野田洋次郎(RADWIMPS)による楽曲提供・プロデュース
“酸欠少女” さユり「フラレガイガール」インタビュー
“酸欠少女” さユり「フラレガイガール」インタビュー
2016/12/14
さユり:完成したのは今年の春〜夏なんですけど、もともとのモチーフとなるものは2年ぐらい前にあって。当時はこの曲で歌っている “息苦しさ” みたいなものを「息苦しいです」と言うだけの内容だったんです。最近、この息苦しさを見つめ直す心境の変化があって。そこで「この抱えている気持ちは、どうして生まれるんだろう?」とか「それで私はどうしたいんだろう?」ということを考えたら、「これってもしかしたら他の人との共通点なのかな? みんなもこんな風に感じているのかな?」と思ったんです。それで歌詞を書き進めたら、自分が歌う意味が見えてきたんです。
──曲作りの際には「意味があるかないか」を一番大事にされているのですか?
さユり:必ずしも一番ではないのですが、メロディが気に入っているけど、歌う必要がないと思ったり。だけど「アノニマス」は、ちゃんと届く形で完成させたかったので、今大事に思っていることを詰め込んで作り上げました。
──歌詞を書く時は、やはり何かモチーフを設けてから書き進めることが多いのでしょうか?
さユり:歌詞とメロディが同時にワンフレーズ思いついて、それをもとに作ることが多いです。例えばデビューシングルの「ミカヅキ」は、「逃げ出したいな逃げ出せない」や「醜い星の子ミカヅキ」という部分のフレーズが思いついて、そこから作り上げました。
──この曲はデビュー曲「ミカヅキ」の歌詞に出てくる“それでも” の先に繋がるメッセージソングだそうですね。
さユり:“当事者になりたい” という思いを詰めた曲になっています。私はずっと、どこにいても「ここは自分の居場所じゃない」ってなじめなかったり、誰と話していても、いつもそれを俯瞰して見ている自分がいて。それで「じゃあ、なんで生きているんだ?」と、苦しくなったりすることが多かったんです。それに、世の中の人達も当事者になりたくてもなれなかったり、なりたがらなかったり。なったらバッシングの対象になってしまいやすい世間だな、と思って。それって言いたいことが言えなかったり、息苦しいなって思って。その中で自分が言いたいことを言おう、ちゃんと当事者になって「 “好きなものは好き” って言う、まっすぐな曲を歌いたいな」と思って作りました。
──常に周りの状況や情景を俯瞰し、理解した上で歌詞を書かれているのですか?
さユり:曲を書きながらわかってくる部分が多くて。世の中、当事者にならずに、誰かを批判したりすることってあるじゃないですか。それって「何でだろう?」って歌詞を書きながら考えて。「もしかしたら誰かを見つめながら、時に傷付きながらその信じられるものを見つけようとしているかな?」って思ったんです。様々なことが溢れて価値観や考えなどがたくさんあるから、みんな何を信じたら良いのかわからなくて、だから「色々なものを見ながら生きているのかな?」と。信じられる何かを探していて、「ちゃんと帰る場所を探しているんだ」とも気付いたりして。
──曲作りにおいてメロディを作る時に心掛けていることはありますか?
さユり:一番心掛けているというわけではないですが “匂い” ですね。
──「匂い」ですか?
さユり:「記憶の匂い」ってあるじゃないですか。あの道を歩いた時のものが急に蘇ってきたり。
──ありますね。
さユり:あの感覚をスゴい大事にしていて。その匂いを種に音で体験できるよう、ギターを弾きながら「あ、これあの匂いがする音だ」って思ったりしながら作っています。それがないと好きな曲に仕上がらないというか。
──ちなみに曲作りを始めたのはいつ頃だったのですか?
さユり:14歳の時です。でも、幼稚園の頃に歌詞を書いていた記憶があって。当時はメロディを適当に付けたりして、録音の方法を知らなかったので5秒後には忘れてしまうという。あと『ぴちぴちピッチ』という人魚が出てくるアニメがあって、その人魚が歌を歌って敵を倒すんですけど。その作品の影響もあって「歌って良いな」と思ったのが最初かも。
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