ファンク 弾き方」と調べてピックの持ち方から勉強しました(笑)。
AYAKA:7曲目のGAMEの制作でとても苦労していた時期だったので、歌詞は一部自分に向けたような言葉も混ざっています。サビの「あせらないでよ ひとつずつひとつずつでもいいの」というフレーズはまさにそうですね。幼い頃から星の形が好きで、私の中のラッキーチャームのような存在なので、「今後もこの曲がお守りとして存在し続けてくれるように」と願いを込めてSTARSというタイトルにしました。
──7曲目の「GAME」についてお聞きします。非常にポップで聴きやすい楽曲だと感じました。この曲で表現したかったことを教えてください。
AYAKA:ありがとうございます。この曲は先に私の方でメロディーとコードを考えて作り始めた曲なので、他の曲とはまた違った個性が出ているかなと思います。メロディーを作る時、同時に歌い方も一緒にイメージしながら作っていくのですが、この曲の歌い方に合うテーマはなんだろう...と考えているうちにカードゲームをテーマにしようと思うようになりました。駆け引きの場面だったり、勝負の場面だったり、少し意地悪な場面だったり、いろんな場面を想像しながら録音しました。
SUGIYAMA:メロディーをもらってコードをリハモナイズしたトラックを作ったのですが、最初のアレンジではイントロがピアノとストリングスで始まる壮大なイメージで作っていました。ただ制作を進めていく中、メロディに対するアレンジの「違和感のなさ」が歌の良さを消してしまっているなと感じました。AYAKAと相談して、別の視点からアレンジし直したデモを聴いてもらい、今の形が出来上がりました。 ベースとギターはMOVEと同じくt.m.p. triple JとFender Telecaster Thinlineを使っています。
今後の活動について
──コロナの問題もなかなか落ち着かない状況ですが、今後はどのような活動を予定していますか?
AYAKA:このアルバムを経てシロクロミーアキャットはまた別のステージにWARPしたいと思っています。アルバム後も今までのペースで楽曲リリースを続けたいですし、ライブも挑戦していきたいですね。すでに次に向かいたい方向も見えているので、今はとにかく走り続けたいと思っています。
SUGIYAMA:制作においてはアルバム後のシングル曲を進めていて、実はすでに何曲か出来上がっています! 引き続き「ART x POP x GROOVE」を大切にしつつも、アルバム後はよりPOPと向き合って行きたい思っているので、合わせて楽しんで頂けたらと嬉しいです。またコロナ禍なのでイベントは難しいですが、配信ライブなどはやっていきたいと思っており、ライブパフォーマンスに向けた準備も進めています。ライブでしか聴けないアレンジを施した楽曲に対して、KORGのKAOSS DJを用いてリアルタイムでエフェクトしながらnovationのLaunchpad Xで音を足していく...そんなライブならではの何が起こるかわからないワクワクするステージをお見せできたらと思っています!
──アルバムを聴いてくれる方、ファンの方へのメッセージをお願いします。
AYAKA:このアルバムは今までのシロクロミーアキャットとこれからのシロクロミーアキャットのちょうど中間、分岐点のような作品になっていると思っています。今まで私たちのことを知ってくださっていた方もそうでない方も、ぜひお手に取って聴いていただき、私たちがたどる軌跡を一緒に並走していただけると嬉しいです。
SUGIYAMA:アルバム「WARP」は現時点のシロクロミーアキャットが到達した1つのゴールを形に出来たと思っています。シロクロミーアキャットとしていま何をすべきか、凄く内面と向き合った作品になりました。是非お聴き頂き、私たちの世界観を一緒に共有して楽しんで頂けたら嬉しいです。何卒!
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