昨年より行なってきた企画 “project『Love』” の最後を飾るアルバム
DOG inTheパラレルワールドオーケストラ『HEART』インタビュー
DOG inTheパラレルワールドオーケストラ『HEART』インタビュー
2017/05/03
ミズキ(ギター)
──続いて曲作りについてお聞きします。普段曲作りはどのように行なわれているのでしょうか?
春:まず、詞は後から書きます。なので原曲が上がってきたら、全パートをパラデータに分解します。そこからメンバー各自でプロプロをやる感じですね。キーが変わるとしたらこの段階です。僕は基本的にみんなのやり取り見守る側なんですけど、最後にボーカルをやって違和感があればちゃぶ台を返します。だから作曲者は嫌な思いをしたことがあるだろうな、誰とは言わないけど(笑)。
──どなたのか気になりますね。
春:逆に言うと、完璧に仕上がってきたものに対して、歌メロのキー感が合わなくてもそれがスゴくカッコ良かったらそっちに合わせます。そこは僕の腕の見せどころなので、チャレンジします。そうやって新しい自分の声色というかトーンをを見つけた曲もたくさんあります。それがメンバー全員でプリプロする醍醐味じゃないかと。DOGは体育会系バンドなんです。みんなそれぞれ自分で決めているから「ダサい」って言われたくないから。
──バッチリ作ってくると。
春:そうなんです。しかも、みんなも「それ違くない?」とは言わないで「良いんじゃん?」って絶妙な感じで言うんですよ。常に戦々恐々としています。
──個人的に春さんの歌詞ありきで曲作りしていると思っていたので意外でした。
春:ただ、ラブソングなのかライフソングなのか、どの公演に向けてなのかなど、事前に打ち合わせます。だからそれに沿った楽曲が選曲会で採用されることが多いですね。そこから広げる作業をするというか。
──表題曲である2曲目の「HeartAche」はどのように作られたのでしょうか?
春:誰が原曲を作ったかは内緒です(笑)。
──そうでしたね。誰かというのは伏せておいて、パートはどこから?
春:DOGでは、基本的に原曲は1コーラス分だけが上がってくるんです。それをフルに伸ばす段階で、パートをカットしたりしますね。「あ、この曲のBメロはカットしちゃおう」みたいな。「HeartAche」は、今回のアルバムを作るにあたって、本当に「メンバーの今の “核” となるような音楽性を提示したい」と話していたので、作ってきた人がそういったことをスゴく考えながら作ったんだと思います。だから珍しくあまり誰もイジることなく進んでいったかな。
──楽曲を聴いた時の印象は?
春:僕は選曲会で聴いた時に “本気” を感じました。俺は我が強いので、最後までどう思っているか言わないでおこうと思っていたんです。そうしたら他のメンバー達が「これ良いんじゃない?」みたいな感じで話が進んでいて。それで「あぁ、新しいアルバム作ろうと思って、これを表題にしてMV作るって今回マジなんだな」というのをスゴく感じてめっちゃ嬉しかったです。僕は「一つ殻を破るアルバムにしたい」とずっと言ってきていたので、この曲が選ばれたのはバンドマンとしてはもちろん、ミュージシャンとしても「いいアルバムになる」と感じました。
メイ:デモの段階で “ストレート” でした。人それぞれで数え方は違いますけど、サビが2回あるんですが。でも、なんかスッと入ってくるというか真っ直ぐな印象でした。今までの楽曲と比べても、芯の強さとか等身大で勝負している感じを原曲の段階からかなり感じていました。それは歌が乗ってきてから、さらに強く感じられました。
準々:この曲は表題曲なんですけど、初めてデモを聴いた時に、今までのDOGだと表題にしないようなタイプの楽曲だったので「おーこれが表題曲になるのか、挑戦だな」って驚きました。
メイ:なんというか、“大人っぽい” って言うのかな。
春:うん。「歌モノを推そう!」って今のシーンにはあんまないよね(笑)。
ミズキ:鳴っている音は結構シンプルで、ストレートなものが多いんですけど、曲の空気感が広いというか。デモの段階から世界観があったので素敵な曲になると感じました。
緩菜:デモの時点で完成形がパッと見えるような感覚でした。それと、こういったタイプの楽曲だと、春の歌詞がライブでお客さんにしっかりと伝わるだろうなと。
メイ(ベース)
──歌詞の印象についてもお聞きしたいのですが、春さんはどの段階で歌詞をメンバーに公開するんですか?
春:最後の最後ですね。
メイ:本当は見て楽器のレコーディングをしたかったりもするんですけど。やっぱり歌詞って一番時間がかかると思うんです。だって楽器だったらコードが付いてて、そのコードから動いたりすることはあまりできないじゃないですか。その点、歌詞は0から生み出すから、そこは仕方ないかなと。ただ、「早めにできたら見せてね」ぐらいは伝えています(笑)。印象としては「DOGが変わります」という宣言から初めての楽曲なので、自分達が置かれている状況にぴったりな内容だなと。普通に「スゴイな」と思っていて、特に一番最後の “その全ての僕を連れて 此処から また進もう” という部分が好きなんです。ここがあるからこそ、すべての歌詞が成り立っているんだと思いました。あとは “誰かに 抱き締めて欲しかった” は、メンバーの本当の心情が描かれていて好きです。
準々:僕もこの曲に関しては “バンドの再スタート” というか、前向きに「頑張るぞ!」と思えたし、今のタイミングにピッタリな内容だと思いました。気に入っているフレーズは “In Silence” ですね。
メイ:本当それ好きだね(笑)。
──なぜでしょうか?
準々:今まで春くんってあんまり英語を使うイメージがなかったんで。
メイ:この人はLUNA SEAさんが好きなんです(笑)。
──なるほど。確かに「In Silence」という曲がありますよね。春さんは意識して書かれたのですか?
春:たまたまです。でも「準、好きだろうな」と思いながら書いていましたけど(笑)。ただ、本当に英語を使わないんですよ。僕は英語が喋れないので、喋れない言葉で歌っても意味が伝わらないと思っているんです。だからそれはビックリしただろうな。
ミズキ:俺はサビの “心から笑って 心から泣いたのは いつだろう 何度考えても思い出せないから” ですね。読んでみると「あぁ確かにそうだな」と思わされる内容だったので。なかなか生きていくに連れて、感情ってなくなってくるじゃないですか。でも、この歌詞は心に水を与えてくれたというか。
緩菜:「DOGが変わります」って宣言をしてから1発目のアルバムの表題ということで、今までのことを全部引き連れて前に進むということがスゴく良いなと。もちろん、そのためにこのアルバムを作ろうとしたわけですし。
メイ:緩菜と二人で機材車に乗って帰ることがよくあって。その時に曲を聴いていると「あいつ(春)、天才だよね。メロディのセンスもあるし」っていう話をしたりするんです。
春:直接言おうよ!(笑)。
メイ:ちょうど曲のミックスが上がった日の夜に、お酒を飲んでいい感じになっていたので春に伝えようと電話したんです。でも直留守だったという。
春:寝てましたね(笑)。
──お酒の力を借りたとしても、素直に感想を伝えるって良いですね。
メイ:多分、翌日の朝後悔するんでしょうけどね。「あぁ恥ずかしい……」って。
ミズキ:それこそ、こうやって取材してもらっている時に、他のメンバーの「この曲のこういうところが好き」とか知ることが多いんです。
春:プリプロや曲が出来上がった時も「良いね」ぐらいしか言ってこなかったですから。本当にDOGはこういうところが体育会系なんです。
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