恋愛の二面性をメロディーと詞の世界で表現したリアル・ラブソング
The Super Ball「アイビー」インタビュー
The Super Ball「アイビー」インタビュー
2019/03/04
──次に、2曲目「Juice」について教えてください。
佐々木:まず理幹がピアノで作ったメロディがあったんです。そのメロディが個人的にスゴく好みで、「俺が歌詞つけるわ」って。
──「アイビー」と対比的な歌詞ですよね。
佐々木:そうですね。曲調もそうですけど、やっぱりラブソングの次にもう一回ラブソングがくるよりも、友情ソングが来た方がいいかなと。この歳だから書ける友情ソングができたなと思っています。実は、吉田拓郎さんの「我が良き友よ」っていう曲があるんですけど、あの曲がスゴい好きで。2人の関係がめちゃくちゃ見える友情ソングじゃないですか。
──そうですね、かまやつひろしさんの代表曲でもある、名曲ですよね。
佐々木:「あの曲が、もし現在にあったらどういう感じなんだろうな」というテーマをもとに歌詞を書いたらメッチャ、ボーイズラブ的な内容になってしまって...(笑)。19、20で歌ったら良いかもしれないですけど、俺らはもう27、8なので今歌ったら「ちょっと痛いな」って。
吉田:最初のAメロが忘れられなくてさ。
佐々木:なんだっけ?
吉田:席替えで「お前がどこの席になるか気にしてる」みたいな感じで。普通、男って女子の席がどこになるか気にするじゃないですか。それはさすがになぁと(笑)。
佐々木:なるほどね。あれは「あの子とお前が隣りの席になるか」を気にしてたんだよね。まぁ結果的にボツにしたけど、学校の話をガッツり入れていて、「ちょっとヤベーな」と。で、そこから夢の要素を足そうと。「ただ二人が仲良くて、何歳になっても友達でいような」というより、その自分の作り上げた物語では、田舎から出てきて頑張っている人と、地元に残って頑張ってる人、それぞれ「離れても友達だ」っていう。強い思いは変わらないですけど、「こっちで俺も仕事頑張る。だからお前に対しても “頑張れ” って思える」みたいな。当然、そんなこと日常で男同士言わないじゃないですか。こっぱずかしくて。でも、年に1、2回飲む友達とかって、会ったら会ったでメチャクチャ嬉しいし。そういう大人の友情関係というか、それと自分が夢を追ってることを主人公に投影させました。
──やっぱり佐々木さんが青森出身だからこそ書けた歌詞ですね。
佐々木:そうですね。僕からしたら、地元に残って仕事をするって今は考えてないですからね。その決断をしたことに尊敬に近いものを持っています。
──歌詞はAメロから順番に書き上げたのですか?
佐々木:短い小説みたいなものをメモして、「その友情をどういう角度から見るか」っていうので、フルコーラスを3、4パターン作っていました。
──それぞれ違う物語の歌詞なのでしょうか?
佐々木:「Juice」に関しては似たような内容でしたね。
──では、吉田さんが歌詞を読んで気に入った部分を教えてください。
吉田:やっぱり、自分の夢を追っている人間なので、スッと耳に入りましたね。共感できるポイントがたくさんあったんで、プリプロの段階で歌入れて、「わー! スゴく気持ち乗りやすい」と思いました。中でも、2Aの “可愛いあの子と上手に話せなかった時は次の作戦缶ジュース一本で語ってた” は陽吾さんっぽいなと。自分だったらもっとカッコつけて書きたいかなとか、でもあえてこれを素直に出すことで分かりやすいし。絵も浮かぶかなって。
佐々木:少し難しい表現もしてみたいんですけど、聴き手が「何言いたいの?」ってなってしまったらダメなので。
──佐々木さん個人が気に入っているフレーズは?
佐々木:まぁトータルで会心の出来って感じはあるんですが、その中でも一番グッときたのは、サビの後半の“幸せと自由と責任の間で” っていうのが、28歳だと意外と周りのみんながもう結婚してたりするんです。転職だったり田舎に帰る人もいたり。まぁ僕は好きなことやっていて、ステージに立つと非常に幸せを感じるんです。そうやって頑張っていたりすることを、どこかに詰め込みたくて。その思いを一行に出来て良かったと思います。
──曲オケについてもお聞きしますが、シンセのフレーズが特徴的で、ずっと頭の中でリフレインしています。
佐々木:編曲の段階で入れてもらったんですが、友情ソングとなるとベタベタ気味の内容なので、普通のバンドサウンドを乗せたり、アコースティックサウンドを採用してしまうと、下手したらすごくダサくなるなと思って。そこで挑戦したいなと思ってたシティポップを採用してみようと。それで編曲の方に要望をお伝えした結果、素晴らしいものになりました。不思議なアンバランス感みたいな、歌詞はもちろんアレンジでも2つの世界を描いていて。クセになる曲です。
──3曲目の「流れ星の街(Piano ver.)」は初の音源化だそうですね。
吉田:これはデビュー前にあった曲だから、2015年ぐらいかな。僕がピアノで作りました。レコーディングもほぼ一発録りでした。パフォーマンスも当時からピアノ1本でやってきたんです。自分がピアノ、陽吾さんがハンドマイクで歌う、人気曲だったんです。自分たちも思い入れがすごく強くて、「どういう形で入れようか」ってなった時に、もう「ありのままで今までやってきたものを、一度そのまま届けたい」と。それにピアノ弾き語り一本で入ってきたら「アイビー」「Juice」との対比にもなるなと。
──歌詞も吉田さんが書かれたのですか?
吉田:最初は自分が書きましたが、最終的には2人で書き上げました。テレビでニュースを見てて、海外にいる日本人ジャーナリストの方が命の危険にさらされながらも「ここでは、こういうことが起こってるんだ」というのを伝えていたんです。そういったことを歌にできないかなと思って。そこで生まれたのが “明日流れ星なるよ” というワードなんです。「自分を犠牲にしながらも、世界の平和を願う」じゃないけど、そんなことを歌う歌があってもいいかなと思って、作り始めたのが最初です。
──まさか、そんなテーマが設けられてるとは思いもしなかったです。
吉田:「Piano Ver.」としているのは、今までと同じ形ではあるんですけど、歌詞の内容も広いんで、「いずれはストリングスを入れたバージョンも作りたいな」っていうのを頭においているので、あえてそうしています。
佐々木:テーマが大きいじゃないですか。それを「お前らみたいな20代の若造が歌えんのか」って言われるかもしれないけど、サビの “流れ星になるよこの世界の平和のために” っていうのは、自分の声のメロディーラインのレンジも含めてかなり気持ちを込めていますし、説得力のある声で歌えたと思います。
──それでは最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。
吉田:2019年第一弾作品は「これがThe Super Ballの代名詞になるんじゃないか」というぐらい自分が納得できるものに仕上がりました。昨年ライブで披露したんですが、とにかくライブ映えする曲なんです。やっぱり、自分たちで目標が、まずホールでちゃんとライブが出来るようにしたい、1,000人キャパを即完ができるぐらいが目標なんです。その上でこの「アイビー」というのがものスゴく強い武器になると思ってますし、自信を持ってリリースイベントはもちろん、ライブでお客さんを集められるアーティストになれるように歌っていきたいなと思います。
佐々木:今回のシングルは、今まで僕らを知っているファンの人、この作品で初めて聴くという人も両方楽しめる1枚になったなと思っていて。以前から僕らのファンだった人は「あぁスパボはこんなこともできるんだ。成長してきたな」って思ってくれるだろうし。新規の方は「シングルでこんな幅があるんだ」って印象を持つんじゃないかと。「アイビー」「Juice」、そして最後にピアノ一本の弾き語り「流れ星の街(Piano ver.)」を聴いて、僕たちの一番の強みであるハーモニーを聴いたら「ちょっとライブ行ってみようかな」と思ってほしいですね。理幹もライブについて触れましたが、去年関内ホールでライブをやったんですけど、自分たちにホールって合ってるなって。なので1,000人規模のホール会場を埋めたい。それが2019年の目標です!
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