8年ぶりとなる待望の3rdフルアルバム
長澤知之『LIVING PRAISE』に込めた思いと各楽曲の制作エピソードを公開!(オフショット写真も掲載)
長澤知之『LIVING PRAISE』に込めた思いと各楽曲の制作エピソードを公開!(オフショット写真も掲載)
2021/08/10
シンガーソングライターの長澤知之さんが約8年ぶりとなるフルアルバム『LIVING PRAISE』(リビングプレイズ)をリリースしました。今作には「羊雲」「宙ぶらの歌」「朱夏色」といった話題の配信楽曲を含む、全12曲が収録されており、そのバラエティーに富んだ内容は “デビュー15周年を迎える長澤知之の音楽的成熟が結晶したアルバム”と言えます。ここでは、そんな本作がどのように誕生したのか!? その制作の舞台裏について本人に直接メールでインタビューすることができました。ファン必見のインタビューです!
取材:東 哲哉(編集長)
アルバム『LIVING PRAISE』のレコーディングの様子
アルバム全体について
──アルバムは約8年ぶりということですが、収録曲は最近作られたものが多いのでしょうか?
はい、曲は最近作ったものがほとんどです。
──アルバムタイトルを『LIVING PRAISE』にした理由を教えてください。
生きていることを肯定的に見たいという気持ちと、そういう気持ちを音楽にする時の言葉に当てはまる良い言葉だったのでこうしました。
「朱夏色」について
──どのような世界観を表現したいと思って作られた曲ですか?
朱夏色は青春、朱夏、白秋、幻冬っていう人生を四季に分けた考え方ですが、今の僕らの年代ぐらいを指します。とはいえ、これは「今の自分を楽しむ」という曲なので、自分たち世代だけの曲ではなく、今を肯定したい全ての世代の人に向けた歌だと思って欲しいです。僕にとっての今が、その朱夏の季節に当たるだけなので。恋するっていうのは夢中になるってこと。人生の中で何かに夢中になっている時期はいつだっていいっていう曲です。そしてそういう気持ちに「遅い」なんてものはないから。
──「全然マイクを離さない君」など、歌詞は長澤さんのプライベートな実体験がもとになっているのでしょうか?
実体験はありますが、それがどれかはなんとなく伏せておきます。
──この曲の歌詞は先頭から書き始めたのですか? それともサビですか? 最初に思いついた文言はどんなものだったのでしょうか?
この歌詞の前に書いた歌詞があって、それをレコーディングしたver.があるんですが、どうにも説明臭いし重いし、嫌いだったんです。あまり聞き手に理解しやすいように誘導しすぎる歌詞って、コマーシャルっぽいと僕が聞き手の時、好きじゃないんです。個人的には言いたいこと書いてくれてたらこっちで想像寄せるんで、「これはこうで、あれはああで」って歌詞は「うるせえよ(笑)」って思っちゃうので、説明のない心の声を書く方向に切り替えようと思い、Bメロ(恋は朱夏色〜)以外の全部の歌詞を書き直してまた再度歌い直しました。なので結果的に冒頭の方が新しい歌詞です。
最初に思いついた文言は、タイトルです。書きたいテーマとして数年前からあった曲なので、その時のアイディアのメロディや、言葉や、コード進行はメモ帳にバラバラの時期に書かれててそれらを繋ぎ合わせながら作ったと思います。例えば「青春色」なんて言わないじゃないですか。でもそう書くと多分多くの人が透き通った青や、ポカリスエットのCMみたいな光景を思いつくと思うんです。それを歌った歌は世の中たくさんあるのに何でそれ以降の時期を全力で喜んで歌った曲がないのか不思議だったんです。で「朱夏色って何色?」って考えた時に、その人がどういう光景を思い浮かべるかはそれぞれ別だと思います。「朱」とはありますが、その朱の光景が青春みたいにパッとは思い浮かばない人が多いと思います。個人的にはそれって変だなって。
──楽曲はどのようなギター(楽器)を使って制作されたのでしょうか? また、長澤さんは日頃プライベートスタジオのような環境で曲作りをされているのでしょうか?(DAWソフトやインターフェイス、マイク、小型レコーダーなど、その環境についても教えてください)
正直あまりこだわりがないんです。だから何の曲にどのギターを使ったかは全て忘れました。どのエフェクター踏んだかすら覚えてない。後で把握し得そうな人に「俺何やってたっけ?」って聞きますが、現場に把握してる人間はいないので、ライブするとなると一から思い出す作業をするっていう状況を繰り返してます。全然メモを取らないんですよね。作り出したらそのまま行っちゃうのでいつも忘れちゃう。そういうことできるタイプじゃないんだと思います。どう考えても自分みたいな人間はその辺りの補助が必要。。。作詞作曲は家ですが、レコーディングはほぼ佐藤洋介さんのスタジオでやりました。シケなどは、デモ段階の曲をそこに持ち込んで、思いつくままにギター弾いたりして完成させたり、サウンドは結構発想のままに作ることが多いです。メロディは思いついたら小型レコーダーに吹き込んだりしてます。街中でも。
──この「朱夏色」で、サウンド、アレンジ、演奏面などでこだわった点を具体的に教えてください。
サウンド的にはまずイントロメロディから作って、このリフレインがどこかで鳴り続けていく曲にしようと思いました。最初エレキギターでトーンを下げて、丸っこい可愛い音でなぞってましたが、もっと煌めいていたほうがいいと思い、細海魚さんの鍵盤に色々なエフェクターかましたあの音がピッタリ合うって思い出し、細海さんに色々なビジョンを共有しようと思い、結構長文メールを送ってお願いしました。で、返ってきたものがバッチリ素晴らしいものでしたので「これは成功だな」と思い、風景はだいぶできたから、後は勢いを足そうっていうリズムビートの方を作っていきました。ツインエレキのポジション違いのアルペジオと、リズムとを。
他のみんながどういう作り方してるかは分からないんですが、とにかく僕は風景ありきで最近は作っていて、そういう抽象画を描く感じに近いです。だから音がパキッとしてるってよりは、結果的に淡くて粗いタッチで、キラキラしたものを描いてるって感じを目指しました。
「宙ぶらの歌」について
──この楽曲で表現しようとしたこと、伝えたかったことを教えてください。
いくつかモデルはあるんですが、例えば2011年の震災の時に貰った手紙の中にある言葉だったり、知り合いの不幸だったり、若い子の苦悩だったり、あるいはもうとっくに大人なんだけど、心の中に若いままの自分がいて、その子が泣いていて、泣き止ませようにもその方法が分からないまま日々を過ごす女性だったり。明確に「女性」でした。で、そういう女性性って、男性にも大なり小なりあるんですよ。多くの男性がカッコつけて認めたがらないだけで。強さってのはむしろ自分の弱さも認められることです。虚勢を張って吠えるのは怖がるからなんです。そういう意味ではこの曲は優しい曲だとは思います。優しい曲が書きたかったんだと思う。
──作詞、作曲、アレンジ、演奏面などでこだわった点を教えてください。
最初ギターorピアノ弾き語りでいいかな、と思ったんです。余計なことやめて。でもこの曲にもたくさん風景が見えたので今回この曲と朱夏色の二曲に参加して頂いてる細海魚さんに再度ご依頼しました。朱夏色の時に僕の求めてるものは共有できていたはずなので、わりとリクエストも最小限なままに細見さんのプレイと音作りの美しさの力をお借りさせていただいた感じです。
「ラブソング2」について
──この楽曲で表現しようとしたこと、伝えたかったことを教えてください。演奏面など、この楽曲でこだわったポイントを教えてください。
これはややこしい曲なんですが、自分の共感できるアクティブな生きる喜びと、それをシニカルに見る視点とが共存してる変な曲です。演奏はリズムセクションをまず家で打ち込みで作って、それを吉田佳史さん、キタダマキさんにご依頼しました。なんか、、、はっきりいうと、こういうサウンドやってるバンドはそんなに好きじゃないんですよね(笑) この前のポンスケという曲で、この曲を冷たく見ながら紹介してるんですが、その視点も僕にはあるし、でもこの曲の持つ純粋なパワーを愛するし、はしゃぎっぷりが可愛いとも思える自分もいます。だからこれは、自分でやりたいとは思わないけど、でもちょっとやってみたかったことをやってみたっていう、わけわかんない曲です。ただ歌詞はすごく自分も共感できる内容でした。ああ、ほんとそうだなって思います。
──クレジットを拝見すると、ベースとドラム以外は長澤さんが担当されているようですが、歪んだギターの音に使用したアンプ、エフェクターなどについて教えてください。
ギターはレスポールと、ビルローレンスのストラトか、フェンダーのシンラインどちらかを使ってたと思いますが、詳しいことはすみません、忘れました。どこかに打ち込みで使ったギターもいびつで面白いので入れたと思いますが、どこのパートだったかな。その場その場の発想と遊びで作ってしまい、アルバムの解説するべき今になって、何したか覚えてないっていう。。。結構今回のアルバム制作期間もゆったりと長かったので、ゆったりと忘れていきました。。。
「シケ」について
──この楽曲で表現したかった世界観はどのようなものだったのでしょうか?
静かに怒ってる自分を表現しました。
──深いリバーブが印象的ですが、空間系で使用したエフェクト/プラグインなどについて教えてください。
これは自分のギターじゃなく佐藤洋介さんのギターをお借りしたんです。それでこういう空間系がいい、こういう厚みがいいとかなんとかデタラメなこと言ってたら好きに触っていいよってなって、エフェクターを色々触らせてもらって、「これどうすか。お。これいい感じ。」ってなって作ったものですが、今となっては何触ったのかすら覚えてません。持っていたギターの色すら忘れました。
「My Living Praise」について
──この楽曲では"No one you can save that can’t be saved"という歌詞がキーワードだと思いますが、このワードが持つ意味と長澤さんが表現したかったこと、伝えたかった世界観について教えてください。
ビートルズの曲の一節ですね。これは捉え方によっては否定的にも肯定的にも聞こえる歌詞ですが、「そもそも端から救いようの無いヤツは誰であれ救う事出来ない」という意味にも、「君が救える人で救えなかった人はいない」って意味にも。で、僕はこの変な英語って、解釈の違いがビートルズファンの論争になるのを予期しながら書いて、その上で「簡単なこと。必要なのは愛だ。」って歌なんだろうと解釈したんです。難しく考えるよりもっとシンプルにっていう愛のメッセージっていう。そういうシンプルにしたい部分が自分にもあって、その自己葛藤にある時、このフレーズを思い出して、そのままそれを曲にしたんです。
──歌詞を書く上で難しかった部分はどこでしょうか?
難しいかった部分はないです。ただ、韻を踏もうとしたんですが、それが途中からいやらしく感じてやめたってことはありました。曲のテーマに沿うのがどっちかっていうのを少し考えて、もっとこれは内省的でいい筈だとなり、対外的な見られ方を少し忘れてったというか。
──アレンジ、演奏面などに関してこだわった点を教えてください。
これは谷口貴洋というシンガーソングライターが結びつけてくれた宮崎遊っていうギタリストと一緒にアレンジを作りました。今回のアルバムではゲストギタリストが2人いて、青いギターでは西川進さん、そしてポンスケとMy Living Praiseのギターは彼に依頼しました。どちらも素晴らしいギタリストです。特にこの曲の場合は僕もギターより歌に集中したくて、遊くんに任せる必要がありました。
その他の楽曲について
──アルバムに収録されているその他の楽曲で、特に制作する上で困難だったものや特筆すべきことがあれば教えてください。また、今回のアルバムでは、キタダマキさん、吉田佳史さん、西川進さん、須藤俊明さん、宮崎遊さん、秋山タカヒコさん、細海魚さん、佐藤洋介さんといったミュージシャンが参加されていますが、彼らとのやり取りで印象に残っている楽曲などあれば教えてください。
どれも印象的で素敵な経験でしたが、宮崎遊くん以外の諸先輩方とは皆さんとステージで共演してる経験があって、色々なとこでその素晴らしさを語らせていただきました。でも宮崎遊くんは今度初めてステージで同じ曲をやるのでそれが楽しみです。レコーディングでも最高にフレンドリーですし、真面目ですし、何より音楽が大好きなんです。もうそれですよね。不満な顔しながらステージ上がったり、文句垂れながらレコーディングする人間って僕は見たくないんですよ。その真反対の音楽を楽しんでる人間が僕は好きなんです。特に僕の曲だと尚更いいです。
ファンの方へのメッセージ
──あらためて、今回のアルバムの聴きどころ(ファンに方に聴いてもらいたい部分や伝えたいこと)をお願いします。
日常生活の中に流れてくれたら嬉しい限りです。ちゃんと聞いてくれるのも嬉しいですし、通勤通学でながら聴きするのも合うと思います。
──まだコロナの問題が落ち着かない時期ではありますが、今後のライブに向けての意気込みとファンの方へのメッセージをお願いします。
Living Praise!!!!
アルバム特典映像の収録時の様子
アルバムジャケット撮影時の様子
5月に弾き語りで行った配信ライブ時の様子
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