“世界観系”の曲だけで固めた渾身のフルアルバム!

神聖かまってちゃん『幼さを入院させて』インタビュー

神聖かまってちゃん『幼さを入院させて』インタビュー

2017/09/14


神聖かまってちゃんが『英雄syndrome』以来約3年振りとなる『幼さを入院させて』をリリースした。本作には、TVアニメ「進撃の巨人」Season2のエンディングテーマにもなっている「夕暮れの鳥」を始め、リードトラックとなる「陸上部の夏」や「イマドキの子」など、渾身の全13曲を収録。ここでは、メンバー全員を迎え、アルバムのコンセプトやリードトラックに「陸上部の夏」「イマドキの子」を選んだ理由、作詞・作曲、レコーディングでのメンバー間のやり取りなど、日頃なかなか聞くことのできない彼らの制作の裏側について聞いてみた。ファン必見のインタビューだ!

取材:布施雄一郎


──オリジナル・アルバムとしては3年ぶりとなりますが、制作はいつ頃スタートしたのですか?

の子:去年7月に『夏.インストール』を出して、それからちょっとずつ制作を始めていきました。その段階で、アルバムの世界観とか、そういった方向は定まっていて。

──具体的には?

の子:退廃的なものですよね。そこらへんを意識して、楽曲やアートワークも固めていて。今回、きっちりと形にできたなと思っています。

ちばぎん:これまでは、神聖かまってちゃんって、ロックで、勢いのある曲が持ち味だっていうイメージが強かったと思うんですけど、実は昔から“世界観系”の曲もずっと作ってきてたんです。それこそ、そういう曲だけ集めたアルバムを作りたいねっていう話は、5〜6年前からしていて。ただ、実際にそういう曲だけ集めると、それはちょっと世間とかけ離れすぎてしまうというので、バランスを取っていたんです。ただ今回、シングルの「夕暮れの鳥(TVアニメ《進撃の巨人》Season 2 EDテーマ主題歌)」が世間的に受け入れられたこともあって、じゃあこのタイミングで、世界観の強い、ちょっとホーリーなアルバムを作ってみてもいいんじゃないかということで、それが決まって、「イマドキの子」と「陸上部の夏」を新たに作っていって。

みさこ:リードトラックを選ぶ時に、私は「イマドキの子」を“激推し”したんです。この曲って、若い子だけじゃなく、ネットとかで空を掴むようなコミュニケーションを求め続けている人たちにピッタリと寄り添って、すごく響く曲なんじゃないかって感じたんです。しかも、これまでの神聖かまってちゃんの曲とも、ちょっと違うし。

ちばぎん:歌詞とかね。

みさこ:そうそう。

mono:でも僕は、まだ歌詞が定まってないデモの時点で、「この曲、いいな」って思ってたんです。デモ段階では、最終形とはちょっと違ったんですけど。

の子:最初は、生声で歌ってたんですよ。それをボコーダーに変えた方が面白いんじゃないかって。レコーディングの段階で、感覚的に「そっちの方が面白いな」と思ったら、どんどん変えていくので。

──本作は、そうしたボコーダーボーカルと、独特な響きのするコーラスワークが全体の色合いを生み出していますよね。

の子:コンセプト的なもの、表現したいことがはっきりしていたので、生声から、ボコーダーを使った表現に寄せました。

──「まいちゃん全部ゆめ」の、エフェクティブなコーラスは?

ちばぎん:あれもボコーダーですね。

mono:ローランドVP-770を使いました。結局、あれが一番よくて。機材を変えようかという話も何度か出たんですけど、やっぱりあれでしか出せない音があって。

みさこ:だいぶ、このバンドの音になりつつありますね。

ちばぎん:だから、あれが壊れたら解散しないといけないんじゃないかな(笑)

mono:もう売ってないボコーダーだからね、壊れたら困る(笑)。VP-770は、今後も使っていくと思います。

みさこ:あと、「まいちゃん全部ゆめ」は、一度レコーディングして、しばらく曲を寝かせてたんですよ。いろいろ思うところがあって。

ちばぎん:曲自体を大きく変えたわけではないんですけど、プレイ面や音色面で、「ちょっとこれでは」という感じになって。

──この曲は、展開がすごいですよね。ブロック単位で作ったものをつなげたのですか?

の子:いや、そこも感覚で作っているので、だから、あまり意識したこともなくて。

みさこ:の子さんが意識せずに自然に作ると、よくこうなるんです。だから、Aメロ、Bメロ、サビっていう超J-POP畑の脳ミソに育った私からすると、「この曲、どこで盛り上がればいいんだ?」って、自分の中で消化するのに時間がかかる曲もあって。「陸上部の夏」も、サビは最初から盛り上がるわけではなくて、サビの後半でガッと盛り上がるんです。でも、2コーラス目は、サビのひと回し目から盛り上がったり。そうしたことは、の子さんとスタジオで話をして「なるほど!」と思いながら演奏しました。

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神聖かまってちゃん
「幼さを入院させて」
2017年9月6日(発売中)


【初回限定盤】CD+DVD
WPZL-31358/9 ¥5,292(税込)

【通常盤】CD
WPCL-12718 ¥3,240(税込)



Disc1(CD)

01.夕暮れの鳥
02.イマドキの子
03.陸上部の夏
04.ねこねこレスキュー隊
05.非国民的アイドル
06.まいちゃん全部ゆめ
07.雲が流れる
08.緑の長靴
09.僕はぬいぐるみ
10.おはよう
11.光の言葉
12.日々カルチャア
13.不安定ねこくらげ


Disc2(DVD) ※初回限定版のみ

「めちゃ×2魔法を叶えてっ!」ツアーファイナル
 at EX THEATER ROPPONGI 2017.1.29

01.たんぽぽ
02.自分らしく
03.新宿駅
04.天文学的なその数から
05.肉魔法
06.ゆーれいみマン
07.グロい花
08.緑の長靴
09.ねこラジ
10.男はロマンだぜ!たけだ君っ
11.ロックンロールは鳴り止まないっ
12.背伸び
13.ちりとり
14.ズッ友
15.drugs,ねー子
16.コンクリートの向こう側へ

~Encore~
まいちゃん全部ゆめ
躁鬱電池メンタル
フロントメモリー

~Encore 2~
リッケンバンカー
 
【ボーナス映像】
「進撃のかまってちゃん駆逐ツアー」 at 東京キネマ倶楽部 2017.7.2

01.光の言葉
02.夕暮れの鳥
03.23才の夏休み

 

神聖かまってちゃん
(Profile)


の子(Vo, G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるインターネットポップロックバンド。
の子、mono、ちばぎんは幼稚園時の同級生。みさこは、ネットのメンバー募集で加入する。
自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生配信、自作MVの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。
2009年一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。
2010年3月に初CDのミニアルバム「友だちを殺してまで。」リリース
ワーナーミュージック・ジャパン/unBORDEと契約し、2010年12月にメジャーレーベルの
ワーナーミュージック・ジャパン/unBORDEから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリース。
2011年4月に入江悠監督の映画「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」が全国で順次公開される。
また両国国技館ワンマンライブを行う予定だったが東日本大震災の影響により中止に。これを受け、全国8都市を回るフリーライブツアーを敢行した。
2011年8月 4thアルバム「8月32日へ」をリリース。
2012年メジャー初シングル「知恵ちゃんの聖書」、5thアルバム「楽しいね」をリリース
2014年シングル3作「フロントメモリー」「ロボットノ夜」(配信リリース)、「ズッ友」に初映像作品DVD3枚組「ライブヒストリー 2009-2013」、6thアルバム「英雄syndrome」をリリース。
2015年6月 CDデビューより5周年をむかえ、初のベストアルバム「ベストかまってちゃん」をリリース。
2016年7月 CM曲「僕ブレード」収録のミニアルバム「夏.インストール」をリリース。
2017年5月24日 TVアニメ「進撃の巨人」Season2のエンディングテーマ主題歌「夕暮れの鳥」収録のダブルAサイド・シングル「夕暮れの鳥/光の言葉」をリリース。

の子(Vo,G)自らの体験や感情をタブーなき赤裸々な言葉で紡ぎ、美しいメロディーによる楽曲と強烈なライブパフォーマンスで、常に話題になるインターネットポップロックバンドとして活動中。

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