恋愛の二面性をメロディーと詞の世界で表現したリアル・ラブソング
The Super Ball「アイビー」インタビュー
The Super Ball「アイビー」インタビュー
2019/03/04
The Super Ballがニューシングル「アイビー」を2月20日にリリースした。今作は2019年第一弾となるシングルで、以前の “甘カワ” な彼らのイメージから一転して、大人な部分も取り入れた意欲作。ここでは、近年男性ファンも増加中のスパボの2人に今作の聴きどころをはじめ、収録曲の制作秘話について聞いてみた。中でも「何パターンか用意する」という歌詞の書き方に関するコメントは必見だ。
──スパボは女性のファンの割合が多い印象でしたが、近年はライブ会場に男性の方も増えましたよね。
吉田理幹(以下吉田):2017年リリースの『スパボ! スパボ! スパボ!』(インタビュー記事)までは “甘カワ” というキャッチコピーが付いていて。でも、正直自分たちは脱したくて。年齢が27、8になって、昨年1年間「どうアーティストとして見てもらえるかな」というのを考えていて。その上で、シングル2枚、アルバム1枚をリリースしたんですけど、アー写やアートーワーク、ジャケ写などをガラッと変えたんです。音楽的にもこれまで打ち込み中心だったものに対して、バンドサウンドへと変化してきて。そういったことが男性ファンの増加につながってくれたんだと思います。
──それでは、今作「アイビー」についてお聞きしますが、どのようなコンセプトなのでしょうか?
吉田:昨年リリースした作品の何作かはすべて共作で、歌詞も曲も作家さんにアドバイスを頂きながら制作をしていたんですが、その中でスゴく自分達の引き出しが増えたんです。今回は、そこで学んだことを「“自分達だけ” でやってみよう」という、ところからスタートしたんです。それと、やっぱり一発目ということで「勢いがあって、アップテンポな曲がいいよね」っていうのは一番最初から話をしていました。時期でいうとライブツアーだったので、去年の9月ぐらいです。
──候補曲はたくさんあったのですか?
吉田:そうですね。もうメチャメチャ曲は作ってて、「アイビー」もこのメロディができていて、それに5つぐらいの物語を作って、「どの歌詞を当てはめたら良いか?」っていう作業をして。結果的に、少し離れた距離のある相手を思うラブソングになったんです。もっと何気ない幸せを歌う歌だったり、後は応援ソングだったり。様々な方向の内容にもなり得るものを作っている中で、メロディーとのマッチングが一番しっくりきたのが、このパターンの世界観でしたね。
──スパボの曲作りは色々とパターンがあって、最終的に2人で仕上げるそうですが、この曲はどのように?
吉田:僕が作ったんですけど、まず大体のメロディーができていて。ただ、「この曲バラードにもできるしアップテンポにもできるな」って思って。なので歌詞次第でそのテンポ感だったり、アレンジの方向性を決めていこうと。
──デモはどの程度まで作られてたのですか?
吉田:一応、ピアノの弾き語りで作った、ワンコーラスはできていて。作っていて、「切なさがありつつ、パワーがある。そしてライブでも盛り上がる曲を作れないかな」を考えましたね。
──佐々木さんはデモを聴いた時の印象は?
佐々木陽吾(以下佐々木):スゴい理幹らしいキレイなメロディーだなと感じて。でも、何よりも「ラブソングの世界観があるメロディーだな」っていうのは、はっきり思ったので。最初は歌詞の内容が、失恋なのか片思いなのか分からないけど、ラブソングっぽいイメージの曲だなと思いました。
──そこから2人で仕上げていったと。
吉田:はい。
佐々木:「アイビー」に関しては、歌詞もほとんど理幹メインでしたね。
吉田:今回「アイビー」は僕、「Juice」は陽吾さんが中心に制作、という感じでセパレートして作っています。
──「アイビー」の歌詞はフル尺ができた時点で書き始めたのですか?
吉田:いえ、ワンコーラスができた段階ですね。なので同時というか、先ほども言った通り色々な物語ができていてその時点では5パターンの歌詞があって。その中で、自分が一番訴えたいことだったり、自分自身がスゴいビビりというか。普通に恋愛面に対しても、付き合っていっても「あれ大丈夫かな」って不安になることも多いタイプなんですね。まぁ何に対してもそうなんですけど、夢を持っていても、いくら仕事を頑張っていても「あぁ大丈夫かな」って不安になるような表現をできるのってこのパターンの歌詞だなと思って。でも、やっぱり男なので、その女々しさやちょっと弱い部分の中でも、強がりな部分とか「強くいたい」っていう気持ちを表現すために、アップテンポじゃなきゃダメだと。歌詞を書いていく中で「これ、もしかしたらミドルぐらいでもできるかな」とも考えたりしました。でも、逆に「いや、これはアップテンポにすることでその強がりだったりが表現できるし。今までやってこなかった世界感も表現できるかな」と試行錯誤をして。それを乗り越えてからは、フルコーラスをバーっと書き上げられましたね。
──佐々木さんは歌詞を読んで良いなと思った部分は?
佐々木:もう最初のデモのワンコーラスの時点で感じていました。“この先二人はうまくやっていけますか?” と “来世も隣にいたくて” の二箇所です。ここは出すのに時間かかったんだろうなって。メロディーに対するハマりも良いし。やっぱ、ぐっと惹きつけられる言葉かなと思います。
──以前よりも、スゴく大人な内容だなって印象を受けました。以前の楽曲はもっと若々しいというか。
吉田:それはスゴくありますね。
佐々木:もう28ですから(笑)。
──今作を通して、これまでのスパボの良さを出しつつも、著しい成長というか、進化というものを感じました。
吉田:うれしいです。
──吉田さん自身が歌詞で気に入っているところも教えてください。
吉田:昔だったら書けない歌詞だったなって部分があって。サビの “一人じゃ広いベット” なんですけど、夜を想像させるような表現って、やっぱりその「甘カワで、爽やかでいなきゃいけない」という風な気持ちがあったんですよね、2年前だったらこう表現する気にもならなかったですけど。「もっと大人っぽくできないかな」とか考えながら、今だからこそ出せるワードを生み出せました。
──確かに、 “一人じゃ広いベット” というのは、普段は共に寝る相手がいて成立するわけですから、大人な表現ですね。
吉田:はい。あとは、遊べるようになりましたね。2番のBメロに “この黒いパーカーは貴方が” ってあるんですけど、去年のライブツアーの中で、黒いパーカーを販売したんです。それが「可愛い」ってメチャメチャ人気で、もう完売したんです。じゃあ、歌詞に “黒いパーカー” を入れたら、ファンも喜んでくれるかなと思いまして。
──上手いですね(笑)商売上手!
佐々木:成長しましたよ。
吉田:いえいえ(笑)。まぁそういったことも考えられるくらい、ちょっと余裕を持って作品作りができるようになりました。
──ファンの方か歌詞読んだら「あっ!」ってなりますよね。
吉田:先日、ラジオで初めて流してもらった時に、Twitterで「2Bの歌詞メッチャ好き」という感想もあったので、気づいた人はいたみたいです。
──編曲を経てどのように変化したのでしょうか?
吉田:やっぱり強がりを表現したかったので、デモのピアノ弾き語りと比較すればパワーや疾走感は増しています。
- 1
- 2
この記事の画像一覧
(全0枚) 大きなサイズで見る。
関連する記事
2018/04/02
2017/04/17
ニュース
2023/12/25
2023/12/20
2023/12/18
インタビュー
2023/03/23
2022/09/15
2022/05/26
2022/01/26
特集/レビュー
2023/04/03
レクチャー
2022/11/15
2022/11/01