希望をテーマとした三文字言葉を音・ビジュアルコンセプトにした話題のシリーズ三部作完結盤!
野呂一生(CASIOPEA 3rd)『A・KA・RI』インタビュー
野呂一生(CASIOPEA 3rd)『A・KA・RI』インタビュー
2018/07/19
日本を代表するフュージョンバンド、CASIOPEA 3rdが4thアルバム『A・KA・RI』をリリースした。2015年『A・SO・BO』、2016年『I・BU・KI』に続く、三文字の言葉を音・ビジュアルコンセプトにした話題の三部作完結盤だ。今回はギターの野呂一生にオルガン導入によるサウンドの変化、アンプレスの先駆者からみた「Line 6 アンプシミュレーター Helix」について語ってもらった。
取材:斎藤一幸(編集部)
野呂:最初に三文字で『A・SO・BO』というアルバムを作りまして、その後に『I・BU・KI』で、これ三文字シリーズってことで三部作として行けるんじゃないかなって話になったんです。
──では、最初から三部作ではなかったんですね。
野呂:そうなんです。今回、三部作の完結編ということで『A・KA・RI』というタイトルを付けました。これは合宿とかあった時の最後の夜のキャンプファイヤー的な感じです。『HI・KA・RI』だとちょっと眩しすぎちゃうんで、もう少し優しい希望の輝きみたいなものを表現できればなという想いで付けました。
──CASIOPEA 3rdになってから、大髙さんのオルガンがキーボードのメインになったと思うのですが、バッキングの主体がピアノやエレピからオルガンに変わることによってフレーズや曲作りに明確な違いは出てきたのでしょうか。
野呂:アレンジには確実に影響がありますよね。というのはオルガンというのは決断力が無いと使いこなせないタイプの楽器なんですね。ONかOFFしかないですから。打鍵系のピアノとかエレクトリック・ピアノだと減衰音とかベロシティで強弱が付けられますけど、オルガンっていうのはドーロ−バーっていうので音色的に柔らかくしたり歪ませたりはできても基本はONとOFFだけなんですね。だから“休符”っていうのがすごく大事になってくるんですよね。どこまでその音を伸ばすかみたいなね。
──というと、間の取り方やキメの部分も変わってくるわけですね。
野呂:そうですね。変わりますね。なおかつアタックも強くて減衰しませんから、もうガァーって鳴りっぱなしになります。
──そうすると今までシンセブラスでやっていたキメの部分もオルガン一発で十分っていう部分もあるのですか。
野呂:そういう部分も結構ありますね。ただやっぱり音色的にここはブラス系が欲しいな、ストリングス系が欲しいなって言う部分はシンセサイザーでやっていだだきます。ただ、基本はオルガンの昔からある特性っていうものを生かしたサウンドにしてます。
──私のCASIOPEAのイメージだとキメの部分でユニゾンが多かったように思うのですが、CASIOPEA 3rdではメロディもユニゾンという曲が増えてきている印象があります。これは意識してアレンジの段階でそうされてるのですか。
野呂:増やすとかそういうことはしてないんですが、オルガンとギターっていうのは強烈な個性同志なので、やっぱりユニゾンは目立つんでしょうね(笑)。
──ラーセン・フェイトン・バンドとかそうでした。
野呂:やっぱりブラスとギターのユニゾンっていうよりも、オルガンとギターのユニゾンの方が溶け合うんでしょうね。
──野呂さんのオクターバーのかかったあのギターサウンドとオルガンは相性が良いんですかね。
野呂:そうですね。ギターの種類にもよるんですが、アコースティックギターだと減衰が速いですけど、歪ませたサウンドだと減衰するのが遅いですから、そういう意味ではオルガンに近い部分があるんでしょうね。
──続いてアンプについてですが、野呂さんはかなり初期の頃からアンプレス(ギターをギターアンプを通さずPA卓に直接送る)だったと思いますが、アンプレスを導入した経緯は?
野呂:海外に行くとですね、すごくいい加減な機材が多いんですよ。マイクにしてもアンプにしても。なので、どこに行っても同じクオリティーの音が出せるようにということで、アンプレスで直接ラインでPAに送ってました。だからPAそのものがギターアンプっていうとらえ方ですよ。
──アルバム通りの音が出るような音作りでラックを組まれていたのですか。
野呂:そうですね。だから限りなくオーディオに近いものでしたね。
──では当時もレコーディングの段階でアンプレス前提で音作りをされていたのですか。
野呂:そうですね。まぁ、でもレコーディングの場合はスタジオの機材をたくさん使ったりするのも楽しみのひとつだったりしてね。
──ではアンプレス初期の頃は、レコーディグではマイクを立てて?
野呂:はい。マイク立ててた時代もあります。でも、現在はほぼアンプレスです。
──いつぐらいからアンプシミュレーター的なものを使われ始めたのですか。
野呂:90年代に入ってからですかね。僕のソロアルバムで「TOP SECRET」という一人で、ギターを40回ぐらい重ねたアルバムがあるんですけど、その時にヤマハさんがデジタルアンプシミュレーターを出したいっていう話があったんです。そして、そこで制作のご意見番をさせていただいたんです。
──ヤマハの「DG」シリーズですかね。
野呂:そうです。ちょうどその頃アンプシミュレーターがすごく良くなってきた時期で、もうツアーではアンプレスでやってたんですけども、この「DG」から完全にデジタルアンプシミュレーターに移行しました。
──当時色々と機材をラックに組まれてMIDIで制御されていたと思うのですが、音作りや曲ごとのパッチはエディターやライブラリアンで管理されていたのですか。
野呂:基本は全部足元でやってました。シーケンサーでやったことは無いです。ライブはテンポも変わったしますし、クリック聴いてやるっていうライブはやりたくないんですね(笑)。ですから、タイミングを含めて全部自分の足元で制御しています。
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