数あるインストゥルメントの中からNI製品が選ばれる理由に迫る!
Native Instrumentsユーザーインタビュー【Nhato編】
Native Instrumentsユーザーインタビュー【Nhato編】
2019/11/22
Armin van Buuren(英DJ Mag誌の読者投票による人気ランキング世界第1位)やdieTunesのYOJIといった世界的なDJ/クリエイターにその才能を認めさせ、自身でもOtographic Musicの中心的存在として活躍するNhato(ナハト)。トランスミュージックを核に、様々な楽曲を手掛ける彼は言わずと知れたNative Instrumentsのヘヴィー・ユーザーでもある。ここでは、日頃のトラックメイキングにNative Instruments製品がどのように活用されているのか、その制作の舞台裏に迫ってみよう。
取材:東 徹夜 撮影:小貝和夫
──現在、メインとなるDAWソフトは何をお使いですか?
Nhato:僕が使っているのは、ずっとWindowsのCubaseです。いまだに32ビットのサードパーティー製プラグインで外せないものがあるので、あえてバージョンは8.5を使っています。
──曲作りを行う際に、どのようなパートから手をつけることが多いのですか?
Nhato:曲によってまちまちで、ドラムからのときもありますし、イントロから順番に作っていくこともあります。ただ、最近は「ドロップ」と呼ばれるサビから作ることも多いですね。
──Native Instrumentsの音源で特に使用頻度の高いものをあげるとすると?
Nhato:最近だとやはり新製品の「MASSIVE X」ですかね。特にベースを作るときに重宝しています。「MASSIVE X」になって、Blue Monarkという「MONARK」に非常によく似た質感を出すことのできるフィルターが搭載されていて、これがすごくいいんですよね。「MONARK」自体も好きなんですけど、最新の音源でこのフィルターが使えるのはありがたいです。低音の厚みが全然違ってきますから。
──トランス系の楽曲だとベースはいくつか重ねることが多いのですか?
Nhato:そうですね。2〜3種類をレイヤーして重ねることがあります。今お話した「MASSIVE X」は「サブベース」と呼ばれるモノラルで鳴らすことの多い一番下のベースになります。最もパワー感のあるものですね。
──その他には、どのような音源でベースをレイヤーさせているのでしょうか?
Nhato:Reveal Sound「Spire」を重ねたり、無印の「MASSIVE」を使うこともあります。「MASSIVE X」でローの部分は鳴っているので、ベースのジャギジャギしているような感じだったり、そういったキャラを決めるような使い方になります。あと、ベースとしてはNIの「RAZOR」も好きで使うことが多いですかね。
▲「MASSIVE X」。画面右上のようにフィルタータイプから「Blue Monark」が選べるようになっている
──ベースにはエフェクト処理などもされているのですか?
Nhato:はい。iZotope「Ozone」に入っている「vintage tape」というプラグインで倍音を付加したり、コンプなどもかけます。ただ、「MASSIVE X」の出音が好きなので、あまり極端な処理はしないようにしています。
──ベースとの絡みだとキックも重要になってくると思いますが、Nhatoさんはリズムトラックはどのように構築されることが多いのですか?
Nhato:まず、使用するツールは「BATTERY」です。キックに関して言えば、「BATTERY」を使うと連打したときに前のノートとかぶらないようにできたり、エンベロープも設定できるのでアタック感も調整しやすいんですよ。
──キックもベースのようにいくつかの音を重ねているのですか?
Nhato:いえ、昔はそういうこともしましたが、最近は1つで鳴らすことが多いです。ただ、一曲を通じて同じキックオンリーというわけではなくて、イントロで別のキックを使ったり、アタック感が弱いと思った場合はクリックのような音を混ぜて使うこともあります。
──スネアなども「BATTERY」を使って?
Nhato:はい。「BATTERY」の「Velocity」欄にある「To Pitch」のツマミをあげると、ベロシティで簡単にスネアのピッチがコントロールできるようになるんですね。僕はフィルでスネアのピッチが徐々に上がっていくようにすることも多いんですけど、この機能のおかげでそういった効果が簡単に作れます。
▲「BATTERY」でスネアの連打を打ち込んだ状態。Velocityの「To Pitch」のツマミを回すことで、ベロシティの強弱(レベル)に応じてピッチをコントロールすることができる
Nhato:そうですね。飛び道具的に「FREAK」や「DIRT」を使うことがあります。「FREAK」はリングモジュレーションやフリケンシーシフトが可能なモジュレーション系エフェクトで、FXにFreqのツマミをオートメーション化させたり。で、「DIRT」はディストーション/オーバードライブなんですけど、かなり過激に歪んでくれて楽しいです。
▲画面左がオーバードライブ/ディストーションの「DIRT」、画面右がフリケンシー・シフターの「FREAK」
──コンプなどはいかがですか?
Nhato:Native Instrumentsのコンプでよく使うのは「VC 2A」と「VC 76」ですかね。「VC 2A」は色々なトラックにもかけていて、音が前に出てきてくれます。かなりインプットを突っ込んでも音が変な感じにならないし。ボーカルはもちろん、キックやベースにはほとんど使っています。そして「VC 76」もたまに使うんですけど、こちらはサウンドのキャラクターに合わせて、より早いコンプの動きが欲しいときに利用しています。
▲画面上がコインプレッサーの「VC 2A」、画面下が同じくコンプレッサーの「VC 76」
──ところで、プライベートスタジオのデスクにはキーボードとして「KOMPLETE KONTROL S61 MK2」が置かれていますが、こちらの使い勝手はいかがですか?
Nhato:僕は「KONTAKT」もよく使うのですが、相性は抜群ですね。数多くある「KONTAKT」のライブラリーから音色をロードするのも簡単ですし、キーボード上部の光る色でアーティキュレーション(奏法)のキースイッチ位置がわかるのも便利です。また、各チャンネルのボリュームなども「KOMPLETE KONTROL S61 MK2」から操作できるので、Cubaseユーザーとしてはありがたいです。
──具体的には「KONTAKT」ではどのような音源を呼び出して使うことが多いのですか?
Nhato:シンセ系も使いますけど、やはりピアノやストリングス、クワイヤとか、生楽器系の音源が多いですね。特にピアノの「THE GRANDEUR」、「UNA CORDA」などは気に入っています。
──Native Instrumentsの製品は幅が広いですよね。
Nhato:本当にそう思います。「KOMPLETE」のセットであれば、あとはアイディア次第というか。入門者の人が始める取っ掛かりとしても最適だと思いますし、僕もそうですけど、使い始めたらずっと長く使えるものばかりだと思います。
──最後に、Nhatoさんにとって一番不可欠なNative Instrumentsの製品をあげるとすると何になりますか?
Nhato:それは難しい質問ですね。うーん、今だったらやっぱり「MASSIVE X」ですかね。僕はシンセで音を作るのが好きなので。でも、「THE GRANDEUR」や「UNA CORDA」といったピアノも捨てがたいな(笑)。
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