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野呂一生(CASIOPEA 3rd)『A・KA・RI』インタビュー

野呂一生(CASIOPEA 3rd)『A・KA・RI』インタビュー

2018/07/19


──今はLine 6のアンプシミュレーター「Helix」を使われますよね。Line6の製品はPODから使われていたんですか。

野呂:1個前の機種からですね。ヤマハさんからの声がけで使ってみたら「おっ結構いけるじゃん」ということで。

──ライブ、レコーディング両方で使い始めたんですか。

野呂:そうですね。使い始めの頃は、基本的な歪もの、クリーン系、それからピッチ系をLine6で、空間系のディレイやリバーブはTCで組み合わせて使ってました。で『Helix』になってからは全て一台でやってます。

──エフェクトのパッチを組まれるときはいちから組まれますか。それともプリセットからエディットされますか。

野呂:両方ですね。『Helix』の場合はウチのスタッフの堀内君に協力してもらって二人でやってます。

──本体側のボタンで作業しますか。それともエディターで。

野呂:両方ですね。まぁ、でも足元でできないと臨機応変にいかないので本体だけでやることが多いですね。

──それで昔の曲から新曲まで全部カバーしてるんですか。

野呂:そうですね。これまで膨大な機材を使ってきましたけど今はこれ一台でOKですね。

──歪ものはどのシミュレーターをお使いですか。

野呂:今はLine6のディストーションを使ってます。もともとそれが一番の自信作だということで。それプラス、スピーカーとマイクシミュレーターを通してます。

──音色のパッチによってスピーカーとマイクシミュレーターも変えていますか。

野呂:クリーンものと軽めのクランチ、歪の強いものでそれぞれ変えてますね。

──フュージョンブームの頃のカシオペアの楽曲に関してなんですが、当時まだクロスオーバーと呼ばれていた頃の楽曲はクオリティーよりもミュージシャンのインプロビゼーションが主体だったと思います。そこにカシオペアが出てきてテクニックはもちろんのこと、キャッチーなメロディと楽曲のクオリティでフュージョンブームが起きたと思うのですが、野呂さん的には当時インストであそこまで火が付いたのは曲の魅力だと思われますか。

野呂:まぁやっぱり楽曲っていうのがすごく大事なものだっていうことでやってきた部分はありますよね。特にデビュー当時なんていうのは、そのインプロビゼーションの知識とか実力がすごく自分達にはまだ足りないなって思っていた時期だったんで、それをカバーするためには楽曲的な完成度を上げようという意識はありましたね。

──曲作りは昔からギターのみで作られていたのですか。

野呂:そうですね。包丁一本タイプです(笑)。

──すべて譜面上でアレンジされるんですよね。譜面作成ソフトとかではなく手書きで。

野呂:そうですね。譜面の書き方はこの40年で変わってきましたけど。今はコンデンススコアって言いまして、スコアって普通はメンバーごとに各パート別で分けて書くんですけど、コンデンススコアは2段に集約して書きます。シンセを含めると5パートあるんですが、それを2段に凝縮してコンデンスミルクみたいなものですね。濃縮です。かなり読みにくいですよ(笑)。メンバーのみんなは暗号を解読するようなものですね。

──ここ数年、若手のギタリストが高度なテクニックでインスト曲をやるようになってきましたが、野呂さん的にはどう感じられますか。

野呂:いやぁー、すごいなと思いますよ。たぶん自分が20年30年かけてやっとできるようになったことを1〜2年でやっちゃってるんじゃないかな。

──ただ若手のインストバンドってなかなか出てこないですよね。

野呂:たぶんインストやるっていう意識があまりないんでしょうね。なんていうかな、ビジネス的に捉えちゃってるってようなところはあると思いますね。もちろんそうじゃない人たちもたくさんいるとは思うんですけど。ただ我々の世代が20代だった頃のような“山師的なミュージシャン”っていうんですかね。

──山師的なミュージシャン(笑)

野呂:これはいけるぞ!みたいなね。そういうのが少ないんでしょうね。

──あの当時の衝撃は難しいんですかね。

野呂:みんなすごく現実的になってるよね。

──では最後に、まもなくツアーも始まりますが、新曲も披露されるのですか。

野呂:今回のツアーは久しぶりに新譜発売後のツアーなので新曲も何曲か演奏します。本邦初公開ということで、かなり初心に帰るものになるんじゃないかなと思ってます。

──アルバムからは何曲ぐらい披露されるんですか。

野呂:半分ぐらいはやるんじゃないかな。やっぱり初公開のものはそれなりの緊張感ってありますからね。僕も楽しみです。是非皆さん来てください。

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CASIOPEA 3rd
A・KA・RI
2018年7月18日(水)発売


A・KA・RI
高品質 (Blu-spec CD2) CD
HUCD-10263
¥3,000 (本体価格)+Tax


【収録曲】
01.TSU・BA・SA 〔Issei Noro〕
02.MISSIONS 〔Issei Noro〕
03.I’LL BE RIGHT THERE 〔Issei Noro〕
04.URBAN STARS 〔Kiyomi Otaka〕
05.LIGHTS IN THE HEART 〔Issei Noro〕
06.Ui Uiz U Uiz Us 〔Yoshihiro Naruse〕
07.GROUND FEELINGS 〔Issei Noro〕
08.MAGIC TOUCH 〔Akira Jimbo〕
09.ETHNIC STREET 〔Issei Noro〕
10.LAST DANCE 〔Issei Noro〕
11.FLOWER OF LIFE 〔Issei Noro〕
CASIOPEA 3rd=プロフィール

1979年の鮮烈なレコードデビュー以降、日本を代表するスーパーバンドとして、フュージョンシーンのトップを走り続けているCASIOPEA。デビュー当時のキャッチコピーである「スリル・スピード・スーパーテクニック」を文字通り体現しているそのサウンドは、野呂一生の類いまれな作曲能力による親しみやすいメロディーと超絶テクニカルなプレーをいとも簡単に両立させるという、それ迄には考えられなかった全く新しい音楽性を確立し、「ASAYAKE」「DOMINOLINE」等数多くの名曲を世に送り出している。1977年の結成から1989年までの第1期、1990年から2006年までの第2期、そして6年の休止からバンド結成35周年の2012年から再始動の第3期まで、メンバーチェンジを経ながらもバンドとしての評価を維持し続けている。特に第3期からはCASIOPEA 3rdと名称を変え、キーボード向谷実の脱退、大髙清美の加入という劇的変化があったが、野呂一生(Eg)、鳴瀬喜博(Eb)、大髙清美(Kb)にスペシャルサポートの神保彰(Ds)を加えたCASIOPEA 3rdは、リズムのキレ、絶妙のアンサンブル、最高のグルーブ感等、スーパーバンドの更なる飛躍を成し得た。
【ツアー情報】

〜A・KA・RI Live Tour〜

◆7月28日(土)
HIROSHIMA CLUB QUATTRO(広島)
open 17:30/ start 18:00

◆7月29日(日)
スカラエスパシオ(福岡)
open 16:30/ start 17:00

◆8月11日(土)
名古屋ダイアモンドホール(愛知)
open 17:30/ start 18:00

◆8月12日(日)
BIG CAT(大阪)
open 16:30/ start 17:00

◆8月18日(土)
川崎 club CITTA’(神奈川)
open 17:00/ start 17:30

◆8月19日(日)
仙台 Rensa(宮城)
open 16:30/ start 17:00

◆8月25日(土)
鳥取県立倉吉未来中心 大ホール(鳥取)
open 18:00/ start 18:30


オフィシャルサイト
野呂一生 ISSEI NORO
野呂一生 ISSEI NORO

ギター
1957年1月1日 東京都出身


言わずと知れたCASIOPEAのリーダーであり、メインコンポーザー。CASIOPEAの大半の曲を作曲「ASAYAKE」、「LOOKING UP」、「FIGHT MAN」等、数々の名曲を残している。ソロアルバムは1985年『SWEET SPHERE』を始めに、現在までにソロアルバムを6枚発売。1996年日本初CD-EXTRA仕様『TOP SECRET』2001年には全編をフレットレスギターを用いた作品『UNDER THE SKY』等、新しい試みに果敢にチャレンジしている。2006年CASIOPEAの一切の活動休止を発表。2年後、神保彰(Dr)、箭島裕治(b)、扇谷研人(pf)、林良 (key)と共に“ISSEI NORO INSPIRITS”を結成。最新作『TURNING』を始め、今までに6枚のオリジナルアルバム、DVD、ライブCDを発表。野呂の新しいライフワークとなっている。同じくして、天野清継と共にアコースティック・ギター・デュオ “お気楽ギグ” を結成。カバー曲を中心にライブハウスツアーを敢行している。その原曲を見事なまでにアレンジして聴かせるライブは好評を博しており、2013年、2ndアルバム『昭和・ニッポン 2』を発売。ヴォーカル曲も加え大人のギターサウンドを聴かせている。ほかに安藤まさひろ、是方博邦とのギタートリオ“オットットリオ”があり、年に1~2回のペースでライブを行う。2009年にはCASIOPEA初代ベーシストの櫻井哲夫と共にアコースティック・デュオ“PEGASUS”を結成、往年のファンを喜ばせた。2016年9月「ギタースコア野呂一生 Best Selection」を発売、譜面集を心待ちにするファンに贈った。同年、翌1月1日に還暦を迎える記念に初の自叙伝『私時代~WATAKUSHI JIDAI』を執筆。生い立ちから現在までの私時代を語り尽くした。2017年ヤマハとの企画で「野呂一生/mysoundバーチャルセッションコンテスト」を開催、野呂と掛け合いで共演した映像で腕前を競うという新しい形のコンテストで話題となる。2017年末よりギターの新システム“LINE6 HELIX”を用いたクリニックを全国で開催中。1991年より東京音楽大学で教佃をとる。現在は客員教授に就任。

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